ストラヴィンスキー

(いちばん下が最新記事)


「火の鳥」/シャルル・デュトワ(指揮)モントリオール交響楽団

透き通るような音。デュトワの至芸というよりもストラヴィンスキーの独自の素晴らしさが浮き出ているかのよう。やたらと早い「夜明け」等にも見られるように泥臭さが全くない演奏。「イワン王子に追われた火の鳥の登場」があまりにも凄すぎ。カップリングされてる「幻想的スケルツォ」はとにかく絶品!この12分をエンドレスで繰り返して聴いたりすることもあります。DECCA/LONDONだからこんなに透明感があるのかそれともデュトワとモントリオール交響楽団との相性なのか。とにかく素晴らしい演奏。

「火の鳥」エルネスト・アンセルメ(指揮)ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

かなり遅めのテンポを取って始まります。だいたい序曲からして風格が違う。地の底から響いてくるような迫力。ゆったりと波うつような演奏です。アンセルメが亡くなる90日前の録音。

「火の鳥」アンタル・ドラティ(指揮)デトロイト交響楽団

この曲の幻想性とカラフルな色彩感がよく表現されている名盤。メリハリがあって、すべての楽器が踊っているかのように生き生きとしています。

「火の鳥」/ブーレーズ(指揮)ニューヨーク・フィルハーモニック(1975)

まるでガーシュインのような「火の鳥」。ブーレーズの旧盤。このあっさり風味とスピード感は他に類が無く、数ある「火の鳥」の中でもかなり特異な部類に入るでしょう(あまりのアッサリ感にちょっと拍子抜けしそうにもなりますが…)。ロシアというよりもニューヨーク。都市の音的スケッチのように感じてしまいます。他の指揮者のようにタメを効かせたり情感的になったりということが一切なく、冷徹なまでのストイックさ。

「火の鳥」/サー・コリン・デイヴィス(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ

「魔法のカリヨン」の所の渾沌とした表現が壮絶…。さすがコンセルトヘボウ。かなり好きな演奏。

AGON Ballet for twelve dancers/ムラヴィンスキー(指揮)レニングラード交響楽団 Rec:1965

ムラヴィンスキー恐るべし。音質に多少難アリですが、それでもかなりイイ。ライブ音源です。

「火の鳥」イゴール・ストラヴィンスキー(指揮)コロンビア交響楽団(1961)

作曲者自身による「火の鳥」。いわばこの曲のスタンダード。「黄金のリンゴ~」あたりでテンポが走り出したりしてなかなかスリリング。「魔法のカリヨン」でのばらばらさ加減も聞き物か。

「火の鳥」ハイティンク(指揮)ベルリン・フィルハーモニック管弦楽団

多少大仰な感がなきにしもあらずの火の鳥です。とはいえ迫力という点では圧倒的。でもハイティンクにはやはりコンセルトヘボウの方が…。

Boulez Conducts Stravinsky /ピエール・ブーレーズ(指揮) クリーヴランド管弦楽団&合唱団
「幻想的スケルツォ 、カンタータ『星の王』、うぐいすの歌 、『兵士の物語』組曲」

実に美しいアルバム。特に『星の王』。ふわふわと漂うような、なんとも言えない不思議感いっぱいの曲。僕の大好きな『幻想的スケルツォ』や、『うぐいすの歌』なども絶品。

「ペトルーシュカ」(1911年版)「春の祭典」(1921年版)/シャルル・デュトワ(指揮)モントリオール交響楽団

この「ペトルーシュカ」は最高。透明感があって洗練されてる。都会的なペトルーシュカって感じです。「春の祭典」とのカップリングCD。

IGOR STRAVINSKY Plays STRAVINSKY(1933~1938)

ストラヴィンスキーによる自作自演の録音。イタリア盤CDです。ストラヴィンスキー自身によるピアノが楽しめる好盤。

「世紀の名ピアニストたち~コンドン・コレクション・4」 /イゴール・ストラヴィンスキー(DENON)

ストラヴィンスキー自身によるピアノソロ演奏(ピアノロール)。 ピアノソナタ第2番、ピアノと管楽のための協奏曲、「火の鳥」が入ってます。日本盤のCDです。ここのピアノ版『火の鳥』が聞き物。ピアノロールとはいえ、ストラヴィンスキーの洒脱なピアノが楽しめます。僕の密かな愛聴盤です。

