PIANO(その3)(最新記事はその4



JOE BUSHKIN / The Road to Oslo & Play It Again Joe

ジョー・ブシュキン(p, vo) ジェイク・ハナ(ds)ジョニー・スミス(g)ミルト・ヒントン(b)ウォレン・バシェ(tp)アル・グレイ(tb)ハワード・アルデン(g)ビング・クロスビー(vo)レス・ポール(produce)他

サッチモ、ビング・クロスビー、トミー・ドーシー、ベニー・グッドマン、ビリー・ホリデイ、リー・ワイリー、等等、超大物たちのバックでピアニストとして活動していたジョー・ブシュキンの70年代のソロアルバム。テディ・ウィルソンにも通じるエレガントさとラウンジテイストがなんとも最高です。1曲目と11曲目ではビング・クロスビーが参加。たまにストリングスもついてます。いわゆるエンタテインメントとしてのジャズです。こういうのは個々のプレイがどうのというより、ホテルのラウンジにでもいるかのような、その雰囲気を楽しみたい。ある意味イージーリスニングみたいなもんでしょうか(僕にとって)。んで、ちょっと驚いたのが、バックメンバーにコンコードレーベルのハウスミュージシャンたちの名前が。とはいえ本作はコンコードではないのでプロデュースはもちろんカール・E・ジェファーソンではありません。が、内容的には結構コンコードっぽいかも。ところでこのジョー・ブシュキン、かつてハワイに居たときに(セミリタイアしてた時)、合氣道の藤平光一師範(合気道の開祖植芝盛平が生前に唯一10段位を与えた人物)から指導を受けたそうで(1ヶ月間道場に通ったそうです)、ブシュキンのピアノの奏法にも影響を与えたとか。その後70年代にビング・クロスビーのラストツアーに抜擢され、復活するわけですが、本作はその復活後の作品。それまでのエレガントなプレイに、楽しさのようなものが加わっています。

HERBIE HANCOCK / Maiden Voyage (1965/Blue Note)

ハービー・ハンコック(p)トニー・ウィリアムス(ds)ジョージ・コールマン(ts)フレディ・ハバード(tp)ロン・カーター(b)

何故かここんとこずっとこのアルバムを聴いてます。特に理由は無いんだけど、単に気持ちいいから聴いてるだけ。聴くほどに深い作品であることを今さらながら知りました。このアルバム、最初に買ったのは中学3年の頃。とにかくサッパリおもしろくなくて、結局高校のときに友達のジミヘンのレコードと交換してしまいます。で、その後大学生の頃にCDで買いなおします。あまり聴き込んだようなことは無かったように思ってたんだけど、今聴くと、このアルバム内のいろんなフレーズを覚えてるのでそれなりに聴き込んだのかもしれない。ハービー・ハンコックの作品はどれもこれも有名なものばかりだけど、その中でもこのアルバムが特に名盤とされるわけは、このアルバムに漂う「謎」があるからではなかろうか、なんて思います。「謎」というのも変だけど、あえて言えば「謎」としか言い様が無い。モードジャズというものに漂うある種の曖昧さ。バップではまず表現出来ないような秩序と無秩序とのどっちつかずの感覚。しっかりしているはずなのに曖昧な後味が残る構成。何度聴いても風通しのよさを感じるのは、それらの「謎」のせいなのではないか。まあ、兎に角にも60年代ジャズの名盤です。 

SONY CLARK / SONY CLARK QUINTETS (blue note/1957-1958)

take1-2
ソニー・クラーク(p)ポール・チェンバース(b)ジャッキー・マクリーン(as)アート・ファーマー(tp)フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
take3-5
ソニー・クラーク(p)ポール・チェンバース(b)クリフォード・ジョーダン(ts)ケニー・バレル(g)ピート・ラ・ロッカ(ds)

BN1592番ということになってたのに当時アメリカで発売されなかった、ということでよく知られるアルバム。最初の2曲は言うまでもなくクール・ストラッティンのときのセッションからのもの。どちらも素晴らしい。クール・ストラッティンに入っててもおかしくない感じだけどクール・ストラッティンと一緒にじゃなくてよかったという感じもある(クール・ストラッティンのCDではボーナストラックとして入ってます)。残りの3曲はケニー・バレル入りの貴重なテイク。3曲目マイナー・ミーティングはトリオ盤「ソニー・クラーク・トリオ」の1曲目と同曲。こちらのバージョンの方が僕は好き。50年代後半という時代の空気もパッケージされているかのようです。

COUNT BASIE TRIO / For The First Time (pablo/1974)

Count Basie (p, organ) Ray Brown (b) Louis Bellson (ds)

