Bass(その1)
一番下が最近記事です

RON CARTER / All Alone (1988 / emarcy)

ロン・カーター(b)
ロン・カーターのウッドベース・ソロ作品。ブルージーかつメロディアス。例の、トーンの曖昧なベースが心地よい。なにげに気に入ってるアルバム。

CHARLES MINGUS / CUMBIA & JAZZ FUSIONS(1977)
 
チャールズ・ミンガス(b)ジャック・ウォルラス(tp)リッキー・フォード(ts)ポール・ジェフリー(oboe,ts)マウリシオ・スミス(fl,pic,ss,as)グレイ・アンダーソン(b,b-cl)ジーン・ショールテス(bassoon)ジミー・ネッパー(tb)ボブ・ネロムス(p)ダニー・リッチモンド(ds)キャンディド(per)レイ・マンティラ(per)他 / 1977年録音
コロンビアのクンビア音楽とジャズとを融合したということですが、ミンガスにしてはかなり明るい雰囲気を持ったアルバム。A面全部を使って展開する「クンビア&ジャズ・フュージョン」という曲はあの「直立猿人」や「ハイチ人の戦闘の歌」を上回るほどのカッコよさで、ミンガスのベースラインがカッコよすぎ!このアルバムのコンセプトはともかく(正直言ってそちらには興味ない)、音楽そのものの力が凄い。圧倒的なスウィング感。

CHARLES MINGUS / Bleues & Roots (1959)
チャールズ・ミンガス(b)ジョン・ハンディ(as)ジャッキー・マクリーン(as)ブッカー・アービン(ts)ペッパー・アダムス(bs)ジミー・ネッパー(tb)ウィリー・デニス(tb)ホレス・パーラン(p)ダニー・リッチモンド(ds)/1959年録音
ミンガス・グループの演奏というのは何故かつまらない演奏というのがない。たとえ音をすこしくらいはずしても、気合いというか何と言うか、技術だけでは表せないものまでもが表現されてます。たとえばこのアルバムでのジョン・ハンディ。なんとも凄い。ただミンガスが恐くて必死にやってるってだけじゃない。ジャッキー・マクリーンだってなにげにいつもよりブルージー。アルバムを通して聞こえてくるミンガスのかけ声に鼓舞されるかのように高いテンションと濃密な時間がつづいていく。個人的にかなりお気に入りの一枚。

CHARLES MINGUS / Mingus Dynasty(1959)

チャールズ・ミンガス(b)ダニー・リッチモンド(ds)ジミー・ネッパー(tb)ドナルド・エリス(tp)ブッカー・アービン(ts)ジョン・ハンディ(as)ローランド・ハナ(p)モーリス・ブラウン(cello)セイモワ・バラブ(cello)ベニー・ゴルソン(ts)ジェローム・リチャードソン(ts,fl)テオドア・コーエン(vib)他 / 1959年録音
濃い。非常に濃い。ミンガスのアルバムというのは(特にスタジオ録音の場合)だいたい濃いのですが、このアルバムはその中でも特に濃い。ミンガスの敬愛するエリントンの曲を2曲ほど(他の7曲はすべてミンガスの曲)やってますが、エリントンより濃いエリントンの曲の演奏なんていうのはミンガスくらいではなかろうか。1曲目のミンガスのかけ声もド迫力。ミンガスのアルバム全般について言えることなんだけど、個々のメンバーの演奏がどうのっていうよりも、全体から湧き出てくるエネルギーや雰囲気というものが強烈です。それがたとえバラードであったとしても、なにやら重い。

PAUL CHAMBERS / Go (vee-jay/1959)
ポール・チェンバース(b)キャノンボール・アダレイ(as)ウィントン・ケリー(p)フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)ジミー・コブ(ds)フレディ・ハバード(tp)
聴いたことのないレコードを買うときにチェンバースの名前があると安心して買うことが出来たりします。このアルバムはメンバーを見ればわかるように、当事のマイルス・グループそのまんまで、そこにフレディ・ハバードを加えた編成になってます。でもキャノンボールが最高で、とにかくバリバリ吹いてくれててスカっとする。実にカッコイイ。2曲目、ポール・チェンバースの物凄いノリに煽られる形でハバードのソロが一瞬ヨレるけど(そこがまたいいんだが)、ケリーのソロのあとのキャノンボールの凄いこと。