「ペトルーシュカ」(1911年完全版)&「春の祭典」/イゴール・ストラヴィンスキー(指揮)コロンビア交響楽団(1960)

自作自演のペトルーシュカです。カラフルな楽曲でありながら深いのです。

Dumbarton Oaks , Dances Concertantes, Concerto in D, Apollon Musagete :シャルル・デュトワ(指揮)モントリオール交響楽団

ダンバートン・オークスと協奏的舞曲がとにかく素晴らしい。ゆったりとしたリズムを取るアポロも最高。デュトワのストラヴィンスキーはどれもいい。

ピアノ曲集:ピーター・ヒル(p)

妙に気に入ってしまったアルバム。ストラヴィンスキーのピアノ・ソロ曲だけに焦点を合わせたもの。

ディベルティメントDIVERTIMENTO/新しい歌劇場のためのファンファーレ/クラリネット・ソロのための3つの小品/組曲 第1番/組曲 第二番/八重奏曲
リッカルド・シャイー/ロンドン・シンフォニエッタ

ひとつひとつの曲がどうのというよりアルバム全体としてまとまってます。ファンファーレ~クラリネット・ソロが程よいアクセントとなり、ディベルティメントと八重奏曲の橋渡しの役目になってます。デュトワ&モントリオール響にも通じる洒脱感と洗練された音が美しい。

ミューズの女神を率いるアポロ(1947年版)、カルタ遊び/イーゴリ・ストラヴィンスキー(指揮)バイエルン放送交響楽団

1957年の自作自演盤。デュトワ盤などに比べると実に淡々としたシンプルな指揮ですが、そこが楽譜に忠実って感じ(?)でまたヨシ。会場では風邪でも流行ってたのか咳きをする人が多いのがちょっと気になったりするんですが…まあライブなんで仕方がないか。

「火の鳥」(ピアノ編曲)イディル・ビレット(p)

ストラヴィンスキー「火の鳥」は僕が特に偏愛する曲。そしてこれはそのピアノ・ヴァージョン。この曲のピアノ編曲ヴァージョンってばストラヴィンスキー自身のピアノロールが残っており、僕はそのCDをいたく愛聴しているのですが、これはそのピアノ版「火の鳥」をイディル・ビレットという女性ピアニストが演奏したもの。イディル・ビレットはあのアルレッド・コルトーに学び、ヴィルヘルム・ケンプの弟子だったというピアニストで、ショパン演奏は特に高く評価されております。そんなわけでこのアルバムなんですが、ストラヴィンスキー自身による演奏に慣れてる僕の耳には意表をつくゆったりとした始まり方。所々テンポを揺らしながら詩情豊かに弾きこなす姿はコルトーやサンソン・フランソワを彷佛させます。全体的に超スローなためかバーバルな感じは全くなく、なにやらロマンティックですらあります。

Works For piano(p:ミッシェル・ベロフ/cond: 小澤征爾 パリ管弦楽団)
CD1:ソナタ(1903ー4)、スケルツォ、4つの練習曲、ドイツの行進曲の思い出、子供のためのワルツ、5本の指で、ソナタ(1924)、イ調のセレナード
CD2:ペトルーシュカからの第3楽章、ピアノ・ラグ・ミュージック、タンゴ、ピアノと管楽器のための協奏曲、ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ、ピアノと管弦楽のための楽章

ストラヴィンスキーのピアノ曲に焦点をあてた2枚組CD。最後の3曲だけパリ管弦楽団がつきます。ミッシェル・ベロフの軽快なピアノのせいもあるけど、ピアノソロの曲はどれも非常に魅力的で、オシャレな感じまでしてきます。ソナタなどはストラヴィンスキー自身の演奏に比べて重みが無い上に風格も無いけれども、これくらいの軽快さがちょうどいいのかもしれません。

三楽章の交響曲・ハ調の交響曲・詩篇交響曲(ストラヴィンスキー指揮・コロンビア交響楽団/CBC交響楽団/トロント祝祭交響楽団)

自作自演盤。ハ調の交響曲が実に素晴らしい。というか個人的に好きな曲なもんで、このようにパっとしないオケでも作曲者自身の指揮ということで許せたりする(笑)。指揮者としてはあまり評価の高く無いストラヴィンスキーだけど、自作を振ってるんだから誰も文句言えない(笑)。というか、実はこれはこれで味わい深いものがあるのだ。