名作。ベイシーのピアノトリオ作品(2曲だけオルガン弾いてます)。ベイシー・ビッグバンドのピアノの部分だけを取り出した様な作品で、とにかく素晴らしい。音数が少ないのにとにかくスウィング感がすごい。昔からよく聴く作品で、何度聴いても何故か飽きることが無い。かなり好きなアルバム。ベイシーのピアノトリオは、続編の「For The Second Time」というのもある。また、フレディ・グリーン入りのピアノトリオ+ギターというカルテット編成の「COUNT BASIE At The Piano」というアルバム(1938~39年録音)もある。

ANDREW HILL / Dance With Death (blue note/1968)

Andrew Hill(p) Joe Farrell(ts,ss) Charles Tolliber(tp) Victor Sproles(b) Billy Higgins(ds)

アンドリュー.ヒルのたたき出す独特のハーモニーってのはなかなかの曲者で、ぼーっと聴いてるとみんな同じように聴こえるけどよく聴くととんでもない音の表情が詰まってたりするのだ。しかもこれがまた地味なのでぼんやりしてるとスーっと流れていってしまう。アルフレッド・ライオンがあれだけ推してもさっぱり売れなかったというのもなんだか分かる気がする。要するにBGM的に聴くのに適していないのだ。聴く方にも参加を要求してくる。レニー・トリスターノとはまた違った方向でバップとは違ったジャズの可能性を追求したといえるのではないか。このアルバム、リアルタイムでは発売されず大分後になってから発掘されたものなのだが 、出来はかなり良い。キャッチーで覚えやすいメロディなんてほとんど無いけど、色彩感に溢れためくるめくハーモニーは実に味わい深い。

CEDAR WALTON / The Bouncer (HIGHNOTE/2011)

Ceder Walton(p) Vincer Herring(as,ts,fl) Steve Turre(tb) David Williams(b) Willie Jones III(ds) Ray Mantilla(per)

シダー・ウォルトンのピアノが何故か電子ピアノの音のように聴こえるんだが。タッチが単調になったのか、録音のせいなのか。それはともかく、8曲中6曲がシダー・ウォルトンの曲。これがまた全部素晴らしい。特に1曲目とか最高。そしてホーン2人がこれまたびっくりするほど良くて、全部ホーン入りでやって欲しかったところ(ピアノトリオでの演奏が3曲ある)。Steve Turreが2曲しか参加してないってのがもったいない。全体的に程よいルーズ感があって、その風通しの良さが心地良い。

KEITH JARRETT / RIO (ECM/2011)

Keith Jarrett(p)

まるで憑き物が落ちたかのような、妙なサッパリ感。過剰な情感が無く、アブストラクトな音の散らばり方で、何度でも聴ける。ブラジル録音ということが何か関係しているのかどうなのかよく分からないけど、これまでのキースのソロ作品に比べてタッチが弾んでいるというか、リズミカルだ。キースのアルバムではひさびさにイイなと思った。

COLIN VALLON / Rruga (ECM/2011)

Colin Vallon(p) Patrice Moret(b) Samuel Rohrer(ds)

スイスのピアニストCOLIN VALLON のデビュー作。これはちょっと不思議な面白さ。たたみかけるように和音を積み重ねてくる1曲目から淡々とした風情で、叙情ではなく叙景といった感じ。あやふやな主旋律と淡々としたアドリブ。ふわふわと漂うような感触と、しっかりとしたピアノタッチ。北欧的叙情派ピアノとは何かが根本的に違う。要するによくあるキース的アプローチ(あるいはピエラヌンツィ的アプローチ)ではないのだ。このサクサクとした音楽はなにげに快感。

Dave Brubeck Quartet / Near-Myth (Original Jazz Classics/1961)

Dave Brubeck (p) Bill Smith (cl) Eugene Wright (b) Joe Morello (ds)

ビル・スミス入りのブルーベック・カルテットはデズモンドよりもいいのではないかってくらいに素晴らしいわけだが、ビル・スミスのクラリネットはどことなくブルーベックのサックスの音色に近い。ビル・スミスはブルーベックとともにダリウス・ミヨーに学んだそうだが、具体的にどのへんがミヨーなのかってばいまいちよく分からない。とはいえこのアルバム、デズモンド版DBQの持つどこかマンネリ気味な気配が無く、とはいえ緊張感みたいなものもなく、とにかく雰囲気がいい。ブルーベックのピアノのノリもなんかいつもよりいいのでは。重ねに重ねた和音で低音をガンガンやるブルーベックの攻撃性に気がつくアルバムでもある。

HERBIE NICHOLS / THE PROPHETIC HERBIE NICHOLS VOL.1 & 2 (bluenote/1955)
 
Herbie Nichols(p) Al McKibbon(b) Art Blakey(ds)

