クラシック (その1)



ラフマニノフ・ピアノ協奏曲4番/ベルナルド・ハイティンク(指揮)コンセルトヘボウ

コンセルトヘボウの名演。とにかくハイティンクが素晴らしすぎ。僕は4番第1楽章がことのほか大好きなんだけど、これほど美しい録音は他にありません。出だしの1~2分で、うしろの方から少し聞こえる管の響きが決め手。とはいえ、これがドイツ・グラモフォンだっらこうはいかないだろうなあ…。DECCAならではの音の響きでしょう。この4番とともに収録されてる人気の2番は僕にとっては「オマケ」。ちなみにピアノはアシュケナージ。西ドイツ盤CDです。

デュカス/交響曲ハ長調・舞踏詩「ラ・ペリ」

指揮 アルミン・ジョルダン/スイス・ロマンド管弦楽団
これを聴くたびに、デュカスの作品がもう少したくさん残ってたらなあ、なんて思うのだ。なにも大量に破棄することもなかろうに。とはいえそれほどの完全主義者であったデュカスが自ら残した作品はどれもそれなりに聴く価値があるってもんです。印象主義音楽的な「ラ・ペリ」はデュカス作品の中でも完璧といわれるだけあって、色彩感豊かでひたすら美しい。スイス・ロマンドの響きもこれまた美しい。デュカスの残した唯一の交響曲である交響曲ハ長調は、古典主義者及びロマン主義者としての顔がうかがえる作品。

ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第4番/アルトゥーロ・ベネディッティ=ミケランジェリ(p)エットーレ・グラチス(指揮) フィルハーモニア管弦楽団

これは一体どうなっておるのだ?と思ってしまうほどに第1楽章はピアノとオケがバラバラ。というか、巨匠ミケランジェリが好き勝手にテンポを揺らしているような、そんな印象すら受けます。とはいえときおり見せる極端に力強いタッチにハッとすることも。僕は基本的に第1楽章が好きなのでこのミケランジェリ盤にはやや不満です。がしかーし、第3楽章が凄い。あまりにも強靱なタッチゆえラフマニノフっぽくないんですが、ここまで凄けりゃ文句もありません…。第3楽章に関しては最強かも…。

ディヌ・リパッティ/ブザンソン音楽祭における最後のリサイタル(1950.9.16.)

バッハのパルティータ第一番、モーツァルトのピアノ・ソナタ8番、シューベルトの即興曲作品30の3番と2番、そしてショパンのワルツを収録。言うまでもなく、リパッティが亡くなる少し前の伝説のラスト・ライブ。滑らかでありながら音のひとつひとつに説得力があります。そしてモーツァルトのソナタに見る背筋のピンと張ったような生命感、シューベルト即興曲作品30の流麗な美しさ、ショパンのワルツにおける躍動感…。リパッティの高貴な精神がそのまま音となって立ち現れる様は実に感動的。ショパンのワルツは14曲中ラストの1曲というところでついに力つきて弾けなかったとか。

サン=サーンス/ピアノ協奏曲4番/アルフレッド・コルトー(p)シャルル・ミュンシュ(指揮)

1931年の古い録音。ミュンシュの指揮も素晴らしいが、コルトーのピアノタッチは特別!これはかなりの愛聴盤です。

ラフマニノフ・コレルリの主題による変奏曲、練習曲「音の絵」/ヴラディーミル・アシュケナージ
アシュケナージっていう人はまあこれだけ沢山のレパートリーを弾きこなし、かつ指揮者としても活躍し、一種の天才だと思うんですが、どうにも平均的(?)な解釈が肌に合わず一部の例外を除いてはあまり聴く気にならないのです。そんで、その例外ってのがアシュケナージのラフマニノフでして、曲が好きだからなのか彼のラフマニノフ解釈は僕にピッタリとフィットしてしまいます。ピアノ・コンチェルト4番がその究極ですが、こちらもかなり好きなのです。ラフマニノフは朝聴くとやたらとハマります。

ラフマニノフ/交響曲2番 :ヴラディーミル・アシュケナージ、アムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団
ラウンジ感覚溢れる(?)名曲です。俗っぽさ一歩手前でなんとかふんばってる感じ…。僕はかなり好きですよ。コンセルトヘボウは別格なり。

ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第4番/ジャン=イヴ・ティボーデ(p)アシュケナージ(指揮)クリーヴランド管弦楽団
重厚な感じ。所々テンポが急になってりするところが好みではない。がしかし、最愛のラフマニノフP協4番ってことでこれもアリ。

ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第4番/アレクセイ・リュビモフ(p)ユッカ=ペッカ・サラステ(指揮)トロント交響楽団
オケの管楽器が結構強めの演奏。

バルトーク/弦楽四重奏曲1~6番/アルバン・ベルグ・カルテット(EMI)
躍動感があり、かつ密度の濃い丁寧さ。それ以上何も言うことなし。定番ですね。

スクリャービン/神聖な詩、法悦の詩、交響的楽章「夢」/ヴラディーミル・アシュケナージ(指揮)ベルリン放送交響楽団
なんとも無気味っていうか神秘的っていうか、不思議な魅力のスクリャービンです。録音の良さで随分得をしてるCDです。アシュケナージってのは実はあんまり好きじゃないんですが…、それでもたまにこういったイイのがあるんですね。

ガーシュイン/ラプソディ・イン・ブルー/カティア&マリエル・ラベック(1980/philips)
2台のピアノによるラプソディ・イン・ブルーです。これが実に素晴らしい。オーケストラ・ヴァージョンとはまた違った味わいのラプソディ・イン・ブルーです。

マーラー交響曲1番/ ブルーノ・ワルター(指揮) ニューヨーク・フィルハーモニック
いいですねえ、ワルターのマーラー。深いです。これでもう少し音質が良ければなおさらよかったのですが…。

サン=サーンス/ピアノ協奏曲全集/パスカル・ロジェ(p)シャルル・デュトワ(指揮)
1番から5番まで、CD2枚におさまってます。ロジェの優雅なピアノがこのサン=サーンスにはピッタリです。

TCHAIKOVSKY VIOLIN CONCERTOS/JASCHA HEIFETZ
チャイコフスキーのヴァイオリン・コンチェルトはこのハイフェッツの1957年の演奏がいちばん好きなのです。無駄をそぎ落とした簡潔さがすがすがしいです。

les sommets ds l'orge / GASTON LITAIZE (Charlin Records)

ガストン・リテーズ(org)
パリのサン・メリー教会の大オルガンのソロによるアルバム。アントニオ・デ・カベソン(1510ー1566)、フランシスコ・コレア・デ・アラウホ(1576ー1663)等のスペイン楽派やアンドレーア・カブリエーリ(1510ー1586)等のイタリア楽派の曲を演奏してます。スペイン楽派のティエントという形式がなかなか面白いです。

BERIOZ /SYMPHONIE FANTASTIQUE (シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団)
デュトワとモントリオール交響楽団の透明感ある音はこの曲にもピッタリですね。ものすごいひさしぶりに聞いてあらためてそう思いました。

DARIUS MILHAUD /Music For Prague ・交響曲第10番(ダリウス・ミヨー指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団)
ミヨー自身による指揮。Music For Prague 、交響曲第10番、どちらも力強く美しい。これが録音された1966年、すでにミヨーは車椅子だったそうだが、音楽は実に躍動的。

Antonio Lauro ラウロ/Venezuelan Waltzes for Guitar ギターのためのベネズエラのワルツ集(NAXOS)

アダム・ホルツマン(g)
ベネズエラの作曲家ラウロのギター曲集。どことなく南国ムード漂う曲ばかりで非常に心地よいです。ガットギターの響きもこれまた心地よい。こういったアルバムはコンコード・レーベルでカルロス・バルボサ・リマやチャーリー・バードあたりがやってそうな感じです。ここ最近うちでのヘビーローテーション。

チャイコフスキー/THE NUTCRACKER (アンドレ・プレヴィン/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団)
ナットクラッカーの全曲版。この曲の面白さを堪能するにはもってこいの素晴らしいアルバム。有名な第14番ヴァリアシオン�こんぺい糖の精の踊りはこの曲の大詰めの所で出てくるんですよね。飛び道具チェレスタが実に効果的です。

チャイコフスキー/THE NUTCRACKER BALLET SUITE (ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)
こちらは組曲版。チャイコのスペシャリスト、カラヤンの録音は実に聴きやすい。

チャイコフスキー/THE NUTCRACKER BALLET SUITE (ヘルベルト・フォン・カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)
カラヤン&ウィーンフィルの組曲版。木管楽器がやけに美しく響きます。BPOと甲乙つけがたし。

リムスキー・コルサコフ/シェエラザード(JOHN MAUCERI/LONDON SYMPHONY ORCHESTRA)
何故かこれよく聴くんですよね。

リムスキー・コルサコフ/「金鶏」組曲、「サルタン皇帝の物語」組曲、「クリスマス・イヴ」組曲(ロリス・チェクナヴォリアン/アルメニア・フィルハーモニー管弦楽団)
リムスキー・コルサコフの組曲集。ときおりエキゾチックな旋律が出てくるこれらの楽曲は皆楽しげで気楽に聞けるところがいいですね。

