世界の音楽



フィリピン

Femmes Artistes Du Lac Sebu(セブ湖の11楽姉)

これはちょっとスゴイ。ひさびさにとてもイイ民族音楽のアルバムに出会った、という気分。フィリピンの少数民族の音楽をフィールドレコーディングしたもの。虫や鳥の声、水の音、などが聞こえる中、ひとりひとり順番にひとつの楽器を奏でていく。とても豊かな音楽。自然体というものがどんなものであるのかを自然の中で音楽とともに生活する民族に教えてもらったような気分。弦音楽から打楽器や吹奏楽器まで、どれも手作り的なゆるい音。これ聴いてると心も緩むような感じ。最高。 


イラン

MORTEZA MAHJUBI / THE ART OF PIANO

イランのモルタザー・マハジュビーによるピアノ・ソロ(たまにパーカッションが入る)。普通のピアノの調律ではなく微分音調整されたピアノを弾いている。サントゥールみたいな感じ。微分音に慣れない人にとっては調律の狂ったピアノにしか聴こえないかもしれない。とても面白い。


アフリカ

The WEST AFRICAN INSTRUMENTAL Quintet / 1929

アフリカン・イントゥルメンタル・クインテット『1929』
名盤。1929年の録音。ガーナの音源だろうと言われているらしいが、ライナーによると詳細は不明だそうな。ジャケ写真にもあるように、バンジョー、ウクレレ、ギター、太鼓(タンバリンか?)のアンサンブルです。一応アフリカってことになってるけど、どっから聴いてもカリブです、この音楽。カリブとアフリカとの人的交流なんてことはよく知らないのだが、たとえば89年にデビューして話題になったマルティニークのKALIなどは普通にバンジョーを使って自分のルーツ音楽をやって盛り上がったりしてるので、やはりこの手の音楽のルーツはカリブなのでは、とか思うのですよ。ガーナやシエラレオーネあたりのパームワイン・ミュージックなんかにもノリが似ていますが。そもそもこのわけのわからない音源、ライナー書いてる人も分かってないみたいなので詳しい出自などは謎のままです。ところで、このアルバムですが、ごく普通に楽しめます。というか、楽しい!こういった単純な音楽ってありそうでなかなかありません。そういう意味じゃ、ジャンル的には「ワールド」っていうより「エスニック」。ややポップなエスニックです。かなりお気に入りの1枚。中にはジャマイカ民謡の「スライマングース」などもやってますが、基本的にオリジナルのごくごく単純なカリブ風音楽。バンジョーっていう楽器はブルーグラスばかりで聴きますが、こういったストリング・アンサンブルで聴くのもこれまた楽しいです。


KANTE MANFILA カンテ・マンフィーラ/ N'NA NIWALEンナ・ニワレ~カンカン・ブルース・チャプター2(1994/bomba records)

うちの「殿堂入りCD」のラックにずっとおさまってるCD。ギニアのコラ奏者兼歌い手で、伝統的なグリオという種類の音楽です、これ。この手のグリオ音楽って実はどれも好きなのですが、カンテ・マンフィーラの場合、コラだけではなくバラフォンの音やバックの女性コーラス(?)陣も凄くイイのです。もちろん曲もいい。精神的に滅入ったときには必ず復活させてくれる心温かな音楽です。


TOUMANI DIABATE / KAIRA

コラ奏者トゥマニ・ジャバテの初ソロアルバム。コラという楽器ひとつでこんな世界観を作り上げてしまう手腕はただただ唖然とするばかりです。

TOUMANI DIABATE / Djelika

コラ、バラフォン、ンゴニによるアンサンブル。ジャズとしても聴けます。なかなかほのぼのとした味わいです。バラフォンの音が気持ち良い。

SENEGAL FLASH / Louga
70年代のセネガルの音楽のコンピ盤。独特の音階の使い方が時に気持ちよかったりします。

カンテ・マンフィーラ/トラディション
グリオの中では最高に気にいってるカンテ・マンフィーラの70年代のアルバム。名盤「ンナ・ニワレ」とともに最高の内容です。

カンテ・マンフィーラ/バック・トゥ・ファラハナ
待ちに待ったカンテ・マンフィーラの98年のアルバム。発売直後に買いましたよ、これは。ディープなトラックが満載。それまでのアルバムよりもやや生々しい感触があります。

トゥマニ・ジャバティ&シンメトリ・オーケストラ
トゥマニ・ジャバティのワールドミュージック形式のアルバム。シンセ等も加わってますが基本的にはジャバティならではの個性でかたまってますよ。

ユッスー・ンドゥール/アイズ・オープン(1992/sony)
数あるユッスーの中で最も好きなアルバム。この声はハマるとなかなか抜けだせませんよ。おまけにこのリズム!レゲエと同じくらいに気持ちいい!

密林のポリフォニー~イトィリ森ピグミーの音楽/JVC
ピグミー音楽の名盤中の名盤。親指ピアノの引き語りによるディープな1曲目、ひたすら美しい歌声の2曲目…全部貴重な音源です。

Heart of the Forest(1993/Rykcodisc)
ピグミーのバカ族のディープな音楽。ウォーター・ドラムに驚愕!!水だけのドラミングです。こんなの僕はこのCDではじめて聴きました。ジャズや民族音楽に多少詳しいと自負してたのですが、このウォータードラムを聴いて世界の底知れない広さを感じた次第です。まだまだ聴いたこともない音楽って沢山あるんだなあ…。

Baka Beyond/spirit of the soul(1993/Rykcodisc)
で、上で紹介したピグミー族の音楽をMartin Cradickが消化して、ピグミー音楽によるポップ化を試してみたアルバム。…とはいうものの、これも相当ディープ。

超絶のコギリ/JVC
バラフォン音楽。ポコポコと実に気持ちいい音ですね、バラフォンは。このJVCシリーズはこういった生々しい現地録音の音楽が沢山あるのでどうしても気になってしまいますよ。ちなみにこれはガーナの音楽です。

E.T.メンサ/オール・フォー・ユー
西アフリカ50年代のハイライフ音楽のキングであったE.T.メンサのアルバム。かなりカッコイイです。この人はすでに伝説となってるほどなんですが、知ってる人は少ないのでしょうか?トロピカルで楽しげなところなんかはほとんどカリプソです。このビンテージ録音はアフリカ音楽好きは必携ですよ。

コー・ニモ/ガーナの秘宝
このCDってもうとっくに廃盤なのかなあ?見つけたら絶対に買っておくべきですよ。パームワイン・ミュージックの名盤のひとつです。この人はガットギターを使います。ビンをたたくようなカンカンいうパーカッションがかわいいです。

