クラシック (その2)


ミヨー DARIUS MILHAUD /LE BOEUF SUR LE TOIT, LA CREATION DU MONDE , CONCERTO POUR HARPE

KENT NAGANO/ORCHESTRA DE L'OPERA DE LYON
華やかなLE BOEUF SUR LE TOITからして楽し気です。楽しい曲をひたすら楽しく演奏したという感じ。ストラヴィンスキー好きの僕には「世界の創造」も楽しい。ハープ協奏曲はなにやら春の気分。

ミヨー DARIUS MILHAUD /Le Carnaval d'Aix, Concerto pour piano et orchestre No.1,Cinq etudes pourpiano et orchestre,Concerto pour piano et orchestre No.4,Ballade pour piano et orchestre(「エクスの謝肉祭」「ピアノ協奏曲1番」「5つの練習曲」「ピアノ協奏曲4番」「バラード」)

Claude Helffer (p) Orchestre National de France /David Robertson
ミヨーのファースト・チョイスに最適なアルバム。有名(?)なエクスの謝肉祭もいいけど僕はピアノ協奏曲がお気に入り。ミヨーの都会的な「響き」がよくでています。特にピアノ協奏曲1番第3楽章は最高です。とにかくこれは僕の超お気に入り。

ミヨー Darius Milhaud /SUITE PROVENCALE プロヴァンス組曲 /LE CHATEAU DU FEU 焔の城/LA MORT D'NUN TYRAN ある暴君の死/INTRODUCTION ET MARCHE FUNEBRE 序奏と葬送行進曲/CATALOGUE DE FLEURS 花のカタログ

ダリウス・ミヨー(指揮)パリ・フィルハーモニック管弦楽団 4のみセルジュ・ボド(指揮)パリ音楽院管弦楽団
ミヨーのアルバムの中でも最も聴きづらいであろう一枚。とはいえ出だしのtake1と2だけの話なんですが、これだけでもちょっと凄いインパクト。なんだこりゃ?ってくらいに沈鬱でシリアスな音の塊がつぎからつぎへと…。ショスタコーヴィチ交響曲13番バビ・ヤールもびっくりって感じです。これで初めてミヨーを聴くって人がいたとしたら、きっとその人はその後ミヨーを一切聴かなくなるでしょう(笑)。しかし、そのあまりに強烈なインパクトゆえに重宝することも確か。たまに変わり種を聴きたいってときにはこれを引っぱり出してきます。あ、ラストの「花のカタログ」は例外的に穏やかです(って「花のカタログ」って題名でおどろおどろしい音楽だったらそれはそれで逆に面白かったかも…)。

ミヨー Darius Milhaud /Orchestre de Chambre D'autriche 
(Concertino d'ete/ Symphonie no 1~no 6/ Concertino d'automne)

Jean-Philippe ROUCHON (direction)/ Orchestre de Chambre d'Autriche
目下のところ超お気に入りのCD。毎日毎日飽きずに聴いております。Concertino d'eteとConcertino d'automneの間に Symphonieの1番から6番までが挟まれている構成のアルバムです。ヴァイオリン・コンチェルトのようなConcertino d'eteとトロンボーン&ピアノ・コンチェルトのようなConcertino d'automne(いずれも1951年の作曲)がとにかく美しい。Symphonieの方は1番が「春」、2番が「パストラル」、3番が「セレナーデ」と副題が付いています(4番~6番は副題ナシ)。この副題のごとくなごやかで品のある音楽です。4番あたりからスクリャービンのような神秘的で怪し気な和音が出てきますが、ぎりぎりの所で「あっち」の世界に行かずに踏み止まっている感じ。この「ぎりぎり」の感じは例えていえばデイブ・ブルーベックの紡ぎ出すソロがアチラの世界へ行くぎりぎりで踏み止まっているって感じに近いかも。このアルバムはまるでトータルでひとつの曲のように感じられるほど全体としてまとまりがあります。どの曲も特にキャッチーなフレーズがあるわけでもなく、複雑な旋律がふわふわと空中に漂うような…そんな夢心地で不思議な音楽です。ミヨーって人はやたらと多作で、そのわりには音源を入手出来るものが限られているようですが、これは間違い無くアタリの1枚。