VILLA-LOBOS /ギター独奏曲全集

ノーバート・クラフト(g)
ブラジルの作曲家ヴィラ=ロボスの曲はどことなくサウダージな雰囲気もあってしっとりしています。僕はじっくりと聴くというよりずっと流しっぱなしにして楽しんでおります。

PONCE/組曲二長調、組曲イ短調、他

アダム・ホルツマン(g)ステファニー・マーチン(harpsichord)
セゴビアがわざわざ懐古的な作品をポンセに作らせたという組曲が入っております。これらはセゴビアのジョークだったそうですが、いまいち分かりづらいジョークです(笑)。また、ハープシコードとのデュオ曲もあり珍味的な味わいで面白く、このアルバムのメインです。

PONCE/エストレリータ、3つのメキシコ民謡、他

アダム・ホルツマン(g)
どことなくタレルガっぽい雰囲気の曲もあるものの、やっぱり南国系。んで、そこが聴きやすい。

SHOSTAKOVICH ショスタコーヴィッチ/JAZZ SUITES Nos. 1&2 /Piano Concerto No.1/Tea For Two(リッカルド・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ)

JAZZ SUITES…おしゃれです(笑)。ラウンジにいいかもしれません。こういうのがあるせいかショスタコーヴィチはどうもイメージがつかみにくい人ですね。

Honegger オネゲル/ムーヴマン・サンフォニック第2番、交響曲第2番、ムーヴマン・サンフォニク第3番、モノパルティータ、夏の牧歌、ムーヴィマン・サンフォニック第1番(デイヴィッド・ジンマン指揮/チューリヒ・トーンハレ管弦楽団)

3つのムーヴマン・サンフォニックが良いです。特に第1番パシフィック231の躍動感溢れる演奏と美しい録音が光ります。

Iber イベール/寄港地、フルート協奏曲、モーツァルトへのオマージュ、交響組曲「パリ」、バッカナール、ボストニアーナ、ルイヴィル協奏曲(シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団)

フルート協奏曲と交響組曲「パリ」が面白い。とくに交響組曲の軽快さと洒脱さ加減は爽快です。

RIMSKY-KORSAKOV リムスキー=コルサコフ/ 歌劇「クリスマス・イヴ」より/「ムラダ」第三幕 - トリグラフ山の夜より/「皇帝の花嫁」より/墓前に Op.61(ベリャーエフ追悼の前奏曲)/祝辞
(イゴール・ゴロフスチン指揮/モスクワ交響楽団)


クリスマス・イヴもいいんだけど、Night on Mount Triglavが実に素晴らしい。なんとなく映像的な音です。

PROKOFIEV:Peter and the Wolf/ BRITTEN:The Young Person's Guide to the Orchestra/ SAINT-SAENS:Carnival of the Animals (Marian Lapsansky, Peter Toperczer, Czechoslovak Radio Orchestra, Ondrej Lenard) 

余計な語りがナシのヴァージョン。かなり気に入ってます。

BEETHOVEN / Piano sonata no.30,31,32
ウィルヘルム・バックハウス(p)
ベートーベンのピアノソナタはギレリスが一番好きなのですが、ギレリスと同じくらいに気に入ってるのがバックハウス。特にこの後期ソナタ。実に深い。

SHOSTAKOVICHショスタコーヴィチ/弦楽四重奏曲全集 Vol.1 第4番/第6番/第7番(エーデル四重奏団)
    

定番のフィッツウィリアム四重奏団盤とはまた違った素晴らしさ。


SHOSTAKOVICHショスタコーヴィチ/交響曲第10番(ムラヴィンスキー/レニングラード交響楽団)

1976年録音のムラヴィンスキーのショスタコ10番。とにかく素晴らしい!

POULENC プーランク/ピアノ協奏曲、2台のピアノのための協奏曲、オルガン協奏曲/シャルル・デュトワ、フィルハーモニア管弦楽団、パスカル・ロジェ(p)