S.E.ロジー/パームワインミュージック
椰子酒音楽というジャンルは結構ナゾな部分がありますが、ようするに椰子酒を飲んでいい感じになってきた所で陽気に奏でる音楽って感じなんでしょううね。このS.E.ロジーはフォーク弦のギターでやってます。とにかく気持ちいい音楽です。これも見つけたら買っておいた方がいいですよ。

JALI MUSA JAWARA/Soubindoor
グリオ音楽。コラとヴォーカルのJALI MUSA JAWARAとバラフォン、ギター、そして女性ヴォーカルが二人。カンテ・マンフィーラのアルバムと同じくらい大好きなアルバムです。

KUMASI TRIO クマシ・トリオ/1928

クマシ・トリオなるグループの1928年の録音。「WORLDMUSIC RETRO」なるシリーズでVacationというやり逃げレーベルから出てたCDです。このシリーズは結構重宝してまして、面白い音源が沢山出てたのですが今ではすべて廃盤のようです。このクマシトリオはいわゆるパームワイン・ミュージックのルーツのひとつと言われてるそうです。まあルーツというよりも、聞いた感じはそのまんまパームワイン・ミュージック(椰子酒音楽)なのですがね…。戦前ブルースのディープなノリが好きな僕としてはこのようなシンプルでコアな音はたまらないものがあります。歌とギターとパーカッション(といってもジャケに写ってる四角いハコをたたいてたり、ビンみたいなのをカンカンたたいてたりするだけですが…)というシンプル極まりない編成で、ずーっと同じようなノリがつづきます。やっぱ酔っぱらってるんでしょうかねえ?ゆったりと、のんびりと…ハンモックとかにのりながら聞きたい音楽です。

GEORGE WILLIAMS AINGO ジョージ・ウィリアムス・アインゴ/ハイライフルーツ・1927

これも「ワールドミュージック・レトロ・シリーズ」と銘うって出てたCD。当時あまりの珍しさに目を輝かせて買い漁ってて本当によかった。1927年に録音されたハイライフ音楽のルーツにあたる音源と言われるもの。前半のギター(小型ギターのようなカン高い音です)と歌とビンをたたく音。ときおりカズー。そして中盤の手拍子と太鼓と歌…曲によってはアコーディオンの音まで聞こえます。この気持よさは聞いたことある人にしか分からないものでしょうが、このCDは特に気持ちいいです。アフリカン・イントゥルメンタル・クインテットの『1929』に似た陽気なノリで、聞いてるだけでウキウキしてきます。今こういう音楽ってあまり録音されてませんよね。おそらくどこかの国のどこかの山奥あたり(?)で奏でられているんでしょうが、こういうシンプルでストレートな音楽の「力」というのはかなり魅力的だと思うのですよ。


黒燿のミサ/ルイロ村教会の少年少女聖歌隊JVC

ザイールの黒人の子供達によるミサ時のあまりにも美しいコーラスワーク。コンゴの教会での録音。たくさんの子供達の透明なユニゾン&ハモリがとにかく美しい!。教会でのミサの実況録音ですが、音楽的な素晴らしさという点においては最上級でしょう。透明感のある歌声に文字どおり昇天してしまいます。


ポルトガル
ポルトガル・ストリング・ミュージック1903ー31(VACATION)

ポルトガルの小型ギターがブラジルのカヴァキーニョやハワイのウクレレなどの原形ってことは有名ですが、なにはともあれこの1900年代初頭の音源は貴重っていうだけでなく、非常に面白いです。現代のようにいろんなジャンルが混ざってしまう前のなんか生々しい音楽がここにあります。「サウダージ」って感じの哀愁を帯びた曲の数々、鮮やかなギターさばき…。この音楽がブラジルに渡ってショーロになるんだなあってことが良くわかります。



トリニダード

カリプソ・パイオニアーズ1912ー1937(rounder)
トリニダードといえばカリプソ!このCDはカリプソの最初期の音源で、当時のいろんなカリプソ・アーチストのSP盤がまとめて入っています。音源自体が貴重なのですが、この音楽を聴けるってこと自体凄いことだなあとも思いますよ。ケイジャン音楽に近いものなんかもあったりなんかして、非常に興味深いです。僕の持ってるのはP-VINEからの日本盤CD。


プエルト・リコ

ミュージック・オブ・プエルト・リコ1929ー1947(vacation)

「ワールド・ミュージック・レトロ」のシリーズで出てたCD。もうすっかり見かけないので廃盤でしょう。しかし、かなり驚異のラテン音楽です。50~60年代に流行したラテンの数々が陳腐なアレンジお涙頂戴的なものなのに対し、このオリジナルはストイックなところが感じられたりしますよ。しかし、独特の哀愁もあって味わい深いです。ブエナ・ビスタで満足してる人達なんかに無理矢理聞かせたくなるアルバムです。とにかくイイ!!ところでこれ、VACATIONレーベルの日本盤でもってるんですが、このレーベルはどうにも怪しいですねえ…。いまは存在するんでしょうか?まあでも輸入盤にそのまま帯と解説くっつけただけなので問題は無いんですがね。


オーストラリア
The Sounds Of The Aborigine(オーストラリアン・アボリジニー名曲集)
さてさて、オーストラリア原住民アボリジニーの音楽なのですが、ディジェリドゥーの音ってどことなくアンビエントですよね。吉祥寺の公園なんかでたま~にやってる人を見かけたりしますが、難しいんでしょうかね?オーストラリアではおみやげやなんかで普通に売ってるらしいですよ。このアルバムは当然現地録音!濃いです。ブゥォ~~ってつづいている妙な音に身をまかせきってると本当にトリップしてしまいます。


イラク

琥珀色の夜~バグダッドのウード
サフワット・ムハンマド・アリー(ud)
タクシームと呼ばれる即興演奏が入っています。ある旋法に基づいての即興なのでジャズで言うところのモード奏法みたいなもんでしょうか。ウードの音色は文字どおりエキゾチックで、ぞくぞくします。


スーダン

ハムザ・エルディーン/エスカレー~ナイルの水車
1970年録音。NONESUCHからのアルバム。なんといってもウ-ドの低音。

アブデル・ガディール・サリム/アブデル・ガディール・サリム
こういうのを聴いてるとHattenが頭に浮かんでしまう僕なんぞはまだ修行が足りないのか?まあ、そんなことはどうでもいいんですが、アラブのウードはなんとも魅力的です。弦楽器の中でもかなり初期の形だそうですが、この音のひびきは本当に深い。

ハムザ・エルディーン/ナイルのうた(JVC)
なんとなく懐かしいような気になる音です。お馴染みのJVCシリーズです。

ハムザ・エルディーン/ナイルの流れのように
ノンサッチから出てたハムザのアルバムを紹介しようと思ったんだけど、何故かいま見当たらないので取りあえずこっちを紹介。ハムザはどれを聴いても素晴らしいのでどれでもいいんですが、このアルバムなんかは比較的手に入りやすいかもしれないですね。