ブルーノート10インチの5000番台は味のあるアルバムが揃っているが、このハービー・ニコルスの2枚のアルバムは5000番台の最後の方に出てくる。5000番台のアタマの方にはモンクが出てくるけど、モンクで始まりハービー・ニコルスで締めるというのもなんか凄いな。ハービー・ニコルスってば、昔からよくモンクと比較されたりするけど、たしかにリズムに対する切り込み方とフレーズの作り方が似てる気もする。でもハーモニー感覚というか音の選び方の感覚がまるで違ってて、モンクのコードの中抜きみたいなミニマル感(?)はハービー・ニコルスには無い。だからその分ハービー・ニコルスの方が聴き易く、音風景は鮮やかだ。で、そのハービー・ニコルズ、アルバムは極めて少ないんだけど、この2枚は特に素晴らしい。ブレイキーのドラムも最高。

Harold Mabern / Live At Smalls (Smallslive / 2013)

Harold Mabern (p) Gerald Canon (b) Joe Farnsworth (ds)

しかしスモールズ・ライブのシリーズはハズレが無いなあ。どれもこれも素晴らしい。特にいつもドラムの音がいい。最近では一番好きなレーベルかもしれない。で、このアルバム。ハロルド・メイバーンがやたらと元気だ。バップからブルース、ブギウギスタイルまで、いろいろ詰め込んでるわりにはちゃんと統一感みたいなものがあって一気に聴ける。セサミストリートの曲なんてのも出てくるけど、和むだけでなく結構パワフル。一時期はDIWやVENUSといった日本のレーベルばかりでお茶を濁してた感もあったけど、NYでのライブとなればやっぱり気合いが違ってくるんだろうか。なんだか凄いです。サイドマンとして活躍してたBlue Note時代にBlue Noteからリーダー作を出してたらなあ、なんてことをよく思います。

AHMAD JAMAL / Blue Moon , The New York Sessions (Jazz Village/2012)

AHMAD JAMAL (p) REGINALD VEAL (b) HERLIN RILEY (ds) MANOLO BADRENA (perc)

これはもうバックが面白い。いや、アーマッド・ジャマルももちろんいいんだけど、ジャマルはだいたいいつものスタイル。かつてのフュージョン期(1980年の「Night Song」は最高)も彷彿とさせる音風景で、とにかく圧倒的にセンスがいい。アーマッド・ジャマルは多作のわりにはどのアルバムもあまり話題にならない気がするんだが、たぶんラウンジミュージック的なスタンスとイージーな雰囲気のせいではなかろうか。この雰囲気は最初から一貫してて、僕なんかはかなり好きなんだけど、やはり一般受けは難しいのか。で、このアルバムもまたどこかラウンジ・テイストで統一されてはいるものの、バックのパーカッションの展開の面白さや、ジャマルの無駄に豪華な装飾音などで、かなり楽しめる。単純なピアノトリオで終わらせないこのセンスがなんとも最高。ジャマルは80歳を越えてるようだが、この手のものをどんどん出して欲しい。

DAVID CHESKY / Jazz In The New Harmonic (Chesky Records/2013)

David Chesky(p) Javon Jackson(ts) Jeremy Pelt(tp) Peter Washington (b) Billy Drummond(ds)

今年のベスト候補。もう滅茶苦茶かっこいい。淡々と続くリズムセクションの上をホーン群が浮遊しているような、そんな感じ。なんとなくJohn Lurie National Orchestraの「Men With Stics」を思い出した。映像的な音。最も好きなタイプの音楽だ。ジャヴォン・ジャクソン、全く興味なかったけどこれで興味持った。

AHMAD JAMAL / Jamal At The Penthouse (argo/1959)

Ahmad Jamal(p) Israel Crosby(b) Vernell Fournier(ds)

ウィズ・ストリングスのカクテル・ピアノ風。普通カクテル・ピアノってば装飾音が多いイメージがあるけど、ジャマルのピアノはいつでもだいたい無駄を極力削ぎ落としたようなスタイル。このシンプルなピアノにバチェラーパッドミュージックっぽいストリングスが付いて、どこかオシャレです。このジャケからしてムード音楽として作られたものかもしれないけど、ジャマルのピアノはなんとも味わい深い。 

Duke Pearson / Honeybuns (atlantic/1966)

Duke Pearson(p) James Spaulding(as) George Coleman(ts) Pepper Adams(bs, cl) Johnny Coles(tp) Garnett Brown(tb)��Les Spann(fl) Bob Cranshaw(b) Mickey Roker(ds)

メンバー的にほぼブルーノートなんだけど、これはアトランティック盤。1曲目がドナルド・バードの「Slow Drag」(1967年)みたいでかっこいい。そもそもデューク・ピアソンはドナルド・バードのグループにいたんだよなってことを思い出す。これだけの数のメンバーがいながらそれほどうるさく感じないところがピアソンのアレンジのセンスの良さ。前作「Wahoo!」からの流れの上にある作品。

Cyrus Chestnut / Midnight Melodies (Smoke Sessions Rec / 2014)

Cyrus Chestnut(p) Curtis Lundy(b) Victor Lewis(ds)