なんだかサン=サーンスみたいなピアノ協奏曲、頭に残る旋律という点ではトップクラスです。フランスもののスペシャリスト、ロジェが綺麗にやってくれてます。

日本管弦楽名曲集

NAXOSの日本作曲家選輯の第一弾として出たCD。これはかなり面白いです。まず一曲目の外山雄三「管弦楽のためのラプソディ(1960)」なんですが、何故これが一曲目なのか…。この曲はまずうやうやしく打楽器の連打で始まります。そして、いよいよテーマ部か…ってところでオーケストラが「あんたがたどこさ」をリズミカルに奏でる…、と思ったらそのすぐ後に「炭坑節」のメロディが…。僕はここで植木等(しかも「日本無責任時代」の)が頭に浮かんできます…。かつてクレイジーキャッツ加入以前に植木等はフランキー堺のジャズバンド(スパイク・ジョーンズの冗談音楽をお手本にしたグループだった)にいまして、そこで「炭坑節」を歌ってるんですねえ…。僕はそれ(いちどCD化されたことがあります)が結構好きでよく聴いてたことがあるもんで、やっぱり植木等が頭に浮かんできてしまいます…。というか、この外山雄三の曲、これはかつてアーサー・ライマンやマーティン・デニーがやってたエキゾ音楽の数々とほとんど同じような趣向で作ったものではないのか?マーティン・デニーは東洋のエキゾティズムを表現するために何故かドラを使用したりチャイナっぽいメロディをインチキくさく使ったり、果ては意味不明の雄叫びなんかも飛び出したりなんかして、ムードを盛り上げておりました。アーサー・ライマンはハワイのパラダイスのイメージを表現するのに鳥の鳴きまねやらなにやらでジャングルをイメージした音作りなんかをしてました。こういったキワ物音楽は今ではモンド音楽として高く評価されておりますが、外山雄三のこの曲も実はそういった類いの音楽の一種なのでは…、と勘ぐっているのです。所々民謡メロディをそのまま織りまぜるところなんか、マーティン・デニーも顔負けです。真面目な顔したアナウンサーが駄洒落を言ってしまったときのような、そんな感じ。さて、2曲目の近衛秀麿「越天楽」、ここからがこのCDの真骨頂なのですが(笑)、この雅楽の有名曲である「越天楽」を西洋のオーケストラのスタイルでやってしまうという大胆さ(安直さ?)が実に素晴らしい。この曲ってこんなに美しかったけか?とつい思ってしまったほど美しいものに仕上がっております。このCDの中でも白眉ですね。3ー4曲目は伊福部昭の「日本狂詩曲」。これまた植木等が出てきそうですが…、外山雄三の曲ほど遊びはなく、ジャポニズム的メロディの際立つ楽し気な曲です。5ー6曲目が芥川也寸志「交響管弦楽のための音楽」。7曲目が小山清茂「管弦楽のための木挽歌」、これはチェロがなんともエキゾチックなメロディを奏でた後、祭り囃子のような展開になります。8曲目が吉松隆「朱鷺によせる哀歌」、これまた実に素晴らしく、どこか儚さを感じる曲。

クープラン/小教区のオルガン・ミサ:ジョルジュ・ローベル(organ)

フランス古典音楽のクープラン(1688ー1733)の教会音楽。1781年修復のサン・メリー教会(パリ)の大オルガン使用とのこと。パイプ・オルガン特有の壮大さより、どこか小気味よさのようなものを感じてしまう。とはいえ神聖なミサ曲。濁った空気を洗い流してくれます。

フランク/The Organ Works Of CESAR FRANCK:JEAN GUILLOU (ORGAN)

フランスのセザール・フランク(1822ー1890)のオルガン曲を集めたCD2枚組。とにかくこのパイプ・オルガンの音がスペイシーなのです。こういう曲調だからなのか、それとも録音がクリアだからなのか、まるで宇宙の真ん中で星の輝きを眺めているかのような…、そんな不思議な響き。ちなみにこれ、僕の行きつけの中古屋でパイプ・オルガンの珍しいCDを100枚くらい大放出したときに買ったもの。結構みんな安く出てたのでもっと沢山買っておけばよかったとちょっと後悔…。ところで僕が普段聞けるパイプオルガンの演奏ってば、日本橋三越にあるウーリッツァー社の歴史的な超大型パイプオルガンだけ。このパイプオルガンも凄くいい音なんだけど、演奏曲が何故か「ふるさと」(笑)だったりするんですよねえ…。客層が年輩ばかりだからとはいえ、これはないだろうって曲ばかり…。でもクリスマスの時期にはちゃんとクリスマス曲やってくれたりするので嬉しいのです。

松平頼則:ピアノとオーケストラのための主題と変奏/ダンス・サクレとダンス・フィナル~ダンス・サクレ/左舞/右舞/ダンス・サクレとダンス・フィナル~ダンス・フィナル