GAEY PEACOCK / Tales Of Another (ECM/1977)
ゲイリー・ピーコック(b)キース・ジャレット(p)ジャック・ディジョネット(ds)
キースのスタンダーズのきっかけはこのアルバムから。ゲイリー・ピーコック名義のアルバムながら完全にキースが主役。スタンダーズの魅力は3者のインタープレイにあるということは十分に認めるんですが僕はキースの一体どこに行くのかというスリリングなピアノに最もひかれます。しかしこの横に流れるようなピアノはディジョネットのドラムがあってこそ。ディジョネットのドラムも一体どこに行くのやらって感じでスリリングな魅力に溢れています。さて本作はスタンダーズの第一作目ですが、第一作目にして最高潮にまでテンション上がってます。僕はスタンダーズの中では「チェンジズ」が好きなんですが、このアルバムもそれに肉迫する名演。B面ラストあたりでは何故かチック・コリア風の展開を見せますが、これもまたよし。

MIROSLAV VITOUS / Universal Syncopations (2003/ECM)
ミロスラフ・ヴィトウス(b)ヤン・ガルバレク(ts)チック・コリア(p)ジョン・マクラフリン(g)ジャック・ディジョネット(ds)
2~4だけバックにブラスセクションがついてますが、これがなかなかよい。全編これでいってほしかった…。1のようにb,ds,tsっていうパターだとどうしてもECMっぽくなってしまうので、ああまたか…って思ってしまうわけで…。2~4はどこか初期WRみたいな感じもありますが、こういう所から読みとるとやはりヴィトウスは変わってないんだなあって実感してしまいます。そもそもWRとはショーターとヴィトウスが話し合って構想を練っていたグループだそうでザヴィヌルはそこに割り込んで入ってきたものだそうな。しかしこれだけのメンバーが集まればいいアルバムが出来るのは当たり前だと思うのだけど、ヴィトウスがリーダーってことによる「色合い」というのはやはり独特。

HOWARD RUMSEY / Sunday Jazz A La Lighthouse (1953 / contemporary)

ハワード・ラムゼイ(b)ショーティー・ロジャース(tp)メイナード・ファーガソン(tp)ミルト・バーンハート(tb)ジミー・ジュフリー(ts)ボブ・クーパー(ts)フランク・パッチェン(p)ハンプトン・ホース(p)シェリー・マン(ds)カルロス・ヴィダル(conga)
普段西海岸で映画音楽のためのスタジオミュージシャンとして働いてる人達が日曜日にクラブに集まって気楽に演奏してみたって感じのアルバム。ライトハウスに集まってきた客たちのガヤガヤいった声やグラスのカチャンっていう音などもどこか心地よい。同じ1953年に録音されたJAZZ AT MASSEY HALLのチャーリー・パーカーやバド・パウエル、ディジー・ガレスピーらの鬼気迫る演奏とは全く違った気楽なジャズです。この場の雰囲気がとてもいい。

CHARLES MINGUS / Me Myself An Eye(1978/atlantic)

エディ・ゴメス(b)ジョージ・ムラーツ(b)ジョー・チェンバース(ds)スティーヴ・ガッド(ds)ダニー・リッチモンド(ds)マイケル・ブレッカー、ヨシアキ・マルタ、ケンジ・オオモリ、ケン・ヒッチコック、ダニエル・ブロック、ジョージ・コールマン、ロッキー・フォード、ペッパー・アダムス、ロニー・キューバー(ts)ランディ・ブレッカー、マイク・デイビス、(tp)ラリー・コリエル、テッド・ダンバー、ジャック・ウィルキンス(g)ボブ・ネロムス(p)他
ミンガスのラスト・アルバム。この当時もうミンガスは車椅子です。裏ジャケに写ってる姿が痛々しい…。ここではミンガスはベースを弾いていないので指揮やアレンジで参加。ミンガス・ミュージックというのはいつでも強烈な匂いがあります。そしてミンガスの演奏していないミンガスのアルバムである本作であってもその匂いは強く残っています。参加メンバーがあまりにも多くて誰が誰やらわかりづらいのですが、基本的にミンガスの音楽においては個人個人のプレイよりもミンガスが設定した枠の方が強烈だったりするので別に誰がどのソロを取ってるかなんてあまり重要でもないように感じてしまいます。かのドルフィーだってミンガス・グループの中ではミンガス・ミュージックの一部でしかなかったのですから(とはいえ、それでも強烈でしたが…)。このラスト・アルバムはミンガスのつくり出す「枠」も比較的ルーズなのでいつものミンガス・ミュージックよりもいろんな色が見えてきて、一体どの方向に行ってしまうのか…っていうスリルがあります。そして車椅子のミンガスはそのスリルを余裕を持って楽しんでいたのかもしれません。ミンガスが最後に描いた音は不思議なほど色彩感豊かです。