サイラス・チェスナットに最初に興味持ったのは渡辺貞夫の「REMEMBRANCE」(1999)。ここでのサイラス・チェスナットがあまりに素晴らしかったので、その後はチェックするようになった(とはいえ全部聴いてるわけではない)。このアルバムではライブということで躍動感もあって最高。スケールの大きなジーン・ハリスみたいな感触もあるし(ちなみにジーン・ハリスは僕の大のお気に入り)、マッコイのような迫力もあるし、そしていつものハーモニー感覚も素晴らしい。ヴィクター・ルイスがまた最高。

The Three Sounds / Bottoms Up! (blue note/1959)

Gene Harris(p,celeste) Andrew Simpkins(b) Bill Dowdy(ds)

50年代から60年代前半あたりまでにかけてのスリーサウンズは全部好きだ。なんといってもジーン・ハリスのハーモニー感覚が素晴らしすぎる。どこかレッド・ガーランド的なキュートさもありつつ独特のゴスペルライクなブルースフィーリングでコンパクトにまとめるセンスはそこらへんのカクテルピアノとは全く違って個性の塊のようなものだ。タッチがパーカッシブ音が跳ねているところも実にカッコイイ。これはスリーサウンズのセカンド。ジュークボックス用なのか、ファースト同様それぞれの曲が短くまとまっているが、短い中にいろんな要素を詰め込んであってどの曲も密度が濃い。 

Henry Butler, Steve Bernstein / Vipers Drag (impulse/2014)

Henry Butler(p, vo) Steven Bernstein(tp) Reginald Veal(b) Herlin Riley(ds) Charlie Burnham(vln) Peter Apfelbaum(sax) Michael Blake(ts) Erik Lawrence(sax) Doug Wieselman(cl) Curtis Fowlkes(tb) Matthew Munisteri(g)

ラウンジリザーズのメンバーが沢山いるのが嬉しい。音楽的にもラウンジリザーズっぽいものがちらほらと。とはいえ内容はやはりニューオーリンズ風味。ヘンリー・バトラーのリーダー作扱いなのかスティーブ・バーンスタインとの共作扱いなのかよく分からないんだけど、一応ヘンリー・バトラーの作品ってことでいいのかな。にしても、このアルバム、昔のヘンリー・バトラーのインパルス盤より断然素晴らしい。バックのラウンジリザーズ的スパイスが効いてます。 

DAVE McKenna / Giant Strides (1979/concord)

DAVE McKenna(p)

モダン・スウィング系の中でも古いスタイルのストライド・ピアノ・スタイルで弾くデイヴ・マッケンナのピアノ・ソロ。他にもデイヴ・マッケンナのピアノ・ソロのアルバムはあるけど、どれも一見カクテル・ピアノ風のようであまりカクテルじゃないというか、妙な熱を感じることがあります。左手の強靭なベースラインは晩年のレニー・トリスターノなんかを思い出しますが、マッケンナもトリスターノもアール・ハインズらのようにベースラインが跳ねないのが特徴。ある意味典型的な白人ジャズで、当時のコンコードが最も得意とするところでした。このアルバム、カクテルには行かない絶妙なバランス感覚がジェットストリームでも聴いてるようで心地良いです。

The John Young Trio / A Touch Of Pepper (Argo/1963)

John Young(p) Sam Kidd(b) Phil Thomas(ds)

スリーサウンズをさらに軽くした感じのジョン・ヤング・トリオ。ジョン・ヤングはずっとシカゴを中心に活動していたようで、50年代にはTボーン・ウォーカーのアルバムでピアノを弾いてたこともある。このアルバム、シリアスなジャズというよりはスリーサウンズやラムゼイ・ルイスのようにジュークボックス向けの小気味良い小品ばかりで、結構オシャレだったりする。とりおりフィニアス・ニューボーンJr.を思い出させるような豪快なユニゾンなども聴ける。 

Oscar Peterson / On The Town With The Oscar Peterson Trio(verve/1958)

Oscar Peterson(p) Herb Ellis(g) Ray Brown (b)

この1曲目でのオスカー・ピーターソンのソロは人間技の限界ではなかろうかというくらいに物凄くて圧倒される。ハーブ・エリス目当てで聴く僕なんぞもこの凄まじさはさすがに無視できないわけで、聴くたびに驚く。オスカー・ピーターソンのアルバムはどれを選んでも演奏が高水準でハズレが無いので、共演者や企画でその違いを楽しめるわけだが、このアルバムはライブ録音で、客席から聴こえてくるグラスの音やガヤガヤといった声などがちょうどいい感じで入っていて、雰囲気がとにかく最高。

The Marian McPartland Trio (Capitol/1956)

Marian McPartland(p) William Britto(b) Joe Morello(ds)

1曲目のベースが凄くて驚くのだが、全体的にはいかにもキャピトルの白人ピアノトリオといった感じ。ではあるもののNY録音ということもあってなのかキャピトル特有のイージーさ(というかラウンジ感というか)はそれほど感じない。マクパートランドのピアノは端正で、一音一音の粒がはっきり立ち上がっており、しかもほころびが無い。そしてスウィング感も抜群で、そこらへんのカクテルピアノとは格が違う。デイブ・ブルーベック・カルテットでお馴染みのジョー・モレロのドラムもたまにバディ・リッチばりに炸裂したりして面白い。 