ラストに入ってる世界初録音の「ダンス・サクレとダンス・フィナル~ダンス・フィナル(長慶子)」がとにかく素晴らしいのです。メシアンも武満もビックリな色彩感。この曲だけでもこのCDは価値アリです。1曲目の「ピアノとオーケストラのための主題と変奏」はかつてカラヤンが指揮した唯一の日本人作曲家の曲だそうです。雅楽の「越天楽」をテーマとした変奏曲。音が点のように置かれる「左舞」はバスドラがちょっとうるさすぎて?ですが「右舞」は楽器のカラフルさもあって面白いです。とはいえやっぱバスドラの音をもう少し小さくして欲しかった…。

フランス・ブリュッヘン/ブロックフレーテ名演集

フランス・ブリュッヘン(ブロックフレーテ)

このたて笛(いわゆるリコーダーのことですが)はバロック期からあった楽器ということですが、普段我々が耳にするクラシックではたて笛のものはほとんどないように感じます。しかしながらこのブリュッヘン、とにかく凄い。驚異的なたて笛ソロからチェロ(ビルスマ)、チェンバロ(レオンハルト)、ヴィオラダガンバ(ハルノンクール)等との室内楽まで…。コレルリ、ヴァン・エイク、カー、クープラン、レイエ、ヴィヴァルディ、テレマンの曲をやっております。

G.I.グルジェフ/SACRED HYMNS (P:キース・ジャレット)

グルジェフとハルトマンによって作られた讃歌集。ハルトマン本人による自演盤も出ております。グルジェフとハルトマンは例のグルジェフ・ワークから生まれた(?)曲を結構沢山作っております。だいたいグルジェフの奇書「ベルゼバブ」やウスペンスキーの本はサッパリ意味分からない。でも音楽なら聞けてしまうんですね。しかもこれは讃歌ってことなので少なくともベルゼバブよりは分かりやすい(笑)。静謐な印象の曲ばかりです。

ヘンデル/クラヴィーア組曲第1番、ブラームス/ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ、レーガー/J.S.バッハの主題による変奏曲とフーガ 
piano:アンドラーシュ・シフ

バッハ弾きとして人気のアンドラーシュ・シフのライブ音源。前半はヘンデルがらみ、後半がバッハがらみという構成。とにかくヘンデルのクラヴィーア組曲第1番のプレリュードが素晴らしい。この組曲は1.プレリュード、2.ソナタ、3.アリアと変奏、4.メヌエットという4部構成なんですが、どうもメヌエットでの終わり方が妙な感じ。宙に浮いたまま着地出来ないような印象。しかし、シフはこのメヌエットとブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」を続けて演奏することによりなんとなく着地させています。このブラームスの曲はヘンデルのこの組曲のアリアの部分を変奏したものなんですよね。だからメヌエットのつぎにまた3番のアリアが来るっていう構成になり、この組曲をめでたく完結させております。そもそもこのヘンデルの組曲自体がこのアリアの変奏で出来てるんで、CDの前半全部がひとつの変奏曲としてまとまっているのですね。まあ、ブラームスの曲に移ると徐々にダウナー系になっていきますが…。とはいえ、僕はこのヘンデルの組曲のプレリュードの華麗さに魅了されてまして、これだけで十分なのです…。

歴史的ヴァイオリニスト達 オーパス蔵サンプラー

通常、SP盤から復刻する際のノイズ処理によって音質が著しく劣化するそうですが、オーパス蔵レーベルはノイズ取りを最小限にして当時の演奏家の表現を味わえるようにCD復刻をしているそうです。てことで、このCDはそのオーパス蔵レーベルのサンプラー。サンプラーとはいえかなりの優れもの。とにかく素晴らしすぎなので中古屋で見つけたら即買いです。15人の演奏家による1920年代~30年代の演奏が入っておりまして、それぞれ実に素晴らしいものです。ヴェッチー、ヌヴー、ジャック・ティボー、プシホダ、ブッシュ、クライスラー、ハイフェッツ、メニューイン、ジンバリスト、エルマン、シゲッティ、ミルシテイン、エネスコ、フレッシュ、フレーベル…といった名ヴァイオリニスト達の小品の数々は本当に味わい深い。8分半におよぶジンバリストの「サラサーテ/カルメン幻想曲」やハイフェッツの「バッチーニ/妖精のロンド」なんて本当に圧倒されます。シゲッティの「パガニーニ/カプリース第9番」以外はすべてピアノの伴奏が入ります。そしてこのピアノがこれまた味わい深い…。SP盤からおこしただけあってスクラッチノイズも入りますが、これがぜんぜんマイナスになってないところがこれまた面白いです。