ベトナム

絲・南哀~ヴェトナムの弦楽器(V.A.)
ダン・パウというベトナムの弦楽器の音源がここに入っておりまして、これがもうイイ!最高です。こういった地味ながらも深い音楽に出会えるのがエスニック音楽を聴く楽しみなのですね~。この楽器、売ってたら欲しいんだけど、高そうだな…。



ハワイ
BARNEY ISAACS & GEORGE KUO / Hawaiian Touch

ハワイアン・スティールギターのバーニー・アイザックスとスラックキー・ギターのジョージ・クオのデュオ作品。いわゆるハワイアン・トラデショナル音楽です。しかしこれがまた気持ちのいいアルバム。スラックキーというのは、普通のギターの弦よりゆるいチューニングで弾く奏法で、出てくる音も当然ゆるい。ナイロン弦使う人もいますが、ここではスチール弦を使っています。ところでこのアルバム、いかにもって感じのハワイ気分に浸れます。ハワイには行った事ないけど、なんかこんなボヨ~ンとした感じなんかなあ…、って気分になれます。真面目にハワイの伝統音楽をやってる人には申し訳ないが、僕なんかはこの手のハワイ音楽をスーパーやらデパートやらプールなんかで知らず知らずのうちに子供の頃から耳にしてたりするので、やっぱこれは「気分」の音楽なのです。聴けば「想像のハワイ」の気分にひたれる。そんなところでしょうか。「想像」なんだから当然気持ちのよい場所としての「ハワイ」であり、パラダイスとしての「ハワイ」。あ、そうそう、ふたりともハワイアンギターの名手です。なので、きちんとした技術に裏打ちされた楽園音楽です。


BOB BROZMAN & LEDWARD KAAPANA / Kika Kila meets Ki Ho Alu

バーニー・アイザックスの
アルバムに比べるとこちらのほうがいろんな技を使ってるって感じですが、基本的には同じです。スチールギターとスラック・キー・ギターとのデュオのハワイアン・トラディショナル音楽。しかしここでは1920~30年代のハワイ音楽にしぼったアルバムです。ボブ・ブロッズマンという人はスチール・ギターの名手で、いろんな人(沖縄の人とかとも)と共演しており、このスティールギターの可能性を試したりしてるっていう点でどこかライ・クーダーなんかと存在感がダブりますが、ブロッズマンの方がなにげに本格的です。ところで、このアルバムではボブ・ブロッズマンはナショナル・スティール・ギターだけではなく、木で出来たコア・ウッド・ギターという今では珍しいハワイの楽器も使っています。そのため曲によってはそのギターの珍しい音がハッキリと聴けて、史料的価値も十分アリといったところでしょうか。いや、そんなことよりもこのアルバムののんびりとしたムードを楽しむべきか。


OZZIE KOTANI / Kani Ki Alu
ガットギターのスラック・キーです。スラック・キーっていうと普通スチール弦ですが、この人はガットギター。ガットギターならではの暖かい音色が凄くイイ!なにげによくきくCDです。

SONNY CHILLINGWORTH / Sonny Solo
スラック・キー・ギターだけでなくヴォーカルもいいです。この人。夢見心地。素晴らしすぎ。


DANCE WITH ME/Peter Moon

ピーター・ムーン(g,ukulele)、マーティン・パヒヌイ(g,b)シリル・パヒヌイ(g)、デヴィッド・チョイ(as,ts,fl)、ノエル・オキモト(ds,per,vib)、ブルース・ハマダ(key,b)他
1.Black Orchid 2.Dance With Me 3.Portraits Of Paradise 4.Yesterday Is Here 5.Slack Key Swing 6.Brazll 7.Maori Brown Eyes 8.Pandanus 9.Para Dancar O Samba 10.Adios Kealoha
プロデュース/Kanikapila Records
ピーター・ムーンのインストのアルバム。ブラジル感覚もちょっと入ったハワイアン・フュージョンになってるところが素晴らしい。CDショップの安売りコーナーでたまたま発見したCD。

ギャビー・パヒヌイ/Best of The Gabby Band 1972-1977
神様ともいわれるギャビーのアルバム。観光音楽としてのハワイアンとは一線を画した深い音楽なのですが、聞き流しても気持ち良い不思議な音楽です。

ミュージック・オブ・ハワイ vol2 ~オン・ア・ココナット・アイランド
VACATIONレーベルのワールドミュージック・レトロのシリーズ中の1枚。1930年代のハワイの音楽の数々を集めたコンピ盤。このシリーズのCDは見つけたら買っておいた方がいいです。ハズレなし。

ハワイアン民族音楽(AILE DISC)
ソル・ホオピイ、ロイヤル・ハワイアン・ガールズ等の入ったコンピ。

ALL THE BEST FROM HAWAII (CLUC)
帯に「ヤシの葉陰でブルーなサウンド」とあるカナダ直輸入盤。どこか地方のプールで流れてそうな腰砕けのほほん感覚が素晴らしいです。

ケアリイ・レイシェル/スゥイート・アイランド(1997)
気持ちいいコンテンポラリーなハワイ音楽。見てくれはゴツイのですが、音楽はスイートです。中古盤屋でものすごく安く買いました。

HAPA/ HAPA (coconut grove)
言わずと知れた名盤。ウエスト・コースト系のちょっと入ったハワイのコンテンポラリー。1曲目でやられます。

TAJI MAHAL and The Hula Blues Band (1998)
メイタルズのモンキーマンのカバーが嬉しいタジ・マハールのハワイ音楽。ブルースマンのタジがなんでハワイ?ってな疑問があったのですが、もともと南国っぽいノリの人だったんでしっくりきてます。ブルースとフラを合体させたなんとも珍しいノリの音楽ですが、これが最高なのですよ。