Mulgrew Miller / Hand in Hand (Novus/1992)

Mulgrew Miller(p) Christian McBride (b) Lewis Nash (ds) Kenny Garrett (ss, as) Joe Henderson (ts) Eddie Henderson (tp) Steve Nelson (vib)

ジャズ・メッセンジャーズ~トニー・ウィリアムス・グループと名コンボを渡り歩いたマルグリュー・ミラーなんだけど、個人的にそれほど興味無かったせいか、当時は中古盤で買っては売り買っては売りを繰り返すアーチストだった。だけど今聴くとマッコイ・タイナーのスケールのダイナミックさとオスカー・ピーターソンのスウィング感を兼ね備えたようなスケール大きさがかっこよく感じたりする。マルグリュー・ミラーってば、80年代から90年代にかけては雑誌などで話題に登ることも多かった。ファーストの「Keys to the City」(Landmark/1985)は昔よく話題になっていたのを覚えている。で、本作はLandmarkからNovusに移った第一弾。これがなんとも素晴らしい。とにかくよく練られたアルバムで、アレンジがかっこよく、どの曲も非常に凝っている。メンバーがこれまたあの時代(90年代)のジャズ雑誌でよく見かけた名前ばかりだ(笑)。

McCoy Tyner / Bon Voyage (timeless/1987)

McCoy Tyner(p) Avery Sharpe(b) Louis Hayes(ds)
4曲目「You Stepped Out of a Dream」のシーツ・オブ・サウンドっていう感じの凄まじいものが最もマッコイらしいと思うしこれはこれで最高なのだが、ここは10分に及ぶ1曲目「Bon Voyage」の爽快な音に軍配を上げたい。マッコイの作った曲の中でもかっこよさはトップクラス。文字通り"Bon Voyage"といった旅気分な曲。ここだけベースがエレベになります。それにしてもマッコイのジェットコースターのようなピアノはこの時代(80年代後半)になっても全く衰えないんだから凄い。

Rein de Graaff Quintet / New York Jazz (Timeless Muse/1979)

Rein De Graaff(p) Ronnie Cuber(bs) Tom Harrell(flugelhorn,tp) Sam Jones (b)Louis Hayes(ds)

ロニー・キューバーが凄い。まるでアルトを吹くようなフットワークでバリトン・サックスをバリバリと吹き捲くる。ロニー・キューバーという人はスタジオ・ミュージシャン的印象が強いのだが、なんだか究極の職人芸でも見るような感じ。とにかく圧倒されます。主役のレイン・デ・グラーフはときおりモンク的なピアノスタイルを見せる他は特にクセの無い流麗なバッパーという感じで、これまたどこかスタジオ・ミュージシャン的だったりするんだけど、このピアノがアルバム全体の端正な印象を決定づけています。トム・ハレルはくぐもったような音色で、一音たりともハズさないようなクラシカルな演奏でありながらもロニー・キューバーに乗せられるかのようにエキサイト。アルバムとしては1979年っぽいというか、フュージョン~クロスオーバー時代のアコースティックはバップメソッドをひたすら磨き上げて洗練させていかざるを得なかったというような必然性みたいなものを感じてしまいます。ちょうどこのすぐ後くらいに例の新伝承派が表舞台に出て来るのが興味深いところ。

Elmo Hope Trio (Hifijazz contemporary/1959)

Elmo Hope(p) Jimmy Bond(b) Frank Butler(ds)

Hifijazzレーベルから出たあとにContemporaryレーベルから出たもので、ジャケが2種類ある。Contemporaryらしからぬ責めの姿勢の見えるアルバム。ときおりジャッキー・バイアード的なかっ飛び方をするけど基本はパウエル。しかしバラードではパウエルより装飾音が多い。エルモ・ホープのアルバムの中ではリズムセクションが最も弱い部類に入るかと思うが、エルモ・ホープの創造性がその弱点をカバーする。エルモ・ホープは常にいろんな可能性を探りながら弾いているようだ。また、エルモ・ホープの作る曲はパウエル的というかビバップ的で、そこもまたかっこいい。

Dave Brubeck Quartet / Time Further Out (columbia/1961)

Dave Brubeck(p) Paul Desmond (as) Eugene Wright(b) Joe Morello(ds)