賛美歌100選 第7集/監修・選曲:日本基督教団賛美歌委員会

クリスマスにちなんだ賛美歌を集めたCD。すべて日本語による賛美歌です。なんといっても大好きな「あら野のはてに」が嬉しい。この曲の指揮は三宅洋一郎、東京混声合唱団の合唱、草間美也子のオルガンです。シンプル極まりないコーラスとバックが実にいい感じ。ふわふわとした感触も素晴らしいです。有名曲がたくさんありますが、「もろびとこぞりて」とか聴いてるとなんだか本当にクリスマス気分になってしまいます。

G.I.GURDJIEFF(G.I.グルジェフ)/READING OF A SACRED BOOK (聖なるハーモニー・グルジェフの宇宙)The Complete Piano Music Of G.I.GURDJIEFF and TH. DE HARTMANN Vol.2

piano : CECIL LYTLE(セシル・ライル)
CD2枚組で、CD-1にはキース・ジャレットのグルジェフ作品のアルバム『SACRED HYMNS』と同じ曲(トータルで58分)がまるごと入っています。キース盤のようにドラマチックな展開はなく、淡々と弾いているので好感が持てます。聖書ソナタとも呼ぶべき神聖な雰囲気が感じられます。

G.I.GURDJIEFF(G.I.グルジェフ)/SEEKERS OF THE TRUTH (奇蹟を求めて~グルジェフの神秘)The Complete Piano Music Of G.I.GURDJIEFF and TH. DE HARTMANN Vol.1

piano : CECIL LYTLE(セシル・ライル)
CD2枚組で1枚目が「SEEKERS OF THE TRUTH(奇蹟を求めて)」全曲。2枚目は「寺院からの讃歌」と「スフィの儀式」。どちらも1920年代に作曲されたと言われております。実に静謐な雰囲気のアルバムです。「奇蹟を求めて」はキース・ジャレットのソロに実によく似ている…というか、キース・ジャレットの方がグルジェフに似ていると言うべきですね。キースはECMから『SACRED HYMNS』というグルジェフのアルバムを出してますが、ひょっとしてかなり昔からグルジェフの曲に親しんでいたのかもしれません。だいたい60年代にはあのチャールズ・ロイドのグループにいたくらいだし、しかもあの髪型だったし…ヒッピー達にもてはやされたグルジェフに関してはきっと早くから知っていたんでしょうね。キース・ジャレットの原点にこのグルジェフがいたとすると、キースの作品を鑑賞する上で新しい視点から味わうことが出来ますね。グルジェフの思想とキースの音楽の泥臭さ…。なんだか新しいキース論でも書けそうです。さて、キースに関してはこれくらいにしておきまして、このアルバム、ピアノを弾くセシル・ライルの淡々とした解釈が実にいい感じなのです。特に1枚目の「奇蹟を求めて」。この曲がこんなにも美しく響くのはセシル・ライルの手腕によるところも大きいかもしれません。名曲、そして名演です。僕はこれ聴いてると何故だか神経が細やかになるような気がしてきます。精神的に安らぐのでしょうか、時間がゆっくりとスローな感じで流れます。いつもなにかとせわしない日常なのでこのアルバムの存在はなんともありがたい。とりあえずグルジェフの難しい思想は脇に置いておいて、この音楽だけを楽しみたいですね。

GEORGE GERSHWIN PLAYS GEORGE GERSHWIN (PEARL)

ジョージ・ガーシュイン(p)
ジョージ・ガーシュインの貴重な自作自演集です。CD2枚組。1924年の「ラプソディー・イン・ブルー」の初演も入ってます。この初演は今聴くとかなりのアップテンポで、今普通に聴かれてる「ラプソディ・イン・ブルー」とはかなり印象が違いますよ。また1927年のラプソディ・イン・ブルーも入ってます。こちらの方が多少音質がいいので聴きやすいです。ラグ調のピアノ・ソロの数々はガーシュインのピアニストとしての素晴らしさを見事に証明しています。また、フレッド・アステアがヴォーカルを取る曲のバッキングでの軽やかさも聞き物。文字どおり「古き良き時代のアメリカ」がここにあります。そしてアメリカ音楽の中の最も素晴らしいアルバムのうちのひとつであることは間違いないでしょう。1924年~36年までの音源です。

Gershwin Plays Gershwin: The Piano Rolls 

ガーシュイン自身が自作曲を弾いたピアノロール集。陽気なラグ集とでもいった雰囲気のなんとも楽しいアルバム。PEARL盤「
GEORGE GERSHWIN PLAYS GEORGE GERSHWIN 」と聴き比べてみるのも一興かと思います。