ハワイ音楽の発掘~「マウイ・チャムス」「フラ・ガール」/V.A.
ソル・フーピー、アンディ・アイオナ等のコンピ盤。なかなか本格的なノリです。


ブラジル
CARLOS BARBOSA-LIMA with THIAGO DE MELLO / CHANTS FOR THE CHIEF

カルロス・バルボサ・リマ(g)ガウデンシオ・シアゴ・デ・メロ(per,vo)1991年録音
ウルトラ級の隠れ名盤。チャーリー・バードやローリンド・アルメイダらとの共演暦のあるブラジリアン・ギタリスト、カルロス・バルボサ・リマのパーカッション入りの珍しいアルバムです。バルボサ・リマはギターの名手として名高いのですが、このアルバムでは脇役って感じです。それほどシアゴ・デ・メロという謎のパーカショニストがいい味だしてます。この人のヴォーカルもジョビンやジョアン・ジルベルトといった人達同様、力が抜けてるっていうか鼻歌っぽいっていうか、ブラジリアン特有のヴォーカル・スタイルです。ブラジルのパーカッションというのはいろんな種類があって、ここでもかなりバラエティに富んだ気持ちのよいパーカッションがいろいろ聴けます。単にリズム楽器としてだけでは無いところが面白いです。ヴォーカル無しのインスト曲(take11-16)もこれまた素晴らしく、しっかりしたテクニックに裏打ちされた心地よいスイング感がなんとも爽快。アルバム全体としてはかなり涼し気で、ボッサに飽きてきた人がつぎに聴くアルバムとしても最適かも。ところでこのアルバムはコンコード・レーベルのラテン部門であるコンコード・ピカンテ。コンコードというのはオーナーのカール・E・ジェファーソンの趣味によりギタリストが多く在籍してるのですが、かなりアタリが多いです。ピカンテのシリーズでは他にジェフ・リンスキーというブラジリアンのアルバムがどれもかなりよいです。コンコード・ジャズのシリーズではCバード、Bケッセル、Hエリスといった人気者をはじめJVエプス、ハワード・アルデン、ジョージ・バーンズ、カル・コリンズ、といったあたりの古風なスタイルのギタリストのアルバムが聞き物です。

レシ・ブランダン/レシ・ブランダン・デビューアルバム
1975年のレシ・ブランダンのデビュー作。凄く濃いサンバです。あの「すばらしきサンバの仲間たち」とかに混ざってても違和感がないほど。このレシ・ブランダンはシンガーソングライターだそうで、なんとも凄い才能の持ち主だなあ、などと感心。伝統的なサンバをやってます。

CRISTINA / Resgate

このサンバ・アルバムもイイんですよ!冒頭の曲でのけぞった。この濃さはクセになります。繰り返し聞いてもぜんぜん飽きることがありません。とにかく素晴らしいアルバム。

「すばらしきサンバの仲間たち」/V.A.

このアルバムは結構昔に買ったのだけれど、今でもこれ聴くとぞくぞくします。マノ・デシオ・ダ・ヴィオラの「懐かしいあのころ」っていう曲がなんとも素晴らしい!サンバ史上に永遠に輝く名盤。

マルチーニョ・ダ・ヴィラ/ブラジルの魂
哀愁漂うサンバ・アルバムです。このヴォーカルのもちろんいいんだけど、曲が凄くいいです、この人。ただ、ときにうるさく感じることもありますが、でもサンバだから仕方ないか…。

カルトーラ/人生は風車~沈黙のバラ
有名なわりには結構地味なアルバムなのですが、聞き込むほどに深いサンバ・アルバムです。ブラジルのフォークとでも思えば味わいがさらに増します。

「サンバ・巨匠たち」/V.A.
「すばらしきサンバの仲間たち」と似たようなコンセプトで作ったこれまた素晴らしいアルバム。「すばらしき~」よりは地味目ですが、70才くらいのじいさん達のサンバは楽しげです。


AZYMUTH / Live at the Copavabana Palace (1979)

ホセ・ロベルト・ベルトラミ(Rhodes,vo,per)アレクサンドル・マルヘリオス(b,vo)イヴァン・コンテ(ds)アレウーダ(per,vo)1979年録音、1999年リミックス
このアルバム、一応ライブということになってるが、よく聴くとアドリブパーツが「ライト・アズ・ア・フェザー」収録のものと全く同じ。こ、これは…。やらせじゃないか!インチキじゃないか!ライブのふりして観客の拍手をそれっぽく入れてるだけじゃん!そんなこと英文ライナーにはひとことも書いて無いぞ!…ってことを僕は自分で発見してしまいました。そう。これは疑似ライブ。これ聴いてアジムスはライブでもスタジオと全く同じに演奏出来るほどウマイ、なんて言ってる人もいるようだが、そりゃそうだ。同じ音源なんだから。最近のクラブ系からの再評価を受けて99年に「ライト・アズ・ア・フェザー」をリミックスして未発表音源の新譜として出したものなんですねえ。曲目だって一緒。順番が違うのはヤラセがバレないようにとの姑息な手段。がしかし、これが凄くイイのだ!もとの「ライト・アズ・ア・フェザー」よりもイイ。もともと名盤だっただけに、内容は文句ナシだったんだけど、ホテルのラウンジでのライブっていう設定といい、全体にあやしくかかるリバーブといい、雰囲気づくりが最高です。ベルトラミのローズの使い方はズバ抜けてかっこいい。願わくば、ミディアム~スロー・テンポのものだけでまとめて欲しかったな。アジムスはミディアム~スロー・テンポのときにこそ、その個性が引き立つと思うのです。その要因はベルトラミのローズ。このローズの扱い方こそがアジムスの個性であり特徴なのです。ところが、アップテンポのときにはそのローズが殺されてしまいます。結果、よくあるインストって感じになってしまうのです。だから「ジャズ・カーニバル」は飛ばして聴いてます。僕はリミックスっていうのはあまり好きじゃないんですが、こういうリミックスだったら大歓迎ですね。

YUKA KIDO / ARACUA(1996)

フュージョンなんですが、結構コンテンポラリーなブラジル音楽でもある。一番の聴き所はアラクアンという鳥の声(パーカッションみたいな声をしてるのです)に合わせてフルート吹いちゃう曲。もうね、ほんと面白いですよ、これ。

LAURINDO ALMEIDA / ARTISYRY IN RYTHN (1984/concord)

ジャズのコンコード・レーベルからの作品。ギター、ベース、ドラムのトリオです。中でも「オルウェイズ・オン・マイ・マインド」はことあるごとに頭の中をぐるぐる回ってます。あんまり好きなため、あまり言葉でうまく紹介出来ません…。


ALMEIDA,BARBOSA-LIMA,BYRD / Music Of Brazilian Masters(1989)

名作。ローリンド・アルメイダ、カルロス・バルボサ・リマ、チャーリー・バードのブラジリアン・ガットギター・マスター3人による素晴らしい演奏。ドラムとベースも入ってます。コンコードから。彼等のこういったインストアルバムは他にも何枚かありますが、これはずば抜けてかっこいいです。しかもなごみます。僕の永遠の愛聴盤。

ペドロ・アモリーン/ルペンシ・ミランダを弾く(1995)

アコーディオンが入ってフランスのミュゼットっぽく始まりちょっと意表つかれますが、その後はちゃんとショーロになってます。このアルバム聞くとなんか食欲が出てくるのですが、なんででしょうね?J-WAVEの「サウジ・サウダージ」っぽい感じだからでしょうか?ペドロ・アモリーンの弾く哀愁漂うバンドリンは、なんとなく空が紫色っぽくなってきた夏の夕方、そろそろご飯の支度が出来ますよ~って誘ってる感じでうれしくなってしまいます。この人の音楽は音のひとつひとつが生きてますね。バックにしてもセットドラムの音ではなく生き生きとしたパーカッションの音ってのがいいですね。