火の鳥(1945年組曲版)・ロシア風スケルツォ(管弦楽版)・交響曲変ホ長調・ロシア民謡によるカノン(ムカイル・プレトニョフ/ロシア・ナショナル管弦楽団)

火の鳥はやはり1910年オリジナル版じゃなけりゃなあ…なんて、組曲版を聴くたびに思うんだけど、たまにはこういうのもいいか…。オリジナル版に比べて曲の生命力が無くなっているようにも感じるのだ。まあそれはそれとしてこのディスク、交響曲変ホ長調が素晴らしい。

火の鳥(小澤征爾 指揮・ボストン交響楽団)

小澤征爾2度目の「火の鳥」。まるでスコアを眺めているかのようなハッキリクッキリの演奏。泥臭いようでいて洗練されている。火の鳥の中でも最も聴きやすい部類か。

ペトルーシュカ、うぐいすの歌、4つのエチュード(デュトワ 指揮・モントリオール交響楽団)

デュトワのペトルーシュカは春の祭典とのカップリング盤(日本盤)もありますが、こちらはうぐいすの歌とのカップリング。西ドイツ盤です。このデュトワ&モントリオールのペトルーシュカは僕の中では別格中の別格。ところでうぐいすの歌って出だしを聴くといつも怪獣の登場って気分になるのですが(笑)…。ゼットンでも出てきそうです。しかしまあ、出だし以外は実に美しい曲。第二楽章~第三楽章の静かな情景はかなりツボです。

春の祭典(ピアノ版)(p:ファジル・サイ)

ファジル・サイのアルバムの中でもジャケがいちばんまともです(笑)。何やら気合いが感じられます。このピアノ版ハルサイは元々はピアノ二人の為のバージョンですが、ファジル・サイは多重録音で一人でやってます。とにかく凄い。ハキハキしたスタイルの持ち主なのでこの春の祭典はどこか陽性。聴いてて気分も昂揚してきます。また、これはエンハンストCDなのでパソコンで演奏風景なども見られます。

ミューズの女神を率いるアポロ/ドラティ(指揮)デトロイト交響楽団

火の鳥」とのカップリング。「ミューズ」は展開が実になめらかで、曲自体に生命感を感じます。「火の鳥」の方は言わずもがなの名演。

火の鳥(1919年組曲版)/マゼール(指揮)ラジオ・シンフォニー・オーケストラ・ベルリン

火の鳥は全曲版が好きです。だもんで1945年版だの1919年版だのってのは何だかパロディみたいで不自然に聞こえてしまう。しかしながら、わざわざストラヴィンスキー自身が改訂したんだからこれらの曲にもそれなりの存在意義があるわけで…。単に版権がどうのって問題だけでは無いと思いたいところです。1919年版は、長さ的には全曲版の半分くらいでしょうか。火の鳥のエッセンスを抽出、というわけではないのがこの組曲版のややこしい所。火の鳥のつまみ食いというかブツ切りというか…(笑)。まあしかし、腐っても火の鳥。このバージョンをわざわざ選ぶ人もいるというところにも何かあるんでしょう。バーンスタインもニューヨーク・フィル時代にこのバージョンで録音してました。そんなわけでマゼールの火の鳥1919年組曲版です。1958年、マゼール28才のときの録音です。オケが雑っぽく聞こえるのはバーバルさを前面に出したからか?テンポを遅く取る「子守唄」の部分が印象的。

管弦楽のための八重奏曲、ヴァイオリンと管弦4重奏のためのパストラール、11楽器のためのラグタイム、七重奏曲、12学期のための小協奏曲(ボストン交響楽団室内アンサンブル)

新古典主義時代の作品ばかり集めたレコード。 これ、好きでよく聴きます。

WORKS OF IGOR STRAVINSKY

ストラヴィンスキー大全集。CD22枚組。ストラヴィンスキーの自作自演の大全集で、LP時代は31枚組ボックスセットだったもの。ファンには基本盤としてマストアイテム。僕がよく聴くのはCD10とCD12あたり。 

Stravinsky / Sacre Du Printemps ( Bernstein / New York Philharmonic )

ニューヨークフィル/バーンスタインの春の祭典が凄すぎる。
 


(文:信田照幸)


HOME

inserted by FC2 system