Guitar その3


JESSE VAN RULLER / trio (2001/emarcy)

ジェシ・ヴァン・ルーラー(g)フランス・ホーヴァン(b)マタイン・ヴィンク(ds)

2000年の「キャッチ!」があまりにも鮮烈だったオランダのジェシ・ヴァン・ルーラー。全編ギター・トリオでのアルバムはこれが初。「キャッチ」収録の'The End Of A Love Affair'のギタートリオ・コンセプトをアルバムにまで拡大したものとも言えます。非常に内省的でありながらジョー・パスのような流麗さをも持ち合わせるジェシ・ヴァン・ルーラーの知的な演奏が聞き物。またそれと同時に新鮮な動きを見せるドラムとベースにも注目。前作「キャッチ」をも超える素晴らしい作品です。ちなみにこのジェシ・ヴァン・ルーラーは95年にセロニアス・モンク・コンペティションのギター部門(審査員はジム・ホール、パット・マルティーノ、パット・メセニー、ジョン・スコフィールド、マーク・ホイットフィールド)で優勝という経歴がありますが、このアルバムによってそのときの審査員全員を超えてしまいましたね(言い過ぎか?)。

JESSE VAN RULLER / Chatch ! (2000/bluemusic)

ジェシ・ヴァン・ルーラー(g)フランス・ホーヴァン(b)マタイン・ヴィンク(ds)カレル・ポエリ(Fender Rhodes ,p) ロイ・ハーグローブ(tp,flugelhorn)
コンコードの保守的なギター・アルバムが好きな僕でもこれにはまいった。凄くイイ。意外にオーソドックスでありながらローズのおかげでフューチャーな空気が漂うtake2、ヨーロッパの耽美なセンスを感じるtake3、変化に富んだリズムが面白いトリオ編成のtake5、などなどいろんな表情のあるアルバムです。

Ella Fitzgerald , Joe Pass / Take Love Easy (1973/pablo)

ジョー・パス(g)エラ・フィッツジェラルド(vo)

ジョー・パスの必殺盤「ヴァーチュオーゾ」の4ヶ月前の録音。ここでもまたジョー・パスは本当に素晴らしい。ジャズヴォーカルをほとんど全く聴かない僕にも例外が10枚くらいありまして、これもそのうちの1枚。理由はもちろんジョー・パス。ソロギターのときとはまた違った魅力です。どの曲もけだるい感じで、真夜中の雰囲気。とにかく僕はこれが大好きなのです。「ヴァーチュオーゾ」と並ぶ超名作。

JOHN PIZZARELLI / Dear Mr.Cole (1995/novus)

ジョン・ピザレリ(g,vo)ベニー・グリーン(p)クリスチャン・マクブライド(b)
なんとも心地よいラウンジ・ジャズです。アルバム・タイトルからも分かるように、ナット・コールゆかりの曲ばかりを演奏したアルバム。構成も同じギター、ベース、ピアノのトリオです。ナット・コールはピアノ&ヴォーカルだったのに対し、こちらの主役はギター&ヴォーカル。オスカー・ムーアが歌ってるとでも思えばいいのでしょうか。ジョン・ピザレリのギターは極めてオーソドックスなスタイルで、何故だか新鮮です。リズムをきざむときなんてフレディ・グリーンを彷佛させるほどスインギー。そして、なんといってもギターの音色がいい。線が細くてパリっとした音色。これならギター、ピアノ、ベースのトリオがピッタリとハマるわけです。また、ピアノのベニー・グリーンのピーターソンばりのドライヴ感溢れるピアノも聞き物。あえてラウンジ・ジャズと紹介しましたが、イージーリスニング・ジャズとは全く違って個々のプレイがとにかく面白く、雰囲気にも気を配ったアルバムです。

JESSE VAN RULLER / European Quintet (1997/IRC)