バーデン・パウエル/バーデン・パウエル・スウィングス・ウィズ・ジミー・プラット「ワン・ノート・サンバ」

ここ10年くらいのブラジル音楽ブームは凄いですね。ディスクガイド本やフリーペーパーやオムニバス盤などがつぎからつぎへと出てきて、えらい騒ぎです。とはいえ僕はそれらのブームには全く関心がないので一体どんなものが話題になっているのか全然知らなかったりします…。というわけで、御大バーデン・パウエルのアルバムもつぎつぎにCD化されていきてました。このアルバムはフロントにバリトン・サックスとフルートを立てたやや派手目なアルバム。バーデン・パウエル独特のリズミックなノリの快感だけでなく、これらフロント陣やドラムのジミー・プラットらとの濃厚なコンビネーションを楽しむことが出来ます。ボッサの洗練よりもサンバやバップの荒々しさを感じてしまうアルバム。

JOAO GILBERTO/ THE LEGENDARY

1958年~61年までのジョアン・ジルベルトの音源。ボサノヴァ最初期のもの。あらゆる意味でボザノヴァの最上級。ジョアン・ジルベルト自身もこの時期の音源以降、このアルバム以上のものをはたして作ってきたでしょうか…。ところでこれ、ブラジル盤CDですが結構昔に買った為ジャケの上の方が日焼け気味…。今中古屋で買い取り額がとんでもないことになってますが、ヤケジャケでもいいのかな?(って売るつもりなのか!?)


インド

HARIPRASAD,ZAKIR HSSAIN / Venu
ハリプラサード/ザキール・フセイン「VENU」(北インドの古典音楽2)

インドのバンスリー(竹笛)奏者ハリプラサード・チャウラシアと、インドの人気タブラ奏者ザキール・フセインのデュオライヴ。前半はハリプラサードによる独奏が30分ほどつづき、後半ザキールのタブラが入ってそれが36分つづきます。途中ハリプラサードの超絶技巧を聴く事が出来ますが、そんなものよりもむしろ聴きものはゆったりとしたプレイ。これが実に気持ちよいのです。単なる竹笛から発せられるなめらかな音は、まさにインド!(なんのこっちゃ)。ある意味かなりアクの強い音楽かもしれません。タブラのザキール・フセインはジャズでもお馴染みですが、ここではちゃんと古典音楽をやってます。ライヴということもあってか途中エキサイトする場面がいくつかありますが、基本的にはボーっとした感じでずっとつづいていきます。こういったインド音楽もいわば即興演奏なので、ジャズ好きの人ならかなり気に入ってもらえるのでは、と思うのですが。

USTED BISMILLAH KHAN and party / Sublime Notes

インドにはシェヘナイというチャルメラの元祖みたいな楽器がありまして、これはそのシェヘナイという楽器が主役のCDです。バンスリであってもシタールであってもシェヘナイであってもインド古典音楽のラーガっていうのは一緒みたいで、このアルバムも「いかにも」インドな旋律にあふれているのですが、楽器の性質なのかどうもフリージャズっぽくも聴こえてしまうのです。ひょとしてジョン・ルーリーはこのシェヘナイのパターンを知っててあのソプラノサックスの奏法(なぜか似てるのです)をやったのかなあ…なんて思ってしまったりもします。さて、このアルバムはパーカッションとシェヘナイのデュオがずっとつづくもので、聴いてるとトリップ出来そうなほどの雰囲気を持っています。ドン・チェリー「ムー」やスティーブ・レイシー「森と動物園」なんかのフリージャズが好きな人なんかには絶対にオススメですよ。僕はこれが好きすぎて何度も何度も聴いてます。

DIGA RHYTHM BAND /Diga (1976/Rykodisk)
ザキール・フセインが若かりし頃に作っていた驚異のパーカッション集団。10数人のメンバー全員が打楽器をやってるわりにはちゃんとメロディーの聴きやすかったりなんかして、かなり面白いの。ノリがアフロ系とはちょっと違っててそこが聴き所。

マドラス燦燃/南インド・タミールナード州の伝統楽器アンサンブル(JVC)

壷をたたいてます。弦楽器と壷パーカッションのコンビネーションがなんとも美しいのです。…にしても壷を打楽器にしてしまうとは…。たしかハワイにもこういうのありましたね。ジョン・マクラフリンのシャクティの元ネタはここらへんでしょうか。アフリカのリズム感とは明らかに違うノリ。

祭礼の響き~ケーララのパーカッション(King Record)

オンブーというよくわからない笛みたいなもの以外はパーカッションで、このアンサンブルがいかにもインド的な数学的グルーヴ(?)を作り出してます。リズムの波といった感じのグルーヴ感が気持ちいいです。超絶パーカッションよりもオンビーっていう笛のプップクピ~って音がかわいくて、そこにばかり耳がいってしまうCDです。ちなみにこれ、お金が無くなるたびに売り飛ばしCD候補に上がるのですが、ちょっと聴いてから…って思って聴いてしまうとやっぱ売りたくないなって思ってしまうのです。

月下のサーランギー~スルタン・カーンの芸術(KING RECORD)

バイオリンのように弾く弦楽器のサーランギーの音色が美しい。インド音楽特有のラーガもゆったりと気持ちいいのです。

Amar Nath /Morning Melodey 1-10am

Amar Nath /Midday Melody 10am-1pm

Amar Nath /Afternoon Melody 1-4pm

Amar Nath /Sunset Melodies 4-7pm

Amar Nath /Evening Melody 7-10pm

Amar Nath /Midnight Melody 10pm-1am

Amar Nath /Late Night Melody 1-4am

インドのバンスリ(バンブー・フルート)奏者Amar Nathのアルバム一挙に7枚紹介。インド音楽のラーガというのは季節や時間などによっても変わるそうで、ここでは時間ごとに違ったラーガを使用しております。どのアルバムも構成は同じでまずはじめの30分はバンスリのソロ。その後の30分はバンスリのバックにタブラが加わります。このアルバムはインドのマハリシ・マヘーシュ・ヨーギー(かつてビートルズのメンバー全員が傾倒したことでも有名)のレーベルで作られたもののようで、瞑想などのときに使うものかもしれません。しかし通常の鑑賞用としても十分通用する素晴らしい出来のアルバムです。なにより、いろんな時間帯による種類があるので微妙に違うラーガを楽しめるというのが貴重です。


