アンビエント/ミニマル



The Detroit Escalator Co. / Black Buildings (2001/Peacefrog Records)

都市をイメージさせる音というのはいくつかあって、たとえば僕の場合ジャズのビッグバンドの音。あるいはメルヴィン・ラインのようなチープなオルガンの音。このアルバムはそれらと同様、かなり「都市」をイメージさせてくれます。しかも無機質な夜のビル街。ハイハットとシンバルのパーカッシブで軽いノリと、パルス音のようなスネア打ち込み、そして深いダブによるサウンド・ペインティングともいうべき作品。

EKKEHARD EHLERS / FRANZ HAUTZINGER / JOSEPH SUCHY /Soundchambers(2003)

シュワシュワ、ゴポゴポゴポ…という静かなドローン・ノイズにフランツ・ハウジンガーのトランペットが溶け込んで、JOSEPH SUCHYのギターがポヨヨ~んとかすかに聞こえる…といった感じの音。都市の音のようでもあり、深海の音のようでもあり…、非常に魅力的なアルバムです。

V.A./Click Shower(2004/ FORCE INC./MILLE PLATEAUX)

ミニマル系の音に強いドイツのFORCE INC.とMILLE PLATEAUXの音源からの非常に優れたコンピ盤。Yagyaの霞のかかったようなダブが実に美しい。冷たい音の感触とアンビエントな雰囲気がバランスよく統合された好盤。ただ、このセンスの悪い最低ジャケット・デザインはなんとかならなかったのだろうか…?

WALTER FAHNDRICH /VIOLA(1991/ECM)

ヴィオラひとつだけで展開されるミニマル~アンビエント作品。ヴァルター・フェーンドリヒの冷徹なヴィオラはどこかひんやりとした感触があります。

GEORGE LEWIS / SHADOWGRAPH(1978/blacksaint)

フリージャズのトロンボーン奏者ジョージ・ルイスの傑作アルバム。静かなフリーです。とはいえデレク・ベイリーのcompanyシリーズ等とはまるで違った様相。曲によってはジョージ・ルイスはソーサフォーンやチューバなんかも使ってます。

Harold Budd & Brian Eno / The Pear (1984)

ひょっとしてアンビエントの中でも一番回数聴いてるのがこのアルバムかもしれない。ハロルド・バッドのアルバムの中でも最も好きなアルバム。静謐なアンビエント。落ち着きます。

MALCOM DALGLISH / JOGGING THE MEMORY (1985/windomhill)

ダルシマーのソロによる素晴らしい演奏。ダルシマーの演奏をこうやってまとめて聴けるってこと自体結構珍しい。しかもソロだし。

JAMES NEWTON / ECHO CANYON (1984/celestial harmonies)

フリージャズのフルート奏者として知られるジェームス・ニュートンのアルバム。グランドキャニオンで夜中にひとりで演奏したもの。すべて即興演奏。ときおり鳥の鳴き声が入ってるところなんか面白いです。

GROVAL COMMUNICATION /76:14 (dedicated/1997)

プログレのようでもあり、アンビエントのようでもあり…、不思議な魅力のアルバム。ノンストップでず~っとつながってますが、曲がどんどん展開していくため安易に聞き流せません。

BRIAN ENO / AMBIENT 1 MUSIC FOR AIRPORT(1978)

言うまでもなくアンビエントの基本盤。何度聞いても新鮮。

BRIAN ENO / AMBIENT 4  ON LAND(1982)

この浮遊感がたまりません。

BRIAN ENO /APOLLO(1983)

結構よく聴く作品です。特に前半が好き。

FRIP & ENO /EVENING STAR

僕のアンビエント初体験はこのアルバム。高校生の時に買いました。どこまでもつづく音の波がとても心地よい。

Tangerine Dream/Phaedra(1974)

音の感触のアナログっぽさもあって今聴くと雰囲気がかなり独特。ときおりドラマチックな展開になるのはやはりあの時代だからでしょうか。

MICKEY HART /At The Edge (1990/360゜Productions)

ミッキー・ハートの本「ドラム・マジック」はリズムに関心がある人なら必読。この美しいアルバムは静かな生命力に満ちています。

STEVE REICH /Music for 18 Musicians(ECM)

ライヒの音楽の極めつけ。つぎつぎと楽器が変わっていくのにずっと同じ旋律。そしてひたすら美しい音の感触。

NEPTUNE ~NASA-VOYAGER SPACE SOUNDS

NASAのボイジャー等の宇宙探査機が採取した宇宙の様々なデータの可聴域を音にしたという胡散臭さ満点のCD。ちなみにこれは「海王星」。他に土星やら木星やら天王星の月やらそれらをミックスしたものやら出てました。単なるホワイトノイズみたいなのがシュワシュワいってるだけなのですが、何故かこれが気持ちよかったりします。

NASA SPACE PROBE RECORDINGS #3 Healing/Healthy

上のシリーズのうちのひとつ。かなり究極のアンビントです。音楽ではなく「音」ですね。

NASA SPACE PROBE RECORDINGS #4 ESP

これまた同じシリーズのもの。ただゴォ~という音がするだけかと思いきや、ちょっとした変化も…。ただのホワイトノイズも売り方次第では商品になるという見本。

The ORB / peel sessions

チープながらもついつい聴いてしまうアルバム。いろんな要素がつまっています。コケコッコ~って始まり方がかわいい。

GEORGE LEWIS / Voyager(1997/Avant Records)