デイヴ・ブルーベック・カルテットを聴く楽しみは、ポール・デズモンドのまろやかなアルトでなくブルーベックの力強いタッチのピアノの方にあるとずっと思っている。とにかくブルーベックのピアノはハキハキと力強いし、音が横に流れるのはなくタテに鋭く切り込む。まるで打楽器のようにゴンゴンと叩きまくることもしばしば。なのに優雅さだけはしっかりと残るんだから何だか不思議だ。また、デイヴ・ブルーベック・カルテットというのはアルバムごとの出来不出来というものの差が無いので、どれを聴いてもそれなりに楽しめるのがいい。というわけでこのアルバムだけど、この1961年にはデイヴ・ブルーベック・カルテットは5枚もアルバムを出してるし、その前年の1960年にも5枚アルバムを出している。ちなみにあの「Time Out」は1959年。ということで、沢山のアルバムの中に埋もれてはいるものの、内容はやはり凄い。冒頭のワルツからして、なにやらリズムがサクサクと気持ちよく、このグループ独特のグルーブ感がよく出ている。「Time Out」からの伝統で、例のごとく5拍子の曲もある(B-1)。この曲はジョー・モレロのドラムが凄い。

Thelonious Monk / 5 by Monk by 5 (riverside/1959)

Thelonious Monk(p) Thad Jones(cor) Sam Jones(b) Charlie Rouse(ts) Art Taylor(ds)

モンクのアルバムの中でも音の響きが圧倒的にかっこいいアルバム。演奏内容ももちろんいい。というか、かなりズバ抜けてる。モンク作品の中でも最も気に入ってるもののうちのひとつ。ベイシー楽団のサド・ジョーンズがいるからなのか、あるいはアート・テイラーのシンバルのせいなのか、いつもの音のブツ切り感がなくてスウィンギーだ。のちにモンク・コンボのレギュラーメンバーとなる(そしてジャズファンからはこのサックスさえいなければと陰口を叩かれるようになる)チャーリー・ラウズも、このアルバムではスウィング感が凄い。冒頭の「Jackie-Ing」がこのアルバムのすべてというほど凄いのだが、途中からピアノレスになっていく「I Mean You」などもスリリング。にしてもこの音の響きはなんだろう。レーベルに関係なく50年代末あたりの録音によく見かけるけど、この響きだけでじゅうぶん満足出来る。

Oscar Peterson & Count Basie / Satch And Josh (pablo/1974)

Count Basie(p, org) Oscar Peterson(p) Freddie Green(g) Ray Brown(b) Louis Bellson(ds)

オスカー・ピーターソンンとカウント・ベイシーの共演ということだが、僕はその裏から地味に聴こえてくるフレディ・グリーンに注目する。ベイシー楽団でのフレディ・グリーンは本当に最高だけど、スモールコンボでのフレディ・グリーンもまた最高。単にコードでリズムを刻むだけなのになんでこんなに魅力的なのか不思議。ところでこのアルバム、オスカー・ピーターソンのわりには比較的おとなしいけど、そこはやはりベイシーのスタイルに合わせたのだろう。ベイシーとピーターソンの共演はライブ版のビデオもあって、かつての自分のヒーローだったベイシーと共演する嬉しさ溢れるピーターソンの姿が見れる。このアルバムはスタジオ録音だけど、ベイシーに気を使うピーターソンがよく分かる。

Art Tatum / Trio Days (1944)

Art Tatum(p) Tiny Grimes(g) Slam Stewart(b)

実家に帰るとアート・テイタムのソロ・アルバムを流してることが多いんだけど、つまりは僕にとってテイタムはBGM的に聴くものであって、普段から精神を集中して聴くものではない。がしかし、中には思わず集中してしまうものがあるわけで(当然だが)、特にタイニー・グライムス入りのこのトリオ作品などは、テイタムのソロに見られる異次元の超然としたパーフェクトマシーンから人間界へと降りて来たような親近感があり、思わず聴き入ってしまう。タイニー・グライムスのギターも味があって素晴らしい。 

McCoy Tyner / Live At Newport (Impulse/1963)

Clark Terry (tp) Charlie Mariano (as) McCoy Tyner (p) Bob Cranshaw (b) Mickey Roker (ds)

マッコイにしてはかなり珍しいメンバーでのセッション。クラーク・テリーにしてももチャーリー・マリアーノにしても、このアルバムでしか共演してない気がするけど、他にもあるのかな?ミッキー・ロッカーも珍しい。で、ニューポートでのライブということだけど、時期が時期だけにマッコイのピアノも豪快にスウィングしており、フロントを圧倒。バラードもリリカルに決めまくり格の違いを見せつける。トリオだけの2曲は爽やかな演奏。インパルス時代のマッコイのリーダー作はどれもさりげない軽さがあっていいですね。 

Billy Taylor / One For Fun (atlantic/1959)

Billy Taylor(p) Earl May(b) Kenny Dennis(ds)

陰りのない陽性の音のせいかややモダン・スウィング的雰囲気もあるものの、やはりバップそのもの、というのがビリー・テイラー。ジュークボックス的なまとまりがあってスリーサウンズっぽくもあるけど、タッチにもフレーズにも黒さがあまりないので、ちょうどジーン・ハリスからゴスペル臭を抜いたような感じ。音の輪郭がハッキリしているせいかコード音がやけに心地よい。アクの強いものを聴いたあとにこれを聴くとスッキリする。