ジェシ・ヴァン・ルーラー(g)Julian Joseph(p) Nicolas Thys (b) Petre Weniger (ts,ss) Mark Mondesir (ds)
ハードバピッシュな1曲目からはその個性が分かりづらいけど、2曲目以降徐々にその独特の個性を現わしてきます。4曲目のスロー曲における流れるようなソロなどはまさに絶品。5曲目の4ビートのギタートリオによる曲では典型的なモダンジャズのソロまわしから徐々に深い領域に入っていき、なんだこれは!?という次元にまで一気に持っていきます。この荒技をいともそっけなくやる姿は、かのウェスがつぎからつぎへとメロディアスなフレーズをいとも簡単そうに笑顔で紡ぎ出していく姿を思いおこさせます。ジム・ホール、メセニー、ジョンスコといった現代ジャズ界の大御所たちが最大級の賛辞を送ったギタリストのデビュー作です。のちの「キャッチ」や「トリオ」ほどではないにしろ、これもまたなかなか素晴らしいアルバムです。

KENNY BURRELL & GROVER WASHINGTON Jr. / Togethering (1985/blue note)

ケニー・バレル(g)グローヴァー・ワシントンJr(ts,ss)ジャック・ディジョネット(ds)ロン・カーター(b)ラルフ・マクドナルド(per)
ケニー・バレルをボスに据えて、リズムセクションにモダンジャズ界代表「マイルス組」のディジョネットとロン・カーター、傍にはフュージョン界代表「ワインライト組」のグローヴァー・ワシントンとラルフ・マクドナルド…。80年代のいわゆる新生ブルーノートの中でも希有の名盤となった本作の成功の要因は、この意表をついたメンバー構成にあります。また、見方を変えれば、「ワインライト」によってポップス界のメジャー・リーグ入りしたグローヴァーとラルフ・マクドナルドが、ジャズ界というマイナー・リーグの大御所を迎え入れて交流試合をしたアルバム、と見ることも出来ます。いろんな見方が出来るほど魅力的なメンバー構成なわけですが、中でも特にはりきっているのがディジョネットとロン・カーター。特にアイデア豊富なディジョネットが凄い。ディジョネット無くしてこのアルバムはありません。とにかく多角的に繰り出すパーカッシヴなドラムに圧倒されます。そして、それに呼応するかのようなラルフ・マクドナルドのパーカッションも素晴らしい。リズムがこれだけ面白ければバレルもグローヴァーも普段どおりにプレイしれてば名盤が自然と出来上がります。曲によってはバレルはガットギターを弾いていて、これがまた最高。バレルの弾くガットギターってば「ムーン・アンド・サンド」(concord)というアルバムに収録されてる3曲が好きなんですが、これにも匹敵するくらいの素晴らしさとなっております。さて、このアルバムの中では、僕は「ROMANCE DANCE」が特にお気に入り。ブラジル音楽としてもウルトラ級の名曲名演でしょう。この曲の為にだけでも買う価値アリです。

BARNEY KESSEL / Kessel Plays Standards (contemporary/1954)

バーニー・ケッセル(g)ボブ・クーパー(ts,oboe)ハンプトン・ホーズ(p)クロード・ウィリアムソン(p)レッド・ミッチェル(b)モンティ・バドウィグ(b)シェリー・マン(ds)チャック・トンプソン(ds)

春が近づいてくるとケッセルのギターが聴きたくなってくる。カラリとした明るいギターが聴きたくなる。このアルバムはボブ・クーパーのオーボエのおかげで何処かノホホンとした春っぽい雰囲気があります。結局ジャズにはオーボエという楽器は定着しなかったけど、きっとこのアルバムのように呑気な雰囲気になってしまうからなんでしょうか?僕はこういうの結構好きなので、これはこれでOKなんですが…。ケッセルのプレイは前作「イージー・ライク」同様いかにもウエストコーストな明るいパリっとしたギターで、切れ味も最高。この当時のケッセルはどれも名演ばかりです。

The L.A.FOUR / Scores ! (concord/1974)

ローリンド・アルメイダ(g)レイ・ブラウン(b)シェリー・マン(ds)バド・シャンク(fl,as)

1974年のコンコード・サマーフェスティバルでのライブ。このときは「ローリンド・アルメイダ・カルテット」の名前で登場。パシフィック・ジャズの再開セッションみたいな雰囲気もありますが、内容的にはあのコンコードの音になっているのが頼もしい。カール・E・ジェファーソンのプロデュースするギターものはすべて価値がありますね~(なんて思ってるのは僕だけか?…笑)。そんなわけでローリンド・アルメイダです。実にいい感じで録音されてて、ガットギターの音も美しく響きます。何せコンコードのカタログの第8番目の作品です。それまでの「ジャズ・コンコード」「セブン・カム・イレブン」「ソフト・シュー」「グレイト・ギターズ」「ブラフ・バーンズ・プレイズ・ガーシュイン」「アフター・ユーヴ・ゴーン」「ブラフ・バーンズ・カルテット・ソルツ・ロジャース・ハート」(以上コンコードのカタログ1番から7番まで)などの伝説の名盤と同様、ライブの雰囲気も極上。初期コンコード作品すべてに言えることですが、自分の好きなものを作る、というカール・E・ジェファーソンの気合いをひしひしと感じます。