マーラー交響曲7番<夜の歌>(クルト・マズア/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団)

マズア&ゲヴァントハウスってば評価が二分されてるようですが、僕は大好きです。このマーラー7番、とにかく素晴らしい。第1楽章のノリのよさったらありません。この曲はこの早さでやってもらいたいものです。遅いものはどうにも聴けません(別にクレンペラーの文句を言ってるわけではない)。ちなみにこの曲の第5楽章はあまり好きではないので聴きません…。

ミヨー Darius Milhaud /交響曲1番、2番、プロヴァンス組曲 Symphonies 1 & 2 ,Provencale(MICHEL PLASSON /ORCHESTRE DU TOULOUSE )

このアルバムはなんと言っても「プロヴァンス組曲」が素晴らしい。ミヨーらしい南仏の開放的な明るさに満ちています。

ミヨー Darius Milhaud /Scaramouche, Le Bal martiniquais, Paris,Le Carnaval d'Aix, Suite francaise,Suite provencale

Christian Ivaldi, Noel Lee, Michel Beroff, Jean-Philippe Collard (p)
Scaramouche, Le Bal martiniquais, Paris,の3つがピアノ・ヴァージョン。残りはGeorges Pretre指揮によるピアノとオーケストラの作品。出だしのスカラムーシュ・ピアノ版はいきなりフェランテ&タイシャーばりの2ピアノの軽快な音楽。まるでフランス版ガーシュインとでもいうようなポップ感覚溢れるピアノアレンジです。他の2曲のピアノ曲もピアノ編曲版ですが、素晴らしい出来。後半、オケ&ピアノ編ではエクスの謝肉祭はなんとも安っぽい仕上がり。だいたいミヨーの曲って安っぽかったりするので、あえてそれを強調したのかもしれませんが…、ちょっとやりすぎか…。

ミヨー Darius Milhaud /チェロ協奏曲1番

ロストロポーヴィチ(cello)ケント・ナガノ(cond)ロンドン交響楽団
第1楽章は「ノンシャラン」、第2は「厳かに」、第3は「愉快に」と副題が付いております。ミヨーはコンチェルトにおいて重要なのは演奏家の技量の極限を追求することである、と言ってたそうですが、この曲は聴いてるぶんにはそんな難しさはあまり感じさせません。ロストロポーヴィチ御大のマジックでしょうか。第1~第2楽章の穏やかな流れが非常に美しい。第3楽章で一気ににぎやかになります。

ミヨー Darius Milhaud /管楽器のための室内楽作品集 Music For Wind Instruments(ルネ王の暖炉、コレットによる組曲、ディヴェルティスマン、パスオラル、2つのスケッチ)

アテナ・アンサンブル
管楽器だけのアンサンブルの小品集。クラシックというよりはイージーリスニング、軽音楽といった趣きもあります。バロックやロココ等の古典の匂いを残しつつミヨー独自のふわふわ感がよく出ていて、聴けば聴く程味わい深い。ラウンジのBGMとしても結構いけるのでは?

ミヨー Darius Milhaud /四季(4つの小協奏曲)Les Quatre Saisons (春の小協奏曲、夏の小協奏曲、秋の小協奏曲、冬の小協奏曲)

ダリウス・ミヨー(cnd)シモン・ゴールド・ベルク(vln)エルンスト・ワルフィッシュ(viola)ジェヌヴィエーヴ・ジョワ&ジャクリーヌ・ボノー(p)モーリス・スザン(tb)ラムルー管弦楽団のソリスト達 
1958年6月3ー10日 パリ録音。
実に美しいアルバムです。いままで聴いたミヨーのCDの中ではナンバーワンかも。「四季」という題名になってますが、この4曲、元々はそれぞれ別々の年代に作曲されたもの。しかしこうやってまとめて聴くと統一感みたいなものがあるから不思議です。幸福感いっぱいの「春の小協奏曲」はシモン・ゴールドベルクの流麗なヴァイオリンが全編に渡って胡蝶のごとく舞っております。ヴィオラが活躍する「夏の小協奏曲」はさながらモノクロ映画の一場面のよう。ホルンのひびきが印象的な「秋の小協奏曲」はピアノ×2、フルート、オーボエ、ホルン×3、ヴィオラ、チェロという楽器編成で、つぎからつぎへと表情を変えていき、ラストの「冬の小協奏曲」はトロンボーン協奏曲になっていて、どことなくジャジーで都会的な雰囲気です。ミヨーに関しては交響曲よりもこういった協奏曲や管弦楽曲風のもののほうが好きですね。