モロッコ

世界民族音楽大全集41/モロッコの音楽
まずはここでの「大道芸人たちの音楽」が凄いのです。ガイダ(オーボエ系の楽器)とベンディール(太鼓)のデュオ。普通に聴けばフリージャズなのですが、モロッコではヘビ使いの取り巻き達の子供たちの演奏だそうで、なんとも驚きなのです。オーネット・コールマンの「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」やジョン・ルーリーの「メン・ウィズ・スティックス」などを思い出してしまうような演奏です。

Musuc Of Joujouka
ブライアン・ジョーンズの趣味で出来上がったものだそうですが、多少リミックスされています。リミックスなしで聴きたかったところですが、でもジャジューカの魅力はそのまま伝わってくるアルバムです。オーネット・コールマンやジョン・ルーリーらモロッコの音楽に魅せられたミュージシャンは数知れず。脳天につきささってくるような「音」ですね。かなりの有名盤。


弦中韻 A String of Melodies/許可(シュイ・クウ)
僕は何故か二胡の音色が好きなのですが、このアルバムの1曲目がすごーくよいのです。二胡のヴァーチュオーゾである許可に関しては詳しくは知りませんが変に感情を込めたりしないところが気に入っています。

日本海/楊興新
なんで題名が日本海なのか知りませんが、日本の企画制作のためなのでしょう。というか「日本海」っていうオリジナル曲も入ってるし…。ところで、ここでの「二泉映月」、ゆったりとしてて最高です。二胡の古典的名曲「二泉映月」についてはほんとにいろんな人の演奏があるのでこれから探究しようと思ってたりします。

悲歌/許可
阿炳(アービン/1893ー1950)と劉天華(リュウティエンホウ/1895ー1932)の二胡ソロ作品集。ここでの二胡演奏はくつろぎを求める人には全く向いて無いほど緊張感とスピードにあふれています。まるでヤッシャ・ハイフェッツを彷佛とさせるかのような演奏です。名曲「二泉映月」も物凄いスピードでどんどん展開していきます。

The Earth/姜建華(ジャン・ジェン・ホワ)
「二泉映月」はバック演奏付き。やや悲愴感漂う「二泉映月」です。

ERHU~二胡の世界/姜建華(ジャン・ジェン・ホワ)
ここでの「二泉映月」はなんともゆったりとしてて、気持ちいい。揚琴の伴奏が入ります。

草原情歌/中国中央民族楽団
録音のせいなのか、生々しい「二泉映月」です。揚琴の伴奏入り。

中国琵琶の世界/ルイ・ピュイ・ユエン
琵琶(ピーパ)でジャズをやるミュージシャンがいますが、これは古典音楽。水がさらさらと流れていくかのような、そんな音の感触です。ノンサッチ・レーベルは本当にいい民族音楽アルバムが多いけどこれもまた素晴らしい。

CHINA-20 TRADITIONAL FAVORITES 中国名曲集/V.A.
あっさりとはじまる「二泉映月」。しかし徐々に盛り上がる。この「二泉映月」は二胡独奏。ところでこのアルバム、やや意味不明のところがあり、何故か現代ポップスみたいなのが混ざっている。「月亭代表我的心」とか「康定情歌」とかがそれで、ポップスというよりは古い伝統曲をポップス風にアレンジしたといったところなのでしょうか?
しかしこのアルバムに収められてる二胡の曲はどれも素晴らしいです。


アメリカ大陸

R.CARLOS NAKAI/DESERT DANCE(1989)

ネティブ・アメリカン・フルート奏者R.CARLOS NAKAI。冒頭、怪しいチャントから始まります。自分の出自をかなり意識したような作り。即興演奏による静かな曲の数々は自然と一体になって泳ぐように流れていきます。太鼓もたまに入っていますが、文字どおりネイティブって感じで生々しいです。

R.CARLOS NAKAI/JOURNEYS(1986)
フルート・ソロのアンビエントなアルバムです。いつもCDラックの底に埋まってるけど、何故か気になる存在。

ALL THE BEST FROM THE AMERICAN INDIAN /v.a.
ネイティブ・アメリカンっていろんな部族があるんだなあ…なんて思ってしまった。音楽っていうか、アメリカのお経?ってものまであります。テンション高すぎてボ~っとしてるとついていけませんが、このノリに慣れると気分が高揚してきます。ヘタなパンクバンドよりもはるかにパンクっぽいのが面白い。なんかここまで凄いとみんなペヨーテやマジック・マッシュ食ってるように思えてきてしまいます。「生」のエネルギーがこれほどまでに生々しく出てるものも珍しい…。ちなみにこれ、有名(?)なカナダ盤バッタもんシリーズのうちのひとつです。


インドネシア

スアラ・パラヒアンガン・グループ/ガムラン・ドゥグン・サビルルガン

スリンという竹笛をフィーチャーしたガムランのアルバム。ガムランはバリとジャワで微妙にスタイルが違うのですが、これはどちらかというとジャワ系の端正なスタイル。ウジャン・スルヤナのスリンがひたすら気持ち良いです。



マルチニーク

KALI / RACINES(1989)
80年代に吹き荒れたワールドミュージック・ブームのハイライトはキング・サニー・アデとこのカリだった気がするんだけど、どうでしょうか(ユッスー・ンドゥールやサリフ・ケイタなんかもいましたね)?さて、これはカリブ海マルチニークのバンジョー&voのカリのデビュー盤。続編やライブ編も出ていましがやはりこの1枚目がベスト。バンジョーのパリっとした音と、フランス経由の風味が独特で、かなり気持ちいいです。


ギリシャ
レンベ-ティカ・フロム・ギリシャ/ピレウスのレンベーティカ1933~1937

これに似た音楽というのを他に知らないんですが、相当珍しいです。ギリシャのブルースって言われてるらしいですが、それにしてもビンボー臭くて面白い!ペンペンいってる弦楽器も素晴らしいです。この独特の音階は一体どこから来てるんでしょうね?このCDはかなり好きで、結構よく聴きます。

クレタ島の音楽(アルバトロス)
クレタ島の民俗音楽。なんとも奇妙だけどかわいい音楽ですね。独特の音階、ヴァイオリンの生々しい音、よくわからない弦楽器のベンベンいう音…どれも皆アラブのようでもありオーストリアっぽくもあり不思議です。

 



ジャマイカ

THE JOLLY BOYS / Sunshune 'N' Water (1991/First Warning)

僕のレゲエに対する関心というのは実はエスニック的な興味から来ていまして、ポップから来てるのでは無いのです。で、このジョリーボーイズなんですが、これはジャマイカのメントっていう古い形式の音楽でいわはジャマイカのエスニック。このメントからレゲエが生まれたそうです。それでこの音楽なんですが、もう極楽音楽としかいいようがないくらいに脳天気。録音は比較的新しいんですが、この伝統音楽は細々とながら現代にも受け継がれています。とはいえこのCDではおじいさん達が演奏してるんですがね。ルンバボックスやラスタドラムというパーカッション、バンジョー、のんきな歌声…どこを取っても南国の空気が漂っています。


