Future Jazz
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shiba/ Ambinet Cafe (1998)

この「アンビネット・カフェ」がshibaファーストアルバム。マイルス・デイビスを限りなくリスペクトしてる人で、ブートなんかも集めてるそうです、この人。本作はこのアルバムタイトルからも分るように、「アンビエント」なハウスが主体で、shibaさんはトランペットを吹いています。スタンスとしては近藤等則なんかに近い感じです。ハウス+アンビエント+ジャズといった感じの内容。ひとつひとつの音の選び方、音の感触、などにこだわりが見られて非常にいいアルバムです。かなりハマりました。

MARC CARRY / Rhodes Ahead (1999 / jazzateria)

モダンジャズ系ピアニストのマーク・キャリーがフェンダーローズを使って、フェンダーローズのために作ったようなアルバム。ドラムンベースをバックに、ベーシストがひとり入るところなんかはスクエアプッシャーにそっくりなのだが、そこはやはりモダンジャズ出身。自分のプレイで聴かせます。ドラムンはあくまでも単なるバック。これ見よがしにブレイクビーツを強調するスクエアプッシャーとはスタンスが根本的に違うようです(当たり前か)。まあ、全編ドラムンてわけじゃなく、所々チルアウトなトラックもあったりして落ち着きます。そんでもって主役のマーク・キャリーはローズを実に見事に操っております。英文のライナーにはローズ・ピアノを作ったハロルド・B・ローズ氏についていろいろと書いてあるので、たぶんこのアルバムは本当にローズピアノという楽器のために作ったものなのでしょう。90年代に入ってからというものクラブ系音楽のサンプリングにローズの音が大人気(フュージョン音楽が再び注目されはじめたのもそのため。一部のレコードは中古でバカ高い値段がついてたりする)だったりするので、マーク・キャリーもそのへんに目をつけたのだろうか?それとも野生の勘で「今はローズだ!」と感じとったのでしょうか?まあ、そんなことはどうでもよいくらいにこのアルバムは気持ちいいです。最近のアジムスの路線にも近いものを感じます。

DJ SPOOKY / NECROPOLIS (1995 / Knittingfactory)

なんと、ニッティングファクトリー・レーベルからのフューチャージャズ・アルバム。いや、厳密にはイルビエントっていうジャンルなのですが、最近ではイルビエントなんて言葉使ってないからフューチャー/クラブ・ジャズってことにしておく。まるでテクノ判アート・アンサンブル・オブ・シカゴって感じ。ターンテーブルでフリージャズやってますって感じもあります。僕にとってはかなり新鮮だったのですが、音楽的に見ても相当イっちゃってると思います、このアルバム。DJスプーキーは他にもアルバムを出してますが、最近のはヒップホップ色が強くてイマイチ。やっぱこのアルバムが最高です。でもなんでニッティングファクトリーから出てるんだろうか、このアルバム。謎です。

ERIK TRUFFAZ / re visite (2001/blue note france)
エリック・トラファズのリーダー作のトラックをいろんな人がリミックスしましたっていうアルバム。人気者のブッゲ・ベッセルトフトなんかも参加しています。正直言ってトラファズのリーダー作よりカッコイイ。

ERIK TRUFFAZ / Bending New Corners (1999/blue note france)

フェンダーローズの音色が気持ちいいアルバム。エリック・トラファズのtpはどうでもよく、雰囲気だけで聴くアルバム。初期のエレクトリック・マイルスの雰囲気にどことなく似ていて心地よい。人力ドラムンベースも聞き物。数曲でNYAのラップが入りますがハッキリいってこんなのいらない。しかしそれ以外のインスト曲は洗練されてて素晴らしい。あ、ジャケの内側のデザインはいかにもって感じで最高です。

St.Germain / Tourist (2000/blue note france )
アーネスト・ラングリンなんかが参加してる妙なアルバム。「フューチャー・ジャズ」って言い方はこのアルバムあたりから本格的に流行りだしたような気もします。これが新宿のディスクユニオンの中古コーナーに並んだときに、小さく「ジャズというより、ほとんどテクノ…」って書いてありました。普通のジャズファンが聴けばこれは全くのテクノです。