カリンニコフ交響曲1番、2番

National Symphony Orchestra of Ukraine / Theodore Kuchar
このCDの大ヒットをきっかけにナクソス人気も大きくなったような印象があります。この1番の第1楽章のインパクトはかなり大きいですね。

ガーシュイン Gershwin / 第2ラプソディ second rhapsody for piano and orchestra/ variations on "I got rhythm /prelude1,2,3(columbia)
オスカー・レヴァント Oscar Levant(p)モートン・グールド・アンド・ヒズ・オーケストラ


10インチ盤レコード。バチバチとすごい雑音が入りますがこの演奏をやけに気に入っているので頻繁に聴きます。特にA面の「第2ラプソディ」。これは本当に素晴らしい。ガーシュインと親交のあったオスカー・レヴァントの演奏なもんで当然古い録音なんですが、ジャケに詳しいデータが書いてないので録音年代は不詳。この10インチの輸入盤レコード自体は1950年発行のもののようです。ジャケット・デザインが実に美しい。

シベリウス交響曲5番/バルビローリ(指揮)ハレ管弦楽団(1966)

この曲にしてはずいぶん情熱的というか、豊かな表情を持つ演奏ですが、かなり気に入っております。

シベリウス交響曲5番/パーヴォ・ベルグルンド(指揮)ボーンマス交響楽団(1973)

スタンダードで堅実な解釈が素晴らしい。

アルハンブラの思い出/ナルシソ・イエペス

もはや説明不要!問答無用!天地無用!10弦ギターのイエペス、伝説のウルトラ名演です。僕は「アルハンブラの思い出」を聴いてブっ飛び、中学1年のときにクラシック・ギターを買いました。結局弾けず…。まあね、冷静に考えればこんなの弾けるわけねーだろ(爆)。

モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り/ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮)(1989/ARCHIV)

モンテヴェルディゆかりのサン・マルコ大聖堂で録音されたというこのアルバム。清々しく神聖な雰囲気いっぱいの演奏です。まるでステンドグラスから漏れてくる光を浴びているかのような感じ。

ハイドン 交響曲第97番・第98番/ショルティ(指揮)ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

ハイドンのマイブームはたまたま手に取ったこの1枚からやってきた。それまで何も感じなかったCDなのに、ある日突然とてつもなく素晴らしく聴こえるということは度々ありますが、これもまたそのうちのひとつ。これほどまでに何度でも繰り返し聴きたくなるというのはひさしぶりかも。

ハイドン 弦楽四重奏曲「十字架上のキリストの7つの言葉」(THE SEVEN WORDS)/ロザムンデ・カルテット(ECM/2001)

どうにも地味な弦楽四重奏ながら、実はこれが聴き流すのにちょうど良い。全体を通してゆっくりとしたテンポなのでこれまたBGM的に程よいわけです。なんてことを言うとコアなハイドン・マニア、またはコアなロザムンデ・カルテット・マニア(いるのか?)に怒られそうだけど、これでは僕の集中力は持たないわけで…。がしかし、絵を描きながら、本を読みながら、あるいはごはんを食べながらこれを聴くという使用法ではこのCDは抜群だったりします。(…いや、別に本CDがじっくり聴くほどの価値もないなんて言ってるわけじゃないですよ)。そもそもECMなので音もスッキリ。ECM的なひんやり感もバッチリ。そんなわけでいつのまにか聴く回数が多かったりするのです。ECMのカタログ中、唯一のハイドン作品でもあります。

ハイドン・ピアノ・ソナタ第46番、第19番/ポゴレリッチ(p)