フランス
All The Best From The Accordions Of PARIS
邦題は「パリのアコーディオン名曲集」。「フランス」コーナーでセルジュ・ゲーンズブールも紹介せずにこんなイージーなアルバム紹介してしまってかなり恥ずかしいものがなきにしもあらず。この音源は本当に素晴らしいです。ブートなので元の音源が分からないんですが、オリジナルはたぶんイージー・リスニングとして作られたものだと思います。アコーディオン&ベース&ドラムによるべたべたな「フランス」気分的ミュゼット音楽。このバカっぷりはかなり好きです。

ジョルジュ・ムスタキ/The Greatest Georges Moustaki
エジプト生まれでギリシャ人のムスタキ。あえてフランスに分類してしまいました。シンガーソングライターというより歌う詩人といった方が似合うアーチストかもしれません。これはムスタキの2枚組LP。ヨーロッパ特有の叙情性が非常に美しいですね。フランス経由のエスプリ漂う(?)「HIROSIMA」はなんとなく仕事人でも使われそうな雰囲気(笑)。ムスタキの音楽はあまりシャンソン臭くないところがいいです。


モンゴル

草原のチェロ~モンゴルの馬頭琴(KING RECORD)
イメージとしては中国の二胡に近いのですが、こちらのほうがやや開放的な音。このメロディ感覚もどことなく中国なんですが、まあ、近いことだし…。

超絶のホーミー~モンゴルの歌(KING RECORD)
「十五夜の月」には大爆笑!!うやうやしいイントロ(クィーンのボヘミアン・ラプソディに近い!)につづいて出てきたのはウィィ~~ィンという人間の声!バックでは楽器がちゃんとメロディを奏でているのにもかかわらずこの人はウィィィ~~ィィン。同時に3つくらいの音を出しちゃってますよ!究極のモンド・ミュージックでしょう。こういうバカっぽいの大好きです。


イースター島

"ISLA DE PASCUA "(Easter Asland) TANIA VAIKAVA (EMI)

イースター島の音楽。どことなくハワイっぽく聞こえるのは南国特有の開放的な音だからでしょうか。僕の持ってるのは輸入盤。これの日本盤が出てるのかどうかは不明ですが、EMIなので比較的有名なアルバムなのでしょうか?かなりのパラダイス度ですよ。英語のライナーには詳しいことがなにも書いてないのですが、基本的にギター、太鼓、ヴォーカル(数人)による楽しげな音楽です。


ロシア
The Odessa Balalaikas / The Art Of The Balalaika (nonsuch)
バラライカの音楽です。うちには何故かバラライカの教則本があります。いつかバラライカを買ってバラライカのマスターになろうという野望があるのですが…。でもバラライカってこのアルバムのように数人で演奏するのが綺麗なのかな?いや、でもバラライカをストリートでひとりで演奏ってのもシブイような。で、バラライカってなんでわざわざ三角の形してるんでしょうか?どっから見ても持ちにくそうなんだけど。このアルバムのバラライカ演奏を聴いて中国のピパ(琵琶)やブラジルのショーロなんかを思い浮かべてしまいました。

THE BEST OF ALEXANDROV SONG AND DANCE ENSEMBLE アレクサンドルフ・アンサンブルのすべて(1976/VICTOR)
アレクサンドルフ・アンサンブルの正式名称は『赤旗勲章受賞A.V.アレクサンドロフ名称ソビエト軍・歌と踊りのアンサンブル』というのだそうな…。この凄い名前にちょっと尻込みしてしまいますが、これが素晴らしくカッコイイ。まるでロシア版ミッチ・ミラー。勇ましいコーラスやソロヴォーカルに圧倒されます。民族楽器を主体とするオーケストラやコーラス隊など総勢200人以上というメンバーの音の圧力はあまりに凄すぎてちょっと恐くなるくらいです。でもこれはやっぱ珍盤のたぐいかなあ…?まあ、CD化されてるのかどうかは全く知りません…。でもソビエト連邦時代のロシア音楽はちょっと要チェックです。

Caviar,Vodka and Violins キャビアを、ウォッカを、そしてヴァイオリンを!~ロシア・ジプシー民謡集
ミーチャ・トーマス、セルゲイ・ノコライエフ(vo)ジュラ・コカー(vln)パリ・モンセニョール・ジプシーオーケストラ
シンプルなスモール・アンサンブルをバックに穏やかに歌われるロシア民謡の数々…、なごみます。どこかで聞いたような、でも聞いたことないような…そんな音楽です。なんかほっとする音楽。


スイス
チロルの音楽~アルプスの歌と踊り
1973年に「民族音楽シリーズ」として出たLP盤。監修は小泉文夫と中村とうようです。チロルのブラスバンドによるのほほんとした演奏はまるでハワイの観光音楽でも聞いているかのような素晴らしい脱力感。本場のヨーデルはハイジのように派手ではなくて意外にこぢんまりとしてて聞きやすいです。所々カントリーっぽいのどかさもあったりして、聞いてるだけで楽しくなります。「花やしき」のような鄙びた遊園地で流れると結構ピッタリかも。


アルゼンチン

ARGENTINE TANGO Perfect Collections / V.A.
アルマンド・ポンティエル、ドナート・ラチアッティ、フロリンド・サッソーネ、ロベルト・パンセーラ、クアルテート・ポルテーニョ、フアン・カルロス・カビエーロらの演奏がランダムに収録されています。大袈裟なピアソラを聴いたあとでこれを聴くと何故かスカっとするから不思議です。ストリングスのアレンジが美しいサッソーネ、バンドネオンの小気味よさがなんとも気持ちいいラチアッティ、等等どの曲も秀逸。ちなみにこれは2枚組LPです。


ハンガリー

東欧のジプシー音楽~ヤーノシュ・ラーツのジプシー・ヴァイオリン

小泉文夫(民族音楽に関心がある人はこの人の著作物は必読!)と中村とうようの監修による「民族音楽シリーズ」というレコードのうちの一枚。ジプシー・ヴァイオリンのヤーノシュ・ラーツの音源。ロシア民謡などの曲をやってます。バックにはツィンバロムという楽器(ダルシマーの一種)のの音などが入ります。ジプシー達はレストランや酒場で楽士として生計を立てているそうで、そういった東ヨーロッパのレストランの賑わいの雰囲気というものを感じ取ることが出来ます。飄々とした演奏です。


イタリア
エンリコ・カルーソー/ナポリ民謡集(RCA)
1906年~1920年の録音を集めたレコードで、SP盤からの復刻盤。有名な「オー・ソレ・ミヨ」や「サンタ・ルチア」なども入っています。どれもこれもバックの伴奏の古臭さとここに流れる空気のレトロさによってなんとも素敵な響きになっているところが面白い。このレコードをターンテーブルにのせて聴いていると、なんだか自分が古いヨーロッパ映画の主人公にでもなったような気分になってきます(笑)。


