Rockpart3)


Basia / Time And Tide (1987)

大学1年のときだったか2年のときだったか。これはウォークマンで死ぬほどよく聴いた。バーシアのファースト。当時マットビアンコのセカンドアルバム「Matt Bianco」が大好きで、その流れで聴いたもの(マットビアンコのファーストアルバムにはバーシアがボーカルとして参加していた)。今ではスムースジャズに分類されるようだが、当時は普通にロックとして分類されてたし、AORのつもりで聴いていたもんだ(どっちでもいいけど)。当時、渋谷にクラブ・クアトロがオープンして、その一番初めの出演アーチストがこのバーシアだった。そのライブ、僕も行ったけど、かなり良かった記憶が。ピーター・ホワイトのガットギターだけをバックに歌った「From Now On」とか凄いよかったな。

80年代後半ってのは何だか変な時代で、音楽に関していえば、退屈することなんて全然無かったというか、つぎからつぎへと新しい刺激がやってきては去っていくというか。あの時代の渦に巻き込まれていた最中は何が何だかよく分からなかったし、今だって何だったのかよく分からない。その何だか分からないドサクサにまぎれてマットビアンコとバーシアがスルリと自分の中に入ってきた。

だいたいマットビアンコやバーシアのようなものはそれまでだったら絶対に聴かないタイプの音楽だったのだ。それらの源流となるブルー・ロンド・ア・ラ・タークのようなファンカ・ラティーナなど、昔だったらまず聴く気が起きなかったジャンル。渋谷陽一なんぞは当時ファンカ・ラティーナをニセモノとして斬って捨ててたもんだ(ラジオで、キッド・クレオールとの比較でその話が出たことがあった)。でも、当時の僕にはそのブルー・ロンド・ア・ラ・タークが滅茶苦茶かっこよく聴こえちゃったわけで、マットビアンコもバーシアも何故か当時の生活感にピッタリだった。ブルー・ロンド・ア・ラ・タークやマットビアンコのバカっぽくてトロピカルなニセモノ感こそ当時の生活の感触だ。ちなみに当時本格的なトロピカルってことでサルサのウィリー・コロンのアルバムなんかを買ってみたが全然合わなかった。

バーシアは、ブルー・ロンド・ア・ラ・タークやマットビアンコほどバカっぽくはなく、ファンカラティーナの持つキューバ寄りのラテン気質をブラジル寄りにチェンジして、うまい具合にボサノバを混ぜながら安っぽいオシャレ感覚を醸し出してた。この感触は当時本当に自然に何の違和感もなく自分の中に入ってきたもんだ。そういえば洋楽とフュージョンしか流さないFMラジオ局のJ-WAVEが開局したのもこの時代だった。バーシアの音楽はなんとなくあの初期J-WAVEっぽい雰囲気もある(J-WAVEでバーシアが流れたかどうかは覚えていない)。

バーシアは結局このファースト1枚しかハマらなかった。セカンドアルバム「London Warsaw New York」(1990年)も買ったけど、さっぱり合わなかった。その頃はもうジャズやソウルばかり聴いてた。今思えば、バーシアやマット・ビアンコにハマってた時期を境に、徐々にリアルタイムのロックに興味を失っていったように思う。リアルタイムで最後にハマったロックは何だったかなあ・・・。


The Doobie Brothers / Cycles (1989)


これが出たときは本当にうれしかった。この当時、僕は何故かウェストコースト・ロックな気分だったので、70年代のイーグルスやドゥービー、ロギンス&メッシーナ、リンダ・ロンシュタットといった西海岸の大御所ばかり聴いてたんだが(マニアックなところまでには手が回ってなかった)、80年代後半にはイーグルスもドゥービーもすでにいなかったわけで、なんとなく終わった音楽を後追いで聴いてる感みたいなものがあったのだ。そんなところに突然ドゥービーの復活、しかもトム・ジョンストンで!おまけにAORじゃなくて初期の音!