WES MONTGOMERY TRIO/ Portrait of Wes (riverside/1963)

ウェス・モンゴメリー(g)メル・ライン(org)ジョージ・ブラウン(ds)

大昔、一番好きなアルバムとして僕の中で君臨していたアルバムがこれ。今でも相当好き。本当にかっこいい。ウェスのアルバムの中では文句なしにイチバンです。メル・ラインのオルガンが比較的チープな音なので何処かモンドミュージック、あるいはスペースエイジ・バチェラーパッド・ミュージックのようなオシャレ感すら漂いますが、演奏内容は非常に濃いものとなってます。ウェスの紡ぎ出す流麗なメロディラインは、いつもの単音/オクターブ/コードといったパターンを超えて、本当に心地よく響きます。メル・ラインのオルガンもジョージ・ブラウンのドラムも本当に最高で、このトリオでずっと活動して欲しかった。冒頭の「フレディ・ザ・フリーローダー」から「ロリータ」への流れが絶品。特に「ロリータ」はオリジナルのバリー・ハリス(アット・ジャズワークショップに収録)の必殺バージョンを超える素晴らしさです。

WES MONTGOMERY / JAZZ625

90年代の初頭あたりだったろうか、「動くウェス発見!」ということでこのJAZZ625のビデオ版が発売された(その後DVD化される)ときには結構大騒ぎでしたね。僕も発売と同時に買いました。そして仰天しました。話には聞いてたけど本当に親指だけでギターを弾いている。今ではYouTubeなどで普通に動くウェスを見れますが、当時のコーフン度は結構すごいもんでした。親指で弾いてるだけでもビックリだったけど、にこやかに笑いながら余裕で物凄いプレイを見せてくれるところなんかにも驚きましたね~。動くウェスを見たことによって逆にウェスの謎が深まったような気になりました…。

Anouar Brahem/ Astrakan cafe (ECM/2000)

アヌアル・ブラヒム(oud)Barbaros Erkose(clarinet), Lassad Hosni(bendir, darbouka)

ここ最近のお気に入りアーチスト・ナンバーワン、チュニジアのウード奏者アヌアル・ブラヒムです。アラブのメロディなのに、いかにもECMな雰囲気になっているのが不思議といえば不思議。しかしながら、これこそECMというような独特のアウラがあります。ウード、クラリネット、パーカッションからなるトリオですが、パーカッションはもちろんアフロ経由ではなく、アラブ経由。なので、実にウードにピッタリの音の感触とリズムです。よくある”異文化の交流”的ECM作品とはちょっと毛色が違います。この作品から喚起される風景がとても気に入ってます。

Freddie Green / MR.RHYTHM (RCA/1955)

フレディ・グリーン(g)アル・コーン(ts,cl)ジョー・ニューマン(tp)ヘンリー・コーカー(tb)ナット・ピアース(p)ミルト・ヒントン(b)ジョー・ジョーンズ(ds)

このメンバーからはこんな音が出て来るだろうなあ、というそのままの音が出てきます。野暮ったいといえば野暮ったい。とはいえフレディ・グリーンの音があると、やはりどこかでベイシーのスウィング感が…。

BILLY BAUER / Plectrist (Verve/1956)

ビリー・バウアー(g)アンドリュー・ アッカーズ(p)ミルト・ヒントン(b)オシー・ジョンソン(ds)

トリスターノ派の、というよりリー・コニッツのアルバムでお馴染みのビリー・バウアーのアルバム。ビリー・バウアーは30年代から活躍してるギタリストで40年代にはウディ・ハーマン楽団(ファースト・ハード)にも在籍してました。で、その後(46年)レニー・トリスターノとともに演奏することになるわけで、トリスターノ派とも言われるわけですが、本作ではトリスターノ系の摩訶不思議さはなく、かといってタル・ファーロウやバーニー・ケッセルのようなバップ系の派手さもなく、意外にもジョニー・スミスかマンデル・ロウかという感じの渋味の効いたギターです。なんともほのぼのといい感じです。僕の持ってるのはアナログ盤だけど、数年前に出たCDにはボーナストラック(Alternate Take)がついてるようです。