ドイツ
ドイツ民謡集 6 聖夜に寄せて/ヴェルニゲローデ・ユーゲントコーア(合唱)、フリードリヒ・クレル(指揮)

これは第6集で、クリスマスに歌われる聖歌を中心に36曲収められています。古い古代からの聖歌、クリスマスの子供の歌、子守唄、19世紀以降の新しい時代の聖歌などが収録されてて、どれも非常に美しいものばかり。僕の好きな「荒野の果てに」も入ってます。

ドイツ民謡集 1/ヴェルニゲローデ少年少女合唱団、フリードリヒ・クレル(指揮)

これはドイツ・シャルプラッテンから出てる「ドイツ民謡集」の第1集。なんとも美しい曲ばかり。心洗われます。吉祥寺にリンデという僕のお気に入りのドイツ・パンのベーカリーがあるんだけど、そこでいつもこんな感じのものが流れてます。


アイヌ

安東ウメ子/ウポポ サンケ (2003 chikar studio)

ポリリズミックなリズムで静かに始まり、出てきた安東ウメ子の深い声にすっかりやられた。アイヌの伝統音楽をトンコリや他の民族楽器でアレンジして仕上げたという感じのアルバム。安東ウメ子の声だけでいいような気もするが、これもまたよし。


安東ウメ子/IHUNKE イフンケ (2001 chikar studio)

「ウポポ サンケ」の2年前に作られたアルバム。「ウポポ サンケ」よりも静かで、安東ウメ子の声のヴァリエーションもたくさん堪能出来るようになっています。安東ウメ子の静かなヴォーカルが最高。

アイヌのユーカラ~世界民族音楽大集成4

前半にユーカラ、後半にトンコリの演奏が収められてます。ユーカラとは節をつけて語られる物語のことだそうで、ここでは2人のユーカラが聞けるんですが、あまりにもディープ…。そして素晴らしい!トンコリのソロ演奏はいかにもアジアな響きがあって興味深いところです。金谷栄二郎氏によるトンコリ演奏4曲。その中に「イフンケ」なんて題名の曲があったりするから安東ウメ子ファンの僕としては嬉しい。

中本ムツ子/「アイヌ神謡集」をうたう

大正時代に書かれた「アイヌ神謡集」(知里幸恵/岩波文庫)という本はアイヌ民族の間で口伝で歌われて受け継がれてきたユーカラの数々がローマ字と現代日本語とで書かれている本。大正時代に19歳で亡くなった「アイヌ神謡集」の編者知里幸恵さんは亡くなる日までその原稿を手放さなかったそうで、絶筆となったその原稿をまとめたのがこの「アイヌ神謡集」。その「アイヌ神謡集」のユーカラを80年ぶりに復活させたというのがこの3枚組CD。「アイヌ神謡集」を読んでて一体これをどのように歌うんだろうとずっと謎だったのでこのCDはかなり嬉しい。さて、このアルバム、手拍子も伴奏もなにもなく淡々とユーカラが歌われていきます。20分を超す曲もいくつかあります。大正時代の頃、あるいはそれ以前の時代に歌われていたというこれらの曲はなんとも素朴。曲というよりもなにか動物でも呼んでるかのようでもあり、子守唄のようでもあり、独り言のようでもあり。

床絵美 / UPOPO (CD-R/2007)


アイヌのウポポ(唄)の独唱。安東ウメ子のアルバムに迫るほど素晴らしい。かなりのお気に入りです。 


沖縄

喜納昌吉&チャンプルーズ
「喜納昌吉&チャンプルーズ」

喜納昌吉のファーストアルバム。有名な「ハイサイおじさん」はここに収録。ビートたけしのオールナイトニッポンではいつもエンディングにハイサイおじさんが流れてました。

嘉手苅林昌
「沖縄しまうたの神髄」
僕の中では沖縄イコール嘉手苅林昌。沖縄民謡の歌い手の中でもこの嘉手苅林昌は別格。かつて日本武道館であった琉球フェスティバルで嘉手苅林昌の生のライブを見たことがあるけど、本当に凄かった。この人のゆったりしたノリと声はなにか別次元で鳴っているかのような、そんなカッコヨサがあります。

登川誠仁
美ら弾き 沖縄島唄(1978/victor)

1曲目の三絃で思わずのけぞる。物凄くかっこいい。ヴォーカルはゆったりしてるのに三絃は早い。さすがは伝説の名人。ライブで見た登川誠仁の三絃も凄かったです。ず~っと聴いてて思ったんですが、なんとなくアフリカのグリオの音楽に近い何かを感じます。

嘉手苅林昌
綾なす島の伝説 沖縄島唄 vol.1(victor)

忘れもしない1997年7月5日武道館での『琉球フェスティバル』。生きながら伝説の人物となっていた嘉手苅林昌が本土に来日するっていうんで見に行った。このときの出演メンバーは嘉手苅林昌、登川誠仁、知名定男、大工哲弘、饒辺愛子、嘉手苅林次、伊波貞子、ザ・フェーレー(徳原清文、松田弘一、波田間武雄、松田末吉)、大島保克、りんけんバンド、ディアマンテス、ネーネーズ。バンドなどから派手に始まって、徐々に沖縄民謡のアーチストへ、そしてラストは満を持しての伝説の嘉手苅林昌が登場。このときは本当に凄かった。数曲しかやらなかったけど、それでも凄かった。それまでの歌い手なんか単に声がでかくて声が通るだけではないか、なんて感じてしまうほど神憑かってて、とにかくビックリ。嘉手苅林昌の素晴らしさはCDで知ってたものの、やはり実際に動いてる姿をみてはじめてとんでもない人なんだなあ…と感じてしまったのでした。ということでこのCD、嘉手苅林昌の至芸の極地が堪能出来ます。

大城美佐子
沖縄島唄~沖縄うらみ節(Victor)

前半は
嘉手苅林昌との掛け合い、後半は知名定男との掛け合いと大城美佐子のソロっていう構成。1975年の録音です。嘉手苅林昌の弟子だそうで、この2人の掛け合いは実に素晴らしい。沖縄民謡独特の三絃によるリズムはなんともカラっとしててイイ。

大工哲弘
「OKINAWA JINTA ウチナージンタ」(1994/off note)

書生節と沖縄民謡をミックスしたような面白い音楽。「東京節」「書生節」「あきらめろ」「籠の鳥」等の書生節や日本の古い唄などをちんどんや管楽器などバックに大工が歌います。もちろん大工は三絃も弾いてます。メンバーはオフ・ノートでお馴染みの面々。


(文:信田照幸)



 

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