Jaki Byard / The Jaki Byard Experience (prestige/1968)

Jaki Byard(p) Roland Kirk(ts, manzello, cl, etc) Richard Davis(b) Alan Dawson(ds)

音楽の生命力とでもいったようなものを感じる怪作。たぶんフリージャズファンも満足するであろう1枚。ジャッキー・バイアードという人は不思議なピアニストで、バップを基盤としながらもあらゆるスタイルをごちゃ混ぜにした、都会的なのか田舎臭いのかよくわからないピアノを弾く(ソロアルバムなどによく現れている)。ちなみにベースのAlan Dawsonはこの年にデイブ・ブルーベック・カルテットに参加することになる。ブルーベック・カルテットのベースとジャッキー・バイアードというのが何とも不思議な組み合わせなんだが、実はブルーベックとジャッキー・バイアードはそれほど離れていないようにも思った。 

Billy Childs / Rebirth (Mack Avenue/2017)

Billy Childs(p) Steve Wilson(as, ss) Hans Glawischnig(b) Eric Harland(ds) Claudia Acuna(vo) Alicia Olatuja (vo) Ido Meshulam(tb) Rogerio Boccato(per)

1991年の「His April Touch」というアルバムが昔から大好きなもんで、ビリー・チャイルズはどこか特別なピアニストだったりする。「His April Touch」というアルバムは半分フュージョンということもあってか(あるいはWindham Hill Jazzレーベルということもあってか)当時からCDショップでは400円以下盤的な扱いだったのが今でも不思議だ。自分的には大名盤なのだが。というわけで、これはそのビリー・チャイルズの最新作。ここでも女性ボーカルが入る曲(2曲だけだが)もあったりして、硬派なジャズファンからは敬遠されそうだけど、切れ味が鋭く軽快なビリー・チャイルズは健在で、スイング感も気持ちいい。サックスのスティーヴ・ウィルソンは80年代後半から90年代にかけてcriss crossからいいアルバムを立て続けに出してたし(それら全部好き)、90年代半ばにはデイブ・ホランドのグループに加入してECMから名作を連発してたので、これまたお気に入りだったのだ。 

Dave Brubeck / Indian Summer (TELAC/2007)

Dave Brubeck (p)

デイブ・ブルーベック、86歳のときのピアノソロ。ラウンジ・テイスト溢れる静かなソロ。この年齢なので当然のことながらかつての暴力的なまでの鋭いタッチは無い。が、衰えてるような感じも一切無い。TELACでのブルーベックはだいたい静か。50年代のソロは全然違った鋭さみたいなものがあったので、TELAC時代はブルーベックのもうひとつの新たなスタイルみたいなものか。昔のジェットストリームなんかで流れてもおかしくない感じ。 

Freddie Redd Quartet / The Music from The Connection (blue note/1960)

Freddie Redd(p) Jackie McLean(as) Michael Mattos(b) Larry Ritchie(ds)

昔から比較的人気の高いアルバムだと思うけど、その理由はジャッキー・マクリーンの爽快な演奏に依るものだろう。そして曲目がジャズのスタンダードではなくてすべてフレディ・レッドのオリジナルというのも大きい。締まりの無いようなフレディ・レッドのピアノはどこかパウエルの締まりの無さを彷彿とさせるようで、これはこれでアリ。マクリーンのワンホーンを堪能出来る作品。

Thelonious Monk / Thelonious Monk Trio(Prestige/1952-1954)

Thelonious Monk(p) Percy Heath (b)��Art Blakey (ds) Gerry Mapp(b) Max Roach(ds) 

名盤。セロニアス・モンクの即興というのはコード進行に合わせて曲芸を披露するといったようなものではなく、コード進行の中でその場その場で瞬間的によりよいメロディを見つけていく作業に他ならない。ひとつひとつ丹念にメロディを探っていくスリリングな面白さは他のアーチストではなかなか味わえないもの。このアルバムはその現場をドキュメントで見ているかのような面白さがある。

Erroll Garner / Night Concert (Mack Avenue Records/1964)

Erroll Garner(p) Eddie Calhoun(p) Kelly Martin(p)

ライブでのエロール・ガーナーのスウィング感というのは格別で、もはやスウィングだのバップだのというのは気にならなくなってしまう。有名なライブ盤「コンサート・バイ・ザ・シー」もエロール・ガーナーの独特なグルーブ感に圧倒されるけど、こちらのライブもまた凄い。1964年という、ジャズにとっては最も複雑な時期(ハードバップからモードジャズへ、そしてフリージャズも全盛期で、ジャズロックも出てきて、ブーガルーもソウルジャズもサードストリームも・・・という時期)に、堂々とオールドスタイルで圧倒するエロール・ガーナーがやたらとカッコイイ。