で、なんで当時ウェストコースト系にはまってたのかってば、単にそんな浮かれた時代だったし浮かれた気分だったからなのかなあと思ってるんだが、正直よく分からない。だいたい、そんな気分をさらに盛り上げるアイテムもそろってたのだ。特にラジオ。

80年代末に始まったJ-WAVE。最初(試験放送も含め)はDJ(ナビゲーター)はほとんど英語で、しかもCMなども英語が多く、トークは少なめ。日本版FENみたいな感じだったのだ。FENの雰囲気が好きで(ウルフマンジャックもたまに聞いてた)よく聞いてた自分としては、日本版FENがなんとも嬉しく、J-WAVE専用ラジオ(J-WAVEしか入らないラジオというのが売ってたのだ)なんかも買ったりしてたほどハマり込んだわけで。だいたい、かける音楽は洋楽のみってのがよかった。洋楽ポップスの他にフュージョンも多かったし。当時はほんとにこのJ-WAVEばかり聞いてたんだけど(おかげで当時はテレビとかあまり見なかった)、土曜日の午前中に「エージェイアイ(AJI)マジックシティ・スーパーQステーション」という番組をやってて、これがすごかった。アメリカ西海岸とハワイの音楽しかかけない。しかもカリフォルニアとハワイからの電話中継(もちろん英語)なんかもあったりして、気分は完全にウェストコースト。この番組でよく流れるのがビーチボーイズとイーグルスで、僕なんぞはこれで完全にやられてしまった。

また、当時たまたま行った蓼科の山小屋みたいなペンションで朝食のときに流れてたリンダ・ロンシュタット、これもデカい。アルバム「Heart Like A Wheel」が流れてたんだが、このカントリーロックがあまりにも気持ちよく、その後このアルバムのバックメンバーだったイーグルスなんかもちゃんと聴くようになった(それまでイーグルスとか全く興味無かったのだ)。

そんなこんなでウエストコースト系にハマっていくこととなる。で、それまで聞いてたイギリス寄りの音楽から突然アメリカ西海岸へと趣味が変わる。情緒的でジメジメしたものが苦手となり、カラリとしたものばかり聴くようになった。結局70年代前半のアメリカ西海岸に興味が集中するようになる。

そんなさなかの突然のドゥービーの復活作。タイミング良すぎ。シングルの「The Doctor」なんかもヒットして、超盛り上がった。僕のドゥービー体験は小学6年のときに聞いてたラジオ「夜はともだち」の中のあるコーナーでテーマ曲として流れてた「ロング・トレイン・ランニン」に始まるので、やっぱりドゥービーってばトム・ジョンストン(マイケル・マクドナルド時代はなんか別グループのように思えて仕方無かった)。なので、この「The Doctor」のあまりのトム・ジョンストンぶりにテンション上がったのだ。アルバムを通して聴いてみても、いかにもトム・ジョンストンな感じのドゥービー。言う事なしではないか。で、このアルバム、70年代のドゥービーの名作群にも引けをとらない。なんてことは実はどうでもよくて、あの時代にこの音が出て来たってのが良かったのだ。80年代後半の、なんだか妙に浮き立つような雰囲気の時代。僕も大学生だったし、見るもの聞くものが新鮮に思えた時代だったわけで、そんな時代のBGMとしてはあまりにハマりすぎた。

結局、「気分」を聞いてたんじゃないかなあと思うのだ。なんてこと言うとまるでムード音楽みたいだが(笑)。でも正直言うと、音楽の内容うんぬん以前に、その音楽のもつ雰囲気や気分が気に入ってなんとなく流してるってこともあるもんだ。こういう感覚、あまり分かってもらえないかもしれないけど、僕は昔からそういう聴き方をすることもある。中学生の頃からたまに聴いてたラジオ「ジェットストリーム」のせいなんだろうか。 


Todd Rundgren / Hermit of Mink Hollow (1978)

大学生のときにトッド・ラングレンのライブを見に行ったことがある(1988年)。このときはトッド・ラングレンのソロとしては初来日ってことで(ユートピアとしては70年代に来日したことがあったらしい)、それなりに盛り上がったもんだが、盛り上がったといっても当時はトッド・ラングレンの日本盤アルバムはすべて廃盤という時期。なので一部のトッドファンの間だけで盛り上がってたんだろうか。渋谷のタワレコなどではトッドのコーナーとか作って、来日を盛り上げてたものだが。みんな輸入盤と中古盤をあちこちで探して聴いてたのだ。

そのときの来日公演は完全にひとりきりのステージで、ピアノやキーボードを弾いたり、あるいは前もって作ってあった音源をカラオケのように使ってみたり、という感じ。ステージ上に大きなスクリーンがあって、音の変化とともに色と模様が変化していくという、ちょっとサイケな演出もあったりした。かなり面白いライブだったので、今でもよく覚えている。