HERB ELLIS / HERB ELLIS meets JIMMY GIUFFRE(Verve/1959)

ハーブ・エリス(g)ジミー・ジュフリー(ts,bs,arrenger) アート・ペッパー(as)バド・シャンク(as)リッチー・カミューカ(ts)ルー・レヴィ(p)ジム・ホール(g)ジョー・モンドラゴン(b)スタン・レヴィ(ds)

ハーブ・エリスは僕の最もお気に入りのギタリストのうちのひとりで、僕にとってはすべてのアルバムに価値があります。で、このヴァーヴのアルバム。ハーブ・エリスのギターの音のぶっとさに驚きます。物凄い存在感。いつも通りカントリー風味の節回しが冴えわたり、気持ちいい。ハーブ・エリスの前ではアート・ペッパーもジム・ホールも単なるバックミュージシャンのうちのひとり。当時はとんでもない大物だったのだ。このジャケ写真だってハーブ・エリス御大(左)を前にしたジミー・ジュフリー(向かって右)の笑顔が引きつってます(単なる偶然か…、笑)。そんなわけで(?)、本作はアクが強いのでウエストコースト系という枠組みからちょっとはずれてる感じ。だもんで面白味があって(べつにウエストコーストはつまらんと言いたいわけではないが)、アルバム自体も強い印象が残ります。

BILL FRISELL / Willies (nonesuch/2002)

ビル・フリゼール(g)キース・ロウ(b)ダニー・バーンズ(banjo, g, harmonica, org)

ようやく春になってうちの庭も花がいっぱい咲き始め、やたらと気持ちがいいので、ここ最近はいつも朝このアルバムを聴いてます。もろカントリー。なんでキース・ロウが居るのかなと不思議に思ったけど、あのキース・ロウ(AMM)とは別人だった(そりゃそうだ)。ビル・フリゼールはこういったカントリー系のアルバムが好きです。ぼんやりと聴くもよし、しっかり聴き込むもよし。

Bill Frisell / Bill Frisell with Dave Holland and Elvin Jones (Elektra/Asylum /2001)

ビル・フリゼール(g)デイヴ・ホランド(b)エルヴィン・ジョーンズ(ds)

なんといっても注目はエルヴィンとの共演。エルヴィンはやっぱり大きな重い土台としてそこにいたのでした。フリゼールが、ホランドが、どんなふうに動こうがどんなふうなフレーズを叩き込もうが、エルヴィンはびくともせず。結果、フリゼールのアルバムとしては珍しく堂々とした風格のものになってます。エルヴィン凄し!ちなみにフリゼールのギターは益々最高。

Bill Frisell / Ghost Town (WEA/2000)

ビル・フリゼール(g)

ビル・フリゼールのギターソロのアルバム。「ナッシュビル」以降のカントリー路線上にある作品。「Good Dog, Happy Man」「Willies」という究極の傑作のソロバージョンみたいな位置付け。ソロとはいえ多重録音なども駆使しているので「Willies」的でもあります。

Bill Frisell / Bill Frisell, Ron Carter, Paul Motian (Nonesuch/2006)

ビル・フリゼール(g)ロン・カーター(b)ポール・モチアン(ds)

「ナシュビル」以降のビル・フリゼールは全部好きだ。音のひとつひとつ、フレーズのひとつひとつ、そして音の感触、すべてが深い。カントリー的な要素は本作でも散りばめられているが、ロン・カーターのベースがモダンジャズの世界へと引き止める。3人がそれぞれの音に機敏に反応しながら音空間が出来上がっていく。ある意味2001年の「Bill Frisell with Dave Holland and Elvin Jones」とは対照的な作り。ここ数年聴いたすべてのCDの中でもベストのうちのひとつ。名盤。

TAL FARLOW / A Sign Of The Times (concord/1976)

タル・ファーロウ(g)レイ・ブラウン(b)ハンク・ジョーンズ(p)