シューベルト・即興曲 作品90 D.899/アルフレッド・ブレンデル

ブレンデルを聴く機会って実はあんまり無いんですが、これだけは別。

バリオス BARRIOS /ギター作品集 第1集

アンティゴーニ・ゴーニ(g)
1曲目、こんなに気持ちよくギターが鳴ってると気分よくなってきます。バリオスは南米パラグアイの作曲家。ガットギターの本場スペインともブラジルとも違う独特の哀愁があります。ギターの乾いた音質もいいですね。ナクソスのギターのシリーズの中でも白眉の一枚ではないでしょうか。

ブラームス Brahms:ピアノ協奏曲2番 Piano Concerto No.2/Intermezzo,Op.117
シューベルトSchubert: Impromptu
リストLiszt; AuBord D'Une Source/Sonetto No.104/Hungarian Rhapsody

ウラディミール・ホロヴィッツ(p)アルトゥーロ・トスカニーニ(cond)NBC交響楽団
ブラームスのピアノ協奏曲2番。数あるピアノ協奏曲の中でも最強のうちのひとつでしょう。この曲の名演ってことでは切れ味鋭いギレリス盤やスケールの大きなバックハウス盤などがありますが、中でも凄みという点で他を全く寄せつけないのがこのホロヴィッツ&トスカ盤。これこそ最強。

LEGNANI,GIULIANI,SOR,DIABELLI,PAGANINI/ EDUARDO FERNANDEZ (フェルナンデス・ギター・リサイタル)

エドゥアルド・フェルナンデスの驚異のデビュー作。レーニャ奇想曲から飛ばします。ギターの下手くそな僕からみるとフェルナンデスのようにギターを操れるのは手品か超能力。ああ、こんなふうにギター弾いてみたい…。

HOROWITZ PLAYS SCARLATTI (スカルラッティ・ソナタ集)/ウラディミール・ホロヴィッツ

ホロヴィッツのスカルラッティはなんだか幸せな気分になります。ホロヴィッツだから明るく聴こえるのかな…?この明るい曲調はチェンバロよりピアノで聴きたい(チェンバロだと僕には濃すぎ)。ピアノから目くるめく色彩を紡ぎ出すホロヴィッツにどっぷり漬かりたいときにはこれ。

フォスター/フォスター・フォー・ブラス

チェスナット・ブラス・カンパニー
ナクソスのこの手のB級企画は大好きです。フォスターの有名曲の数々(全27曲)を19世紀の楽器(すべて管楽器)を使って演奏したもの。のほほんとした響きに思わずニッコリしてしまいます。グランマ・モーゼスの絵の中で鳴っているような、古き良き時代のアメリカの音。なんだか古い遊園地で日なたぼっこでもしているような気になってきます。

ショスタコーヴィチ/ジャズ組曲1番、2番、バレエ組曲「ボルト」、タヒチ・トロット

ドミトリ・ヤブロンスキー/ロシア国立交響楽団
これと同じ企画でシャイーの優れたアルバムもありますが、こちらも負けてません。ジャズ組曲のラウンジ感覚はなかなか素晴らしいです。

ヴァレーズ/アメリカ・イオニゼーション・アルカナ(ブーレーズ指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック)


A面すべてを占める「アメリカ」を聴いてるとどうにも具合が悪くなって来るのですが…(笑)、ストラヴィンスキー「春の祭典」直系というか「春の祭典」のバーバルな部分だけを受け継いだというか、ドビュッシー「遊戯」も混ぜてみましたというか、そんな永遠に理解されそうにない(?)楽曲。音量を上げて聴くと体力を消耗しますが(笑)、音量をしぼって聴くとそれなりに味わいが感じられて、いい感じであります。それはそれとして…、B面の「イオニゼーション」と「アルカナ」は聴きごたえアリ。都市の騒音の快楽のような、宇宙空間の聞き取れないはずの音の再現のような、まあ、そんな勝手な妄想を喚起させてくれる曲です。指揮はヴァレーズの最大の理解者であったブーレーズ。

メシアン/トゥ-ランガリラ交響曲(ケント・ナガノ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団他)

どこかフランスの香りのするトゥランガリラです。2000年の録音。ケント・ナガノはミヨーの素晴らしいアルバムがありますが、メシアンもこれまた素晴らしい。特に第5楽章なんて、あれ?こんないい曲だったっけ?と思ってしまうほど美しい出来ばえ。メシアンから直接教えを受けたピエール・ローラン・エマールのピアノもいい感じ。今まで聴いたトゥランガリラの中でもいちばん自分の趣味かも。