で、トッド・ラングレンといえばやはり72年の「Something / Anything」や73年の「Todd」ってことになるけど、何故か僕はこの「Hermit of Mink Hollow」(1978年)を懐かしく思い出す。トッドを聴いてた当時は特になんとも思ってなかったような、トッドの普通のアルバムみたいな存在だったのだが、どういうわけか今はトッドといえばこれ。「I Saw The Light」や「A Dream Goes On Foever」のような有名曲こそないものの(「Can We Still Be Friends」は結構有名か)、なんかいいのだ、としか言い様がない。あ、ファーストの「Runt」もいいな。

ところで僕がトッド・ラングレンに興味を持ったきっかけは、チープトリックの「Next Position Please」(1983年)だった。これはトッド・ラングレンのプロデュースで、トッド作の「Heaven's Falling」という曲も入っている。で、この「Heaven's Falling」がとにかく大好きだったのだ。この曲ばかり馬鹿みたいに毎日何回も聴いてたくらいにお気に入りだった。なんでそんなに気に入ったのかよく分かんないんだけど、ウエストコースト的な開放感が何故か心地よかった(その後の僕のウエストコースト・マイブームはここから来てるようだ)。この曲だけでなく、この「Next Position Please」というアルバムの音の感触も相当気に入ってたのだ。そんなわけでこのアルバムをプロデュースし、しかも「Heaven's Falling」という曲を作ったトッド・ラングレンはナニモノかと思い、輸入盤などを買ってみたりすることとなる。そしてトッド・ラングレンの面白さにもハマっていったという次第。

そういうわけで、この「Hermit of Mink Hollow」。1曲目「All the Children Sing」の何ともいえないような軽さと、妙なハーモニー感覚。結構トッドの音を象徴してるように思うのだが。


Judas Priest / Stained Class (1978)

ふとした拍子に昔聴いた音楽の部分的なフレーズが頭に浮かぶことがある。しかもそれが一体どの曲のどこの部分なのかが分からないこともある。ギターソロの部分だったり、ただの間奏部分だったり。長い年月に渡って、そんな断片的なフレーズが頭に浮かんでは、これは一体どの曲だったかなあ?と考えてみるということを繰り返し、結局何だったか分からないままあきらめるのだ。そして謎は謎のまま放っておかれる。

そのうちのひとつで、ツイン・ギターのフレーズでずっと謎だったものがあったのだ。何故かたまに頭に浮かぶフレーズで、妙に気になるんだけど、それが一体何の曲なのか分からない。どうやらハードロックっぽいのだが、まるで見当がつかない。その雰囲気からシン・リジーっぽくもあるし、音の感触からしてUFOっぽくもある。ハーモニーの感触からは初期ホワイトスネイクっぽくもあるし、メロディラインのポップさからはスコーピオンズっぽくもある。ナザレスとかガールとかサクソンとかいろんなグループを思い出すのだが、ひょっとしたらハードロックではなくて、デヴィッド・ボウイとかロキシーミュージックとかだったのかなあとか、ブライアン・イーノのソロのどれかなのかなあとか、テレビジョンとかニューヨークドールズとかそっち系かなあとか、いろいろ考えるんだけど、よく分からないし、そんな断片的フレーズなんて調べようがないのだ。で、やっぱり放っておかれる。

あるとき、このHPにジューダスの「復讐の叫び」のことでも書こうと思って、「復讐の叫び」をひさびさに聴いてたのだ。これがなんか懐かしくて面白かったので、ついでに当時持ってたジューダスの他のアルバムもいくつか聴いてみた。で、「ステンド・クラス」の1曲目「エキサイター」をぼーっと聴いてたとき、ついに出てきた!ずっと謎だったあのフレーズ。たまに頭に浮かんでは、一体誰の何の曲の断片だったか全く思い出せなかったフレーズ。「エキサイター」の間奏部分だったのだ(3分37秒あたりからのツインリード・ギター)。で、これを知ったとたんに、ジューダスだったのかあ・・・という脱力感というかなんというか、何ともいえない気分になったわけで(笑)。願わくばもうちょっとかっこいいグループであって欲しかったなあ。まあ、ジューダスでもいいんだけど。にしてもこの間奏部分は曲とは全く関係無さそうな、まるで取って付けたような感じだな。

で、この「ステンド・クラス」は中学のときにカセットテープで聴いていた。友達にダビングしてもらったのか、貸しレコード屋で借りたのか、全く覚えてないけど、結構よく聴いてたのかもしれない。「エキサイター」はやっぱ好きだったな(笑)。ライブ盤「イン・ジ・イースト」のほうの「エキサイター」を先に聴いてたので、このスタジオ録音の「エキサイター」を最初聴いたときにはロブ・ハルフォードの「エキサイィィタ~ァァァァ!」というねばりのあるボーカルにちょっと驚いた。すげえなこれは、と(笑)。でも結局長年に渡って僕の頭の中に残ったのはツインギターの間奏部分だったんだが・・・。