RAW MATERIAL #1 featuring Masabumi Mikuchi (1996 /Alfa Music)
菊池
雅章(key) 他

これを買った当初、なんだかオーネットの居ないプライムタイムとマイルスの居ないエレクトリック・マイルス・バンドみたいな音楽だなあ…なんて感想を持ちました。「ススト」(菊池雅章)もそんな印象を持ったアルバムだったのですが、「ススト」の方はモロにエレクトリック・マイルスだったのに対し、こちらはクラブDJが沢山参加してることもあり、リズムがかなり強調されています。DJ達が作ったリズムトラックの上をプーさんのキーボードが泳ぐという形式で統一されてるため、ずーっと聴いてるとなんとなくBGM的に感じられてしまうのはネライか。

TOSHINORI KONDO / Touchstone (1993/moon records)
近藤等則(tp,synthesizers)
アンビエントっぽく始まるアルバムです。シンセの安っぽい音は聴いてるうちに違和感がなくなります。このあと、CDブックの『イズラエル』という素晴らしいアルバムが出ますが、このアルバムは『イズラエル』ほどトランペットにシンセやワウをつけていません。近藤のトランペットを堪能するにはちょど良い加減の音源です。僕はちょうどこの時期に六本木で行われた某ファッション・ショーにて近藤等則のライブを体験したのですが、ほぼこのアルバムのような内容のライブで、それはそれは素晴らしいものでした。

BUGGE WESSELTOFT / Live (2003/jazzland)

「Moving」のつぎのアルバムだからさぞかし涼し気だろうと、Chill Out 気分を求めてこれを買ってみたものの、やたらとノリが良い。四つ打ちドラムのドッドッドッドッてのがニガ手な僕はこのノリの良さに妙な違和感をずっと感じてたものの、慣れればこれもまたヨシ。ジョン・スコフィールドが参加してるトラックなんかもあります。ちなみにこのアルバムに入ってる曲を適当に取り出して、これ80年代のハービーのアルバムの中の曲だよとか90年代のボブ・ジェームスだよとかジョン・サーマンのECM盤だよとか言われるとなんとなくそんな気もしてくる…。そもそもフューチャージャズってのは別に新しいもんでもなんでもなくて、前々からあったスタイル。それをあえて「フューチャージャズ」なんてレッテルをくっつけて北欧気分の付加価値もくっつけて売り出そうとした人はなかなか頭いいかも。

BUGGE WESSELTOFT /FiLM iNG(2004/jazzland)

ブッゲ・ヴェッセルトフトの新作。ほどよいフュージョンともいえなくもない作品で、これまでの人を寄せつけないような冷徹な雰囲気は影を潜めた感じ。ジョシュア・レッドマンの参加してるトラックやブッゲがハモンドB3を操る8曲目などはどことなくジャムバンド風でちょっと暑苦しくはあるものの、全体を貫く独特な空気はやはりブッゲならでは。僕は1曲目でchill out。

SIDSEL ENDRESEN & BUGGE WESSELTOFT /Out here . In there (2001/jazzland)

とにかくブッゲのシンプル極まりないバックのつけ方が素晴らしい。シゼル・アンドレセンのvoが邪魔に感じられるくらい。静かで冷たい感触。

NILS PETTER MOLVAER/Solid Ether(2000/ECM)
おそらくクラブ/フューチャー・ジャズとしては一番有名なアルバムがこれなんじゃないでしょうか。このアルバムが出てからフューチャー・ジャズという言葉が一般化したように思います。ECMということもあってか結構話題になったしCDショップでも大々的に宣伝しておりました。とはいえ正直言ってバックのガチャガチャいう音はどうにもニガ手。もっと洗練した音にならなかったものか。なにも最先端である必要もないけれど、ちょっと古いパターンの音だな…というのが当時の印象。打ち込みの音というのは音の質感が勝負、と勝手に思っているもので…。しかしながら僕がこのアルバムが聴けるのはニルス・ペッター・モルヴェルのクールなペットがあるからで、ホットなモダンジャズの対極にあるようなこの涼し気な音は無性に聴きたくなるときがあるのです。

TORTOISE / Standards (2000)

トータスはジャンル的にはポスト・ロックとかシカゴ音響派とかよく分からない言われ方されてますが、なんとなくこちらで紹介。エレクトロニカの使い方がとにかく面白く、音に対するこだわりも生半可ではありません。音響系。


(文:信田照幸)


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