Horace Silver / Blowin' the Blues Away (blue note/1959)

Horace Silver(p) Blue Mitchell(tp) Junior Cook(ts) Gene Taylor(b) Louis Hayes(ds)

1曲目の「Blowin' the Blues Away」の終りの一音の残響音に、アルフレッド・ライオンの作り出す音の秘密の一端を垣間見ることが出来る。ブルーノート・レーベルがいつまで経っても古くならず、しかもずっと支持され続けている理由は、演奏内容だけでなくこの音作りも大きい。このホレス・シルヴァーの有名作はブルーノートの代表的な一枚ともいえるもので、演奏の熱気も凄いが音そのものの存在感も凄い。ホレス・シルヴァーの低音の強いピアノのスウィング感は他の誰とも似ていないものだが、これがブルーノートのあの音で録音されてるから余計に凄みを感じる気がしないでもない。1曲目の圧倒的な疾走感はこの音だからこそ何割り増しかで良く聴こえているのかも。バド・パウエルのアルバムだってヴァーブでの音よりブルーノートでの音のほうが一音の重みや存在感が凄いわけで。とにかく全盛期のホレス・シルヴァーのリーダー作のほとんどがブルーノートから出てるのは幸運だったと思うし、ジャズファンにとっては嬉しいことだ。このアルバムはアルフレッド・ライオンの存在感まで強く感じる。

Harold Mabern / The Leading Man (DIW/1993)

Harold Mabern(p) Ron Carter(b) Jack DeJohnette(ds) Bill Mobley(tp) Bill Easley(as) Kevin Eubanks(g) Pamela Baskin-Watson(vo)
ハロルド・メイバーンが亡くなったので昔のアルバムをいくつか聴いていたのだが、この時代のDIWのアルバムの音は本当に懐かしい。80年代末から90年代にかけてハロルド・メイバーンもDIWから何枚かアルバムを出してて、当時ディスクユニオンでよく見かけたものだ。90年代のある時期はほとんど毎日のようにディスクユニオン新宿ジャズフロア(ジャズ館が出来てからはジャズ館)に通っていたので、このアルバムなんて聴いた瞬間に何故だかあの頃のディスクユニオンが元気だった時代を思い出してしまった。今や新宿ジャズ館が無くなり、ただのジャズフロアへと移ってすっかり寂しい感じになってしまったが、ディスクユニオンがDIWレーベルで攻撃を仕掛けていたあの時代はなんとも面白かったなあ。DIWではロフトジャズなんかも多かったけど、ハロルド・メイバーンなどのややマイナーだったピアニストのアルバムなどにも焦点を当てて、結構いいものがあったのだ。それはそうと、ハロルド・メイバーンなのだが、ハンク・モブレー「ディッピン」でしか知らないという人も多いのではないか。ブルーノートではジャッキー・マクリーンやリー・モーガン、フレディ・ハバード、ビリー・ミッチェルらのアルバムに参加しているけど、特に目立つプレーヤーでもなかったし。とはいえ、BNでの演奏は素晴らしいものだった。90年代のDIW時代も良かったが、2010年代くらいからのハロルド・メイバーンもかなり素晴らしい。ところで3曲目でウェス・モンゴメリーの曲をやってるけど、かつてはウェスのアルバムにも参加していたし、頻繁に共演していて、映像にも残っている。ひょっとしてハロルド・メイバーンの一般的なイメージはウェスの映像での姿なのかもしれない。そんなわけで、このアルバムは最高のリズムセクションと元気なホーンを携え、録音も凄くよくて、90年代ジャズのエネルギーを感じる。90年代はCDショップも中古盤屋もジャズ雑誌も、とにかくジャズ界は元気があったけど、このアルバムはそんな状況の真っ只中になんとなく普通に出てきたもので、これが今聴くと妙な懐かしさを覚えると同時に音楽的な質も高かったんだなあと感じてしまう。

Joanne Brackeen / Breath of Brazil (Concord Picante / 1991)

Joanne Brackeen(p) Eddie Gomez(b) Duduka da Fonseca(ds) Waltinho Anastacio(per)
コンコードのラテン部門Concord Picanteから出たジョアン・ブラッキーンのアルバム。かつてはジャズ・メッセンジャーズにも在籍していたジョアン・ブラッキーン。コンコードからは5枚のアルバムを出していて、そのうちの2枚がコンコード・ピカンテからのラテン風味のアルバム。で、これがそのうちの1枚。とにかく本当に心地よいアルバムで、ふと頭に浮かんだのはミッシェル・ペトルチアーニの「Eatate」(1982)。モダンジャズの緊迫感もありつつ、ブラジル音楽的なリラックス感が素晴らしい。とはいえ、ベースだけはリラックスしていないというか、エディ・ゴメス凄すぎ。なんか変なものでも食ったのではなかろうかという暴れ方。とにかくベースソロが物凄い。ベース好きは必聴。


(文:信田照幸)



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