ああ、そういえばこのコーナーにジューダスが登場するのは2度目か。なんかまるで僕がジューダス大好きみたいな感じに見えるかもしれないけど、実を言えばそれほど熱心にジューダスを聴いてたわけでもない。82年の「復讐の叫び」と76年の「運命の翼」、79年の「イン・ジ・イースト」、そしてこの「ステンドクラス」あたりはよく聴いたものの、他のは全く知らないか、あるいはほんの少し聴いたことあるっていう程度だ。中学時代の自分の中でのジューダスの重要度はそれほどでもなかった。でも、何故か強烈に印象に残ってることだけは確かなようだ。昔より今のほうがジューダスを好きなのかもしれないなあ(←やばいじゃないか)。


The Doobie Brothers / The Captain and Me (1973)

小学生の頃からラジオが好きで、特に夜なんかはいつも勉強するふりをしてラジオを聞いていた。好きな番組はラジカセでエアチェックしながら、TBSラジオ、ニッポン放送、文化放送、FM東京、NKH-FM、などをチェックしまくってたのだ。そんな中、僕が中1の冬頃に始まったビートたけしのオールナイトニッポンはなんだか毎回物凄かった。夜中に頭が痛くなるほど爆笑してた(僕は笑い上戸だったのでほんとに笑い死にそうになったもんだ。村田先生デカ頭コーナーとか、ポール牧コーナーとか、若人あきらコーナーとか、ガッツのコーナーとか、ほんとに凄かったな)。あとちょうど同じ頃に始まった所ジョージの「足掛け2日大進撃」も凄かったなあ。

で、同じく僕が中1の頃、「まだ宵の口」というニッポン放送のラジオ番組があって、その中の「ランナウェイ・サウンドレポート」というコーナーのテーマ曲がドゥービーブラザーズのロング・トレイン・ランニンだったのだ。ランナウェイというのはシャネルズのことじゃなくてパイオニアの名ラジカセ「ランナウェイ」のこと。生録したカセットテープを投稿するような番組で、僕はいつも聞いてたのだ。で、なんでそんなもん聞いてたかというと、このテーマ曲が好きだったから。これを聞きたいがためにいつもこのコーナーを楽しみにしてた。そのうちにこの曲がドゥービーのロング・トレイン・ランニンだということを知り、LPを買ったのだ。ちなみにこの番組をエアチェックしたカセットテープが今でも残っている(笑)。

で、ロングトレイン・ランニンのために買ったこの「キャプテン・アンド・ミー」なんだけど、これを一番よく聴き込んだのは中学のときというよりもむしろ大学生になってからかもしれない。大学生のときに何故かウエストコーストのマイブームがあって、そのときにイーグルスなどとともにこれも聴きまくった。この時期のドゥービーのは一般的なウエストコースト・サウンドよりも黒いのが特徴で、ベースのノリが圧倒的だし、パーカッションの気持ち良さも他のウエストコースト系グループにはあまりないようなものだ。中学生のときにはさっぱり面白く感じなかったアコースティカルで静かな曲も、大学生の頃には良さが分かるようになった(中学のときはノリのいい曲しか面白さが分からなかった)。だいたいこのアルバムは捨て曲が無い。全部いい。

そんなわけで「キャプテン・アンド・ミー」は圧倒的に好きなのだが、トム・ジョンストンとマイケル・マクドナルドの両方が入ってる77年の「運命の掟」(Livin' on the Fault Line)やマイケル・マクドナルド時代の名作AOR「ミニット・バイ・ミニット」なんかも相当気に入っている。また、イーグルスのようなカントリーロック的爽やかさのあるファーストアルバム(「ドゥービー・ブラザーズ」71年)も捨てがたい。 




SCORPIONS / Blackout (1982)