ONDES MARTENOT オンド・マルトノのための作品集/トマ・ブロシュ トマ・ブロシュ・ウェイブス管弦楽団 他

なんと、オンド・マルトノのために作曲された作品だけを集めたアルバム。オンド・マルトノといえばメシアンのトゥランガリラ交響曲が有名ですが、他にもいろいろあるんですねえ。世界初録音なんてのもいくつかあったりなんかして、相当面白いです。さすがナクソス、やってくれます。電子楽器なのにアナログな表情の出る面白い楽器。こんなにもいろんな表情があるとは思いませんでした。

武満徹/そして、それが風であることを知った/海へ/雨の樹 他

静かで美しい曲ばかり。いつのまにやら愛聴盤になってました…。

武満徹/ジェモー、夢窓、精霊の庭(若杉弘:東京都交響楽団)

庭をテーマにした曲を集めたCD。武満独特の色彩感溢れる和音感覚が綺麗です。特にジェモー。なんだか夢の時間を泳いでいるかのよう。あと、武満の作品は「カトレーン」にしても「鳥は星形の~」にしてもそうなんだけど、突然ジャ~ンって盛り上がったりします。このアルバムのジェモーにしてもラストで突然ジャ~ンって盛り上がっちゃう。これ、僕にはいまいちです。このラストのこの一瞬の盛り上がりで夢からさめるって感じか…。でもその部分だけクリアすればあとは夢心地なのです。

メシアン/峡谷から星たちへ…(チョン・ミュン・フン/フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団)

美しい曲。特に第3部。いろいろな色彩が一気に噴出するかのようです。

メシアン/トゥランガリーラ交響曲(リッカルド・シャイー/コンセルトヘボウ管弦楽団)

色彩感豊かなトゥランガリーラ交響曲はかなり好きです。全面的にフィーチャーされるオンド・マルトノの妙な音も面白いのです。第6楽章で深くやすらぎます。

WALTER FAHNDRICH / VIOLA(ECM/1991)

ヴィオラによる即興演奏。ミニマル・ミュージックです。冷たい空気感がイイですねえ~。ECM NEW SERIESの中でも屈指の名盤でしょう。同じフレーズの繰り返しの中から徐々に浮かび上がってくる新しい「音」。それがなにか「光」のようにも感じられてきます。非常に不思議な音楽です。


メシアン/Catalogue d' oiseaux (鳥のカタログ)
ホーカン・アウストベ(p)
いうまでもなくメシアンの代表曲のうちのひとつ。何回聴いてもこれのどこが鳥じゃ?っていう気分になりますが、実際には鳥の鳴き声を採譜したものなんですよね、これ。見事なまでの実験音楽。

メシアン/アーメンの幻影
マルタ・アルゲリッチ(p)アレキサンドル・ラビノヴィチ(p)
オリビエ・メシアンってば「世の終わりのための4重奏」ですが、この「アーメンの幻影」は隠れ名曲。実はライブでこの演奏を見に行ったことがありまして、もうね、凄いですよ、本当に。曲の良さもさることながら、アルゲリッチの狂気あふれる演奏。ショパンのピアノ・ソナタ2番第一楽章でのアルゲルッチの迫力そのままに、疾走するメシアンなのです。

KEVIN VOLANS / Hunting Gathering
クロノス・カルテット
実はクロノスはあまり好きじゃなかったりするのです。ジミヘンの曲なんかを弦楽で綺麗にやったって面白くないじゃん、なんて思ってしまうからなんですがね。でも中には面白いものもいくつかあって、特にケヴィン・ヴォランズのこれなんかは映像が浮かんでくるようで、すきです。

MICHAEL NYMAN / The Piano Concerto(1997/NAXOS)
「蜜蜂が踊る場所」(サキソフォン協奏曲風)と「ピアノ協奏曲」が入ってるCDです。それにしてもなんて俗っぽいんだ…(笑)。この俗っぽさ、最高です。いっそのことプログレとして売ったほうが良かったのではないか(余計なことだが…)。映画音楽の作曲家として活躍するナイマンのクラシック作品ですが、やはり映画音楽っぽいですね。ナイマンの曲ってあらかじめゴールが決まってて、そこに向かって一直線に曲が進んでいくっていう印象があるのですが、これってたぶんラスト近くなるといつも盛り上がるってところから来るんでしょうね。

MICHAEL NYMAN/ String Quartets 1-3 /BALANESCU QUARTET (1991/ARGO)
ナイマンのストリング・カルテット作品。ミニマル的に展開していきます。あまりヴォリュームを上げずに聴くと結構気持ちいいのです。さらっとしてて意外におしゃれな音楽(?)ですよね、これ(笑)。

 


(文:信田照幸)


 

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