ポゴレリッチの音はなんだか信用出来る気がする。昔ショパンのP協2番を聴いて以来、何故だかポゴレリッチは信用出来る。このハイドンのソナタもこれまたキメの細かい演奏。

マーラー交響曲4番/ショルティ(指揮)コンセルトヘボウ

僕の中ではこの曲の基本盤になってるのがこのショルティ&コンセルトヘボウ盤。このコンセルトヘボウの音の響きがいいんですよね。まあ、この響きはDECCAだからだということもあろうかとは思いますが…。ここ最近は何故だかマラ4にハマってまして毎日のように聴いております。

マーラー交響曲4番/カラヤン(指揮)ベルリンフィル

渾沌として輪郭のはっきりしない表現方法を取るカラヤンBPOのマーラー4番。平均的でつまらん、などと思っていたのは最初のうちだけ。繰り返し聴いたり他の盤との聴き比べなどをしてくると徐々にこの盤の安定度が分かって来て、素晴らしさに変わってくるから不思議だったりする。大衆に迎合したような良からぬイメージのカラヤンではあるけど、実は聴き込むほどに味があったりするから油断がなりません。ちなみに僕はこの曲、第4楽章は飛ばすことが多いです…。

マーラー交響曲4番/シャイー(指揮)コンセルトヘボウ

管楽器の派手なマーラー4番です。ここまで管が全面に出て来ると何やら別の曲のようにも聴こえてきますが、でもまあこういった綺羅びやかさもこれはこれでアリでしょう。というか、これはかなり好きかも。随分と個性的な解釈です。第2楽章なんかすっかり別の曲ですね…(笑)。

マーラー交響曲4番/マゼール(指揮)ウィーンフィル

第1楽章、テンポが突然早くなったりして曲の流れがブツ切り的な感もなきにしもあらずではありますが、滑らかさも感じられるところが流石ウィーンフィルといったところ。まろやかなホルンの響きに聞き惚れます。

ハイドン・ピアノソナタ48番、20番、50番/アンドラーシュ・シフ

ハイドンのピアノソナタはこのようにアルバムとしてまとまっていると聴きやすいですね。特にゆっくりとした出だしがイイではないですか。これ聴くとなんだか落ち着くのです。

マーラー交響曲4番/ネヴィル・マリナー(指揮)シュトゥットガルト放送交響楽団

毒気をすべて抜いたようなアッサリ風味の演奏。あまりにあっさりしているのでイージー・リスニングっぽくも聴こえる。が、そこが良い。第1楽章のあまりのスピードに、ああ、この曲はこういう構造になってたのか、なんてことに気づいたりする…。全体的にかなり早めの演奏です。

ミヨー Piano Music (ブラジルの思い出/家庭のミューズ/ボヴァリー夫人のアルバム)/アレクサンドルー・タロー(p)マドレーヌ・ミヨー(narrator)

ミヨーのピアノソロ曲に焦点を当てたアルバム。ミヨー夫人がナレーターとして参加しております。こうやってピアノのソロでミヨーを聴くと、ミヨーの作るメロディラインの独特の臭みのようなものが味わえますね。だた、ナレーションは無い方が聴き易かったかなあ…。「ブラジルの思い出」はナレーション無しなので連続した一曲として味わえます。

シューマン交響曲3番「ライン」/ワルター(cond)ニューヨーク・フィル 1941年録音


ニューヨーク・フィルの特質がよく現れた一枚。スピード感、力強さ、壮大さ、そしてチャチさ(笑)まで、これぞニューヨーク・フィル、といったところ。陳腐な言い方かもしれないが、まるで古き良き時代の映画を見ているかのよう。何故だかN.Y.摩天楼の情景にぴったりのような気になってきます。

シューマン交響曲3番「ライン」/クーベリック(cond)バイエルン放送交響楽団

最近朝起きがけにこれ聴いてます。少しクセのある演奏かもしれませんが、この響きと広がりは快感です。清々しい気分になります。

ベートーベン弦楽四重奏曲第10番・11番/ヴェラー弦楽四重奏団(1964)