フリージャズ界ではお馴染みのジョージ・ルイスと、コンピューターとのインプロヴィゼイション。アンビエントというにはちょっとうるさいかも。しかしながら自然体の即興演奏にアンビエントを感じます。

shiba / ambinet cafe (1998)

テクノ+ハウス+アンビエントな感じ。shibaはトランペット奏者なので当然トランペットを吹くのですが、音の中に溶け込んでいます。

R.CARLOS NAKAI/JOURNEYS(1986)

ネイティブ・アメリカン・フルートによるソロ。インプロヴィゼイションの曲が半分くらいあって全く飽きることがない。

SUN ELECTRIC / Kitchen(1994)

テクノ経由のアンビエントは意外にリズムが強力だったりしてちっともアンビエントじゃなかったりします。これもまたそんな感じなんですが、なんとなく気になるアルバム。

STEVE REICH /DRUMMING

ミニマル・ミュージックの代表格。つい流しっぱなしで部屋の空気に溶け込んでしまう音楽。決して無機質にならず、音の感触はあくまで有機的。

POLE/3 (2000/Matador Records )

ダビーな3枚目。音のキレと音の隙間が美しい。

FENNESZ / Endless Summer(2001/mego)

ガガガっていうノイズが次第に曲に変化していくMade In Hongkongがなんとも素晴らしい。ノイズ音がドラマティックに展開していく様は圧巻。

YAGYA/Rhythm Of snow (2002/FORCE.INC)

オブラートに包まれたようなリズムが美しい。全10曲すべてにSnowflakeという題名がついている。

MANUEL GOTTSCHING / E2-E4 (1984/SPALAX MUSIC)

アシュラ・テンペルのマニュエル・ゲッチングのソロ名義アルバム。ミニマルな展開でずーっとつづきます。このアルバムが製作されて20年近く経ちますが、全く古くなっていないのが恐ろしい…。テクノ畑の方々にも人気のあるアルバムです。レトロなリズムボックスの音はスライ「暴動」やパーラメント「チョコレイト・シティ」を彷佛させほどのクールネスを獲得しています。とはいえ、ひたすらアッパー系の音です。30分くらいたった頃からゲッチングのスペイシーなギターが入ります。

JOHN BELTRAN / 10 Days Of Blue 

音の感触がアンビエント。とにかく音の感触が綺麗で、引き込まれてしまいます。

AKIRA SAKATA / Silent Plankton (1991)

ビル・ラズウェルとともに作り上げたアンビエント感溢れる作品。どの曲もメロディが美しい。名作。

AKIRA SAKATA /Nano Space Odyssey(1992)

坂田明自身もとても気にいってるアルバムで、葬式にはこの9ー11をかけて欲しいそうです。坂田明のそれまでの総決算とでもいうべき充実した傑作アルバム。半分くらいの曲がアンビエントな感触でまとめらてます。そもそもこの音源はNHKサイエンス・スペシャル『ナノ・スペース』のサントラとして作られたもの。ミクロの次元の異空間を感じてしまいます。


 


 


テクノ



RAYMOND SCOTT / Manhattan Reseaech inc.(1950ー60s)

エレクトロの大名盤。どれだけ賛美しても足りないくらいに素晴らしい。ブックレットには50~60年代のコンピューター機材のレトロな写真が満載。CD2枚分、全く飽きることなく聴き通せます。そもそもレイモンド・スコットはジャズやってた人なんですが、何を思ったのか機材を買い込んでエレクトロ音楽をやりだし、あげくのはてには独自の楽器まで作ってしまったのでした。50~60年代のラジオのCMでレイモンド・スコットは沢山の仕事をしており、そのCM音源がそのまま入ってたりします。また、単にコンピューターをピコピコヒュ~って感じで実験してたようなのもそのまま収録されています。面白い!面白すぎる!現在はレイモンド・スコットの音源は数種類のCDが出てるようですが、これが断トツで凄い。とにかくヴァイタリティ溢れた才人。

DJ SPOOKY / NECROPOLIS(1995)

あのニッティング・ファクトリー・レーベルからのものです。イルビエントというジャンルを作ったとまでいわれるDJスプーキー。このあとヒップホップ寄りになっていってしまい、ちょっとガッカリ。近年はマシュー・シップやデヴィッド・S・ウェア等とともにジャズ寄りの作品を作ってます。

SQUAREPUSHER/FEED ME WEIRD THINGS
ドラムン・ベースの帝王(?)SQUAREPUSHERですが、冒頭からかなりビックリなドラムンが…。とはいえ今聞くと結構古臭かったりして…。

SQUAREPUSHER/HARD NORMAL DADDY
前作と本作がこの人の頂点。とにかく凄かったんですね。

WE/as is(1997/asphodel)

イルビエントです。ボヨ~ンとしながらも所々強力なリズムがあったりなんかして比較的聴きやすい。

Yoshinori Sunahara / LOVEBEAT (2001/sme)

この人のアルバムの中では一番好き。ミニマルな展開が心地よい。パキパキした音の感触も実に気持ちいい。

Nobukazu Takemura / Child and Magic (1997/werner)

聴いてるといろんなイメージが出てきます。あと、何度聴いても6曲目に入るノイズがイヤなのでここは飛ばしてしまいます。

HOT BUTTER /Popcorn (1972/castle)

70年代(僕の子供時代)のテレビのバラエティ番組などで使われてた曲などもあって懐かしくなる。ムーグのチープな美しさをこれだけポップに展開出来るというのは凄いことです。


(文:信田照幸)

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