CHARLIE HADEN & PAT METHENY /Missouri Sky(1996)

チャーリー・ヘイデン(b)パット・メセニー(g)
ほのぼのとなごみます。パット・メセニーのアコギがいい味出してますね。自身のソロも全部アコギだったらよかったのに、と思ってしまいます。チャーリー・ヘイデンにはこういったデュオ形式のアルバムがいくつかありますが、どれも素晴らしい。この編成だとベースラインがくっきりと浮き彫りになって、ヘイデンのしっかりとしたベースをじっくりと味わうことが出来ます。とはいえこのアルバム、楽器と楽器のスリルあるやり取りというよりはベースとギターによる風景画とでもいうべきほのぼの感を僕は楽しみます。

RON CARTER /NEW YORK SLICK (1979/milestone)


ロン・カーター(b)アート・ファーマー(flh) J.J.ジョンソン(tb)ヒューバート・ロウズ(hl)ケニー・バロン(p)ビリー・コブハム(ds)<a-3のみジェイ・バリナー(g)とラルフ・マクドナルド(per)が加わる>

フロントの3管が実にカッコイイ!まるでゴルソンのジャズテットのようにクールな響きです。これこそ都市の響きって感じ。そしてもっと驚きなのがピアノのケニー・バロン。なんでしょうか、この素晴らしさは(笑)。リリカルでありながらもこれほど豊かに「哀愁」的メロディが泉のごとく湧いて来るという快感…。ロン・カーターの作る曲のおかげって言い方もありますが、A-2なんかはまさかこんな所でこんな素晴らしい演奏に出会えるとは思ってなかった的の驚きがあったりします。

PAUL CHAMBERS / WHIMS OF CHAMBERS(blue note /1956)

ポール・チェンバース(b)ドナルド・バード(tp)ジョン・コルトレーン(ts)ケニー・バレル(g)ホレス・シルヴァー(p)フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)

やはりポイントはケニー・バレルのギターが入ってるってところでしょうか。普通の2管とはひと味もふた味も違う。フランシス・ウルス撮影、リード・マイルスのデザインのジャケもカッコイイけど、中身はもっとカッコイイ。ドナルド・バードの鮮やかな響きのトランペット、コルトレーンの例のたどたどしいような独特のテナー、大好きなバレルのギターの音色、チェンバースの流麗なソロ、どれもこれも不思議な勢いがあって心躍ります。ちなみにこれはポール・チェンバースのファーストアルバム。もうすでにマイルスのグループで活躍してた頃。本作はマイルスの諸作に比べても全く遜色ありません。1曲目、バレルがソロで入ってくる瞬間は何度聴いても目が覚める…。 

MARC JOHNSON / The Sound Of Summer Running (verve/1998)

マーク・ジョンソン(b)ビル・フリゼール(g)パット・メセニー(g)ジョーイ・バロン(ds)

なんとも気持ちのいいアルバムです。ビル・フリゼールのギターの深さにも驚きます。フリゼールのなにげないフレーズの中にベダルスチールギターの要素とチェット・アトキンス的なカントリー風味とモダンジャズ経由の感触を感じ取ることが出来ます。音色へのこだわりが物凄い。このアルバムのうち2曲はフリゼールの曲です(それ以外はすべてマーク・ジョンソンの曲)。じっくり聴き込んでもヨシ、BGMとしてムードミュージック的に聞き流してもヨシ。 


(文:信田照幸)


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