「運命」と「田園」を初演し「皇帝」を作った年のつぎの年に作られたのがこの弦楽四重奏曲10番。ベートーヴェンの神髄は後期の弦楽四重奏曲にありという人もいる程ですが、こちらはいわゆる中期の弦楽四重奏作品。ウィーンフィルハーモニーの四人によるヴェラー・カルテットは実に柔らかい音の流れを作っております。軽やかさや華やかさと同時に重厚さも感じさせます。

シェーンベルク ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲/ブーレーズ(指揮)ロンドン交響楽団、ピエール・モアイヤル(vln)、ピーター・ゼルキン(p)

僕の超お気に入りのCDです。12音技法時代の名曲2曲のカップリング。冷徹なブーレーズの指揮はこの手のものだと信用出来ます。ソロイストがオケの中に溶け込んでいるのが特徴。

シェーンベルク 管楽五重奏曲 作品26/パリ管楽五重奏団

これまた超お気に入りレコード。曲自体が好きなのです。この曲には
何のドラマも起こりません。しかし、淡々と変化しつづけて独特の色合いと景色を見せてくれます。フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、バスーンによる12音主義の音のブレンド。1/fゆらぎのような心地良ささえ感じます。

シェーンベルク 弦楽四重奏曲第一番/シェーンベルク弦楽四重奏団

「浄夜」同様ロマン主義的な旋律が特徴だけど「浄夜」ほどベタベタではなく、かつ複雑さと抽象性を増しているので僕としては心地よく聴くことが出来る曲。前半のブラームス的旋律もブラームスほど陰々滅々としていないのでさらりとしていて、いい感じ(途中スケルツォ的な間奏が入るところなどはちょっとマーラーっぽいか?)。シェーンベルクの中でもかなり聴きやすい部類でしょう。録音もクリアで文句なし。よく聴くCDです。

ハイドン交響曲64番、84番、90番(ベーラ・ドラホシュ/ブダペスト・ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア)

NAXOSレーベルのハイドンの交響曲のCDを何枚かまとめて買ってみたらどれもなかなかの高水準。特にこのベーラ・ドラホシュ/ブダペスト・ニコラウス・エステルハージ・シンフォニアのアルバムは素晴らしい出来映え。ハイドンの透明感のある曲調そのままに、実に美しい響きを持った演奏。特に64番は気に入りました。

バックハウス・ハイドン・リサイタル/ヴィルヘルム・バックハウス

「バッハ・リサイタル」を聴いても同じことを思ったのだが、こちらの「ハイドン・リサイタル」を聴いてもなんだかベートーヴェンでも聴いてるような錯覚に陥るわけなのです。その昔、大学生の頃、バックハウスの弾くベートーヴェンのソナタばかり聴いてたことがありまして、その時にすっかりバックハウス=ベートーヴェンって刷り込んでしまったんですね~(笑)。別に今さらそのイメージを変える気もないので、とりあえずそのままにしてありますが。ところで、僕はバックハウスのピアノに、言われるほどロマンティックなものを感じないのですが、ここでもやっぱり王者の風格というか自信たっぷりというか、まあ堂々とした「男」のピアノなわけです。僕の素人考えではハイドンのピアノソナタを女性的に繊細且つロマンティックに弾こうと思えば弾けるような気もするのだが、バックハウスがそんなんなっちゃっても気持ち悪いだけなので…。というか、ハイドンの曲はやはりこうやって堂々と弾くように出来てるんだろうなあ。 

PACHMANN in London 1925&27 (Green Door)

ウラディミール・ド・パハマン(p)

1912年から1927年までの演奏が収められている。ショパン20曲。メンデルスゾーン1曲。おそらくショパン好きにとってはパハマンはコルトーと並んで特別な存在ではなかろうか。残されたすべての音源に価値がある。 

VLADIMIR DE PACHMANN

ウラディミール・ド・パハマン(p)

1915年~1916年の録音。ショパン14曲、リスト3曲、ラフ、シューマン、ブラームス各1曲。パハマンの神髄に触れるには最適なアルバム。ショパンのノクターン2番の素晴らしさには本当に感動する。この遅めのテンポ、優雅なタッチ…。 


(文:信田照幸)


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