復帰後のタル・ファーロウは…、などとよく言われるように、本作もまた多少呂律が回らぬようなところがあります。ヨレヨレしてます。太い音で疾走するあの独特のスタイルは影をひそめた感もあります。が、よく聴けばやっぱりあのタル・ファーロウ。多少ラフになっただけだと思えばぜんぜん聴ける。というか、これはこれでまたイイのではないか。本作はレイ・ブラウンとハンク・ジョーンズの名演もあって、どこを聴いても素晴らしい。

ANOUAR BRAHEM / The Astounding Eyes Of Rita (ECM/2009)

Anouar Brahem(oud) Klaus Gesing(bass clarinet) Bjorn Meyer(b)
Khaled Yassine darbouka(bendir)

これまでのアヌアル.ブラヒムのアルバムの中でもベストではないか。これは本当に素晴らしいアルバム。本年度(2009年)の私的ベストアルバムのうちのひとつ。Klaus Gesingのバスクラがウードの音色を殺すことなく実にいい感じでウードに寄り添っています。「Le Pas du Chat Noir 」(2002)、「Le Voyage de Sahar」(2006)とピアノ入りがつづいたけど、ピアノはどうも音がウードとぶつかるので無いほうがいいと思ってたので、この編成に戻ってくれたのは嬉しい。

RALPH TOWNER / Chiaroscuro(ECM/2009)

Ralph Towner(g) Paolo Fresu(tp)

今年(2009年)のベストアルバム候補。イタリアのトランペッター、パオロ・フレスの押さえ気味の音が、ラルフ・タウナーの音色と実によく合います。いかにもECM的な音空間となってるのはこのtpのせい。

EGBERTO GISMONTI /Saudacoes (ECM/2009)

Egberto Gismonti(g) Alxandre Gismonti(g) Camerata Romeu, Zenaida Romeu(cond)

2枚組のアルバム。1枚目がジスモンチ作曲のオーケストラ作品で、2枚目が息子アレキサンドルとのギターデュオ。とにかくこれ、すっかり気に入ってしまって、繰り返し聴いてるわけです。特に1枚目。現代音楽作品として捉えればいいのだろうけど、なんだか映画のサントラのようでもある。で 、この音空間がとても良いのだ。

BILL FRISELL QUARTET / Bill Frisell (Noneshch/1996)

Bill Frisell(g) Curtis Fowkes(Tb) Ron Miles(Tp) Eyvind Kang(vln, Tuba)

なんとも「アメリカ」な音楽。アメリカの広大な田舎を思い起こさせるようなカントリー風味。がしかし、ふとした拍子にNYっぽさも感じるから不思議。まあ、いつものビル・フリゼールそのままなんだけど…。ベースとドラムがいないせいか、なんとなくフットワークが軽い。こういうの大好きです。僕にとってビル・フ リゼールのベスト3は「Bill Frisell with Dave Holland & Elvin Jones」、「Bill Frisell, Ron Carter, Paul Motian」、「Good Dog, Happy Man」の3作なのだが、本作はそれらにも迫るほどの素晴らしい出来。 

RALPH TOWNER / Timeline (ECM/2006)

Ralph Towner(g)(2001年)以来。オレゴン的臭みが抜けたような感じでとてもいい。ガット・ギターの音色もとてもいい(ラスト2曲は12弦ギター使用)。ラルフ・タウナーは元々多楽器奏者だけど、ギター一本に絞ってくれると嬉しい。Diary(1974年)とか、もったいないなあと思うのだ。

George Van Eps & Howard Alden / Keeping Time (concord/1996)

George Van Eps(g) Howard Alden(g) Michael Moore (b) Jake Hanna(ds)

ジョージ・ヴァン・エプスとハワード・アルデンの二人は年の差45歳。本作の他にもconcordレーベルから共演盤を出してて、そのどれもが一定レベルをクリアしていて絶品。いつものことながらジョージ・ヴァン・エプスの不思議としかいいようのないハーモニーが味わい深い。ジョージ・ヴァン・エプスは爪で弾くからか、音が上品な感じだ(ハワード・アルデンは普通にピックで弾く)。ちなみに二人とも7弦ギターを使用している。保守派ギターものに強いconcordレーベルならではの企画。concordにはこの手のギターデュオがとにかく沢山ある。


(文:信田照幸)


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