発売してすぐに買ったレコード。スコーピオンズの「蠍魔宮」。このときは盛り上がったなあ。「ブラックアウト」「ナウ」「ダイナマイト」と何やら凄い曲がそろってたし、「アリゾナ」とかアメリカンな曲もあったりして、中学のときに買ったリアルタイムのロックのレコードの中でもかなり印象深い。当時聞いてたラジオ「ロキュペーション」や「ロックトゥデイ」などでも流れてたし、ミュージックライフでは5つ星だった気がする。この頃のスコーピオンズにはもうギターのウルリッヒ・ロートは居なくなってたけど、1曲目のイントロのギターからしていきなりインパクトが凄かった。ウルリッヒ・ロートがいたころの粘っこさみたいなものが無くなり、かなりスッキリした印象。ギターはルドルフ・シェンカーと、あと誰だったかな・・・。

昔はレコードを買うとライナーノーツをじっくりと読んだものだ。それがたとえどんなに馬鹿馬鹿しいライナーであっても全部真に受けて、レコードを聴きながらそれを読むのだ。これが何故かものすごく楽しかった。この「ブラックアウト」のライナーとか今となっては全く覚えてないんだけど、やっぱりステレオで大音量で聴きながらライナーを読んでた記憶だけはちゃんと残ってたりする。僕の書く駄文の大半は、ひょっとするとこの時代に読んだライナーの影響を受けてたりするのではないか・・・(嫌だな)。だいたい、ライナーノーツだけの本とか出ないかなあ、なんてことを思ってたものだ。小説なんて読む気しなかったがライナーだったらどんなにセコいバンドのレコードのものだって読めた。大学生の頃には音楽関係の本ばかり熱心に読むようになったけど、それも中学のときにライナーを熱心に読んでたことの延長みたいなもんだったのだと思う。今じゃライナーなんてほぼ全く読まないし(データしか見ない)、音楽本だって読まなくなってしまったが。

そういえば思い出したけど、高校生のときに、クラスのとある女子がスコーピオンズのライブのチケットが一枚余ってるから誰かスコーピオンズファンはいないかって話を友人のY田君にしてたことがあった。中学のときにスコーピオンズのファンだったという黒歴史をひたすら隠し通していた僕はY田君の横で脂汗を流して気配を消すことに必死だったわけだが、もしウルリッヒ・ロートも来るってことだったらそのとき僕は思わず隠れスコーピオンズファンであることをカミングアウトしていたかもしれない・・・。「ブラックアウト」がどんなに凄かろうが、やっぱりウルリッヒ・ロートの存在は大きかった。ちなみに2000年代にスコーピオンズとウルリッヒ・ロートは共演しているらしい。

去年だったかその前の年だったか、スコーピオンズが解散宣言したっていうニュースがあったけど、あれどうなったんだろう。ラストツアーの後に解散ってことだったようだが、やっぱ解散しちゃったのかな。さすがにもう皆おじいさんだろうから、解散も当然かもしれないけど、昔からハードロックグループってのは解散してもすぐに復活したりするからなあ・・・。個人的に80年代にディープパープルが復活したときには正直あーあって思ったもんだが(笑)、スコーピオンズだったら何度再結成したっていい気がする。今度はウルリッヒ・ロートも入れて再結成ということでお願いしたい。


Bobby Caldwell / Carry On (1982)

ボビー・コールドウェルってばファーストの「What You Won't Do for Love (1978)」が最高傑作のような気もするけど、僕はこちらのサードアルバム「Carry On」に愛着がある。これを最初に聴いたせいかもしれない。とにかく名曲揃い。いろいろ詰め込んだ感のあるファーストとは違って、音の隙間も多く、B面の打ち込みなんかは今となってはちょっと懐かしい感触(当時は打ち込みも違和感が無かったんけどなあ)。でもその余裕がなんだか心地良くて何度でも聴ける。バックはTOTOやタワーオブパワー。

今でも最前線で活躍してるアーチストのことをこんなふうに言うのもなんだが、今から見ると僕にとってのボビー・コールドウェルのイメージってのは80年代的なんであって、その原因はアルバムジャケットのデザインにあるのではないか、なんてことをふと思った。鈴木英人のイラストとかハートカルテルとか、あるいは角川文庫の片岡義男の文庫本の装幀とか、それらダサいんだかおしゃれなんだかよく分からないけどたぶんダサいんじゃないか的な微妙なところのセンスというか。ボビー・コールドウェルのアルバムのイラストジャケットのシリーズはそれら80年代のデザインの微妙さに通じるものがある。昔はジャケットを眺めながら音楽を聴いてたので、音楽の印象もジャケのイメージに引きずられ、結果80年代のあの微妙なセンスのモノたちのうちのひとつとして頭の中でカウントされることになってしまった。

そういえばたしか80年代のJTのCMのいくつかでボビー・コールドウェルの曲が使われていたことがあった。80年代のJTといえばジャズに結構力を入れてて、雑誌「ぴあ」では毎号JTの広告で「私の好きなジャズアルバム」みたいな特集をやってたことがある。毎回誰かが自分の好きなジャズについて語っているもので、うちにそれの切り抜きがまだ残っている(菊池武雄の回。ポール・チェンバースの「Bass On Top」を選んでた)。また当時JTはジャズ本も何冊か出していた。「名演!」のシリーズ。僕はそのシリーズ全部を持っていて結構よく読んでたもんだ。そして80年代のJTのCMはジャズを使うことが多かった気がする。JTは会社を売り出すためにジャズの雰囲気を戦略的に使ってたんだろうが、そんなJTがボビー・コールドウェルに目をつけるっていうのがなんか面白い。たしかにボビー・コールドウェルにはなにやらアダルトでアーバンな(←80年代的な言い方だとアーベイン。笑)雰囲気があるかもしれない。でも、どこかにチープな要素があるというか、本格的になることをあえて避けるというか、そんな感じもある気がするのだが。やっぱあのジャケットのイラストのせいなのかな。

ところで、ボビー・コールドウェルは90年代からジャズヴォーカルなんかもやるようになったようだ。実はそれらのアルバムを聴いたことがない。でもイエロージャケッツやジャズクルセイダーズといったフュージョングループのアルバムなんかにゲスト出演することなどもあったので(それらは持ってる)、ジャズ系でもぜんぜん行けそうだとは思うが。トータルでのボビー・コールドウェルは一体どんなふうにファンの目に映ってるのかよく分からないんだが、90年くらいまでのものしか知らない僕にとってはやっぱりボビー・コールドウェルのイメージはこのアルバムの絵のようなものだったりする(ファンには怒られそうだが)。だもんで実家に帰ったときにこっそり「ハートカクテル」を懐かしく読むような感覚で、こっそりボビー・コールドウェルを聴いたりする。


BAD COMPANY / Desolation Angels (1979)

バッド・カンパニーといえばこの5枚目の「ディソレーション・エンジェル」か、3枚目の「ラン・ウィズ・ザ・パック」が好きかな。この「ディソレーション・エンジェル」はキーボードのせいなのか(前作もそうだった)ずいぶんと軽いポップスになってるけど、あるとき突然アメリカンな雰囲気になるブリティッシュロック系グループは当時いろいろあった気がする。そういう流行りだったのか何なのかよく知らないけど、アメリカンになって駄目になっていったグループも結構あったんじゃないのか。

この「ディソレーション・エンジェル」はたしか中2のときにレインボーの「アイ・サレンダー」のつぎくらいに買ったんじゃなかったかな。中2のとき。「アイ・サレンダー」みたいなのが聴きたくて雑誌とかで調べてこれに目を付けて買ってはみたものの、まるで違っててちょっとガッカリした記憶がある(笑)。ギターも弱いし、ボーカルも普通だし、ゆったりしてるし、なんだこりゃ?とか思ってた。たぶん伊藤政則か渋谷陽一の大袈裟な記事にだまされたんだろう。ただ、その後何度も聴いてるうちにすっかり気に入ってしまったわけだが・・・。ちなみにレインボーの「アイ・サレンダー」は、TOTOの曲「グッバイ・エリノア」っぽいのを探してる最中にたまたまラジオで聞いて見つけたものだった。当時は何故か「グッバイ・エリノア」が好きでテープでよく聴いてたんだが、TOTOにハマるってことは無かった。たぶん当時テレビCMで「99」が使われたりしてて、それなりに有名だったからだと思うんだけど(有名なものは何故かダサく感じられた・・・笑)、もったいないことしたもんだ。

で、「ディソレーション・エンジェル」なんだけど、A面ラストの「アーリー・イン・ザ・モーニング」が好きだった。どこかCS&N調というかカントリー調でバドカンっぽくない曲。たぶんアルバムの中でもどうでもいいような曲なんだろうけど、力の抜け具合がなんだかいい感じだ。冒頭の「ロックンロール・ファンタジー」もイイ。なんでシンセなのか!?という疑問はさておき、とりあえずシンプルなロックはかっこいい。「ディソレーション・エンジェル」はあまりバドカンっぽくないアルバムだと思うけど、一番最初に聴いたバドカンだし、フリーよりも先に聴いてるしで、なんだか愛着もあったりする。

そういえば、僕はこのつぎのアルバム「ラフ・ダイアモンド」(1982年)も持ってたので、バッド・カンパニーのアルバムはすべて持ってたつもりでいたんだけど、さっき調べてみたらこの後も(ポール・ロジャースが脱退した後)バドカンは続いていたようで、アルバムなんかも結構出していたらしい。全く知らなかったな。


IRON MAIDEN / The Number of the Beast(魔力の刻印) (1982)

人は14歳の頃によく聴いた音楽が人生で一番心に残る音楽になる、なんていう説があるそうだが、考えてみたら僕が14歳(中学2年)のときってのはハードロックをよく聴いてた時期なわけで、その説の通りだとすると僕の人生で一番心に残る音楽がレインボーだとかブラックサバスだとかスコーピオンズだとかになってしまう恐れがあるわけだが、なんとかならないだろうか?

で、そんな14歳のときに買ったのが「ラスチャイルド」のシングル盤。アイアンメイデンのレコードで最初に買ったのがそれ。死ぬ程よく聴いた(まずいな)。その後「Maiden Japan」というライブ盤(4曲入りの12インチ・シングル。voはポール・ディアノ)を買ったんだが、その頃はポール・ディアノが脱退してた頃で、2代目ヴォーカリストに関しての話題が雑誌ミュージック・ライフなどにちらほらと出ていたもんだ。メイデンのファーストアルバムとセカンドアルバムはその時点では全部通して聴いたことがなかったんだけど、そのシングル2枚だけでも何だか凄くて、何度も聴いていた。そして満を持してメイデンのサード・アルバム「The Number of the Beast(魔力の刻印)」の広告がロッキングオンの裏表紙やミュージック・ライフ誌に出たのがその年の冬。そこには、「新ヴォーカリスト、ブルース・ブルース加入!」と書いてあった。ブルース・ブルースってのはなんか面白い名前だな、とか思ってたんだが、早速LPを買ってみたら名前はブルース・ディッキンソンになっていた。ブルース・ブルースという名前は、海外から情報を持ってくる際に間違えて流れてきたものだと思うんだが、なんかそんなところが妙にリアルで面白かった。

というわけで、この「The Number of the Beast(魔力の刻印)」なんだけど、ポール・ディアノ時代(「鋼鉄の処女」「キラーズ」)の性急感というかせわしなさを引き継ぎつつも、ブルース・ディッキンソンのヴォーカルのおかげでずいぶん普通っぽいハードロックになってた。最初に聴いたときにはA面の冒頭の「インベーダー」でなんだこりゃ感しかなかったんだが、「ナンバー・オブ・ザ・ビースト」「ラン・トゥ・ザ・ヒル」あたりで、これは凄いんじゃないか?って気になってきたのを今でも覚えている。不思議なことに、この最初に聴いたときの印象が、結局今に至るまでずーっと残ってるわけで、僕のこのアルバムに対する評価もそれがすべてといってもいいくらい。

ところで、アイアンメイデンといえばやっぱりポール・ディアノ時代が最強なわけで、ファーストの「鋼鉄の処女」もセカンドの「キラーズ」も、今聴いても、のどごしスッキリというか胃もたれしないというか、メタル特有の脂ぎったところが無くて、とてもいい印象なわけだ。どちらも「The Number of the Beast(魔力の刻印)」より出来がいいのではないか。メイデンで1曲だけ選ぶとしたら最初に買ったシングル「ラスチャイルド」(「キラーズ」収録)を迷わず選ぶ。でも、個人的にブルース・ディッキンソンが噂のレベルから表舞台に出てくるまでの数ヶ月間の、あの何ともいえないワクワク感と、ついに発売になったときの盛り上がり。この「タメ」が、僕の本作に対する思い入れを作ったというか、偏見を作ったというか・・・。そんなわけであえてこのアルバムを選んでみた次第。ちなみにアイアンメイデンはつぎのアルバム(「頭脳改革」1983年)も買ったんだけど、さっぱりハマらず。僕にとってメイデンは「魔力の刻印」までで終了しました。


Leon Russell / Leon Russell(1970)

昔、渋谷のファイヤー通りにあったレコード屋で3500円くらいで買った。10代の後半頃だったろうか。当時はレオン・ラッセルなんて全部廃盤で、しかも聴く人も少なかったせいか輸入盤すらどこにも置いてなくて、さんざん探した。見つけたときはかなり嬉しかったが、レコードの盤面はボロボロで、パチパチとスクラッチノイズが入るシロモノ。とはいえ、それもまたこのアルバムの雰囲気に合ってて、なかなかいい感じだった。で、ちょうどその頃レオン・ラッセルのベスト盤CDなんてのが日本で発売になったりしてたのを覚えている(CMで使われたせいで一部で話題になったのだ)。当時僕はCDプレーヤーを持って無かったんだけど、友人がこのベスト盤を買ったので聴かせてもらったら、全くスクラッチノイズの無いイントロから始まる「ソング・フォー・ユー」にかなりの違和感を感じたものだ(笑)。僕の聴き慣れてた「ソング・フォー・ユー」はバチバチいうノイズの洪水の中からイントロのピアノが聴こえてくるというものだった。大学のときにこれをウォークマンで聴きながら通ってたんだが、トム・ウェイツ好きの友人にこれを学食で聴かせたところ、「なんだこのノイズは!?」と爆笑されたのをなんか覚えている。たしかにひどいノイズだったが(笑)、僕にはこのスクラッチノイズも音楽のように聴こえてたのかもしれない。

さて、レオン・ラッセルといえばスワンプ・ロックなわけだが、僕はスワンプ・ロックに関してはほぼ素通りしてきてしまったのでほとんど知らない。せいぜい中学だか高校だかのときに買ったデレク&ドミノスくらいか。スワンプ・ロックを素通りしてきたことに特に理由は無い。単なる偶然。JJケールやジョー・コッカーやデラニー&ボニーなどにハマってたらそれはそれで充実した時間を過ごせたと思うけど、たまたま出会うこともなかった。だいたい、大学の頃からロックを聴く時間よりもジャズやソウル、クラシックなどを聴く時間が多くなっていったし、その後もブルースやレゲエなどにどっぷりとハマることはあってもスワンプ・ロックはいつも素通りだったのだ(それでもスワンプロックのオムニバス盤などで有名曲くらいはある程度知ってたけど)。やっぱり高校時代くらいまでにハマらないと、ロックはハマるのがなかなか難しいのではないか。最近ジェシー・デイビスのアルバムなんかを聴いたりしてたんだけど、いいのは分かるんだがハマるという程でもないというか。これはもう完全に聴く側(自分)の問題。でも、ひょっとしてこういうのは波みたいなのがあって、そのうちスワンプ・ロックにハマる時期みたいなもが来るときがあるのかもしれないから、そのときを待つことにしよう。


BEATLES / Abbey Road (1969)

このアルバムの中の「オクトバス・ガーデン」がずっと好きだったんだけど、今でも「オクトバス・ガーデン」は好きだな。というか、アビーロードのA面だけはちょっと別格。何度も聴いたものっていうのはそのあと聴くのがすっかり嫌になったりするもんだが、これに関しては何故かそんなことはなく普通に聴けてしまう。昔は「オクトパス・ガーデン」の他に「サムシング」がお気に入りで、この2曲以外は特に何とも思ってなかったもんだ。でも今聴けば最初の「カム・トゥゲザー」からA面ラストの「アイ・ウォント・ユー」まで全部いい。B面は今もあまり興味が無い。そしてそもそも僕はビートルズ自体にあまり興味が無い。

ところで、これを買ったときのことはよく覚えているのだ。中学2年のとき、アビーロードを買いに駅前のレコード屋に行って(なんでアビーロードが欲しくなったのか覚えていない)、ビートルズのコーナーを探してたら、何故かそこに所ジョージのレコードが紛れ込んでおり、そのジャケットがアビーロードのパロディになっていて(横断歩道を4人で歩いているもの)、その所ジョージのレコードとアビーロードが並んで置いてあったという、それだけのくだらない話なんだが、それが当時の僕のツボに入り、なんだか面白かったのだ。で、このことを当時学級日誌にイラスト入りで詳しく書いた。学級日誌というのは、班ごとに(ひとつの班は6人~8人位だったかな)ひとつあって、毎日入れ替わりで誰かがそこに日記を書くというもの。もちろんそんなもの真面目に書く人なんかいないわけだが(そもそも誰もちゃんと読まない)、僕は何故かそこにふざけた長い文章を書くのが当時のマイブームとなっていて、このアビーロード事件のことを書いた。おかげでそのときのことを今でもよく覚えてるというわけで。

そんなものを書いたせいなのか何なのか、当時担任の先生(美術の教師)が僕の顔を見るなり「nobuta君はビートルズみたいだね」などと言いだし、嫌な気分を味わったことがある(笑)。その頃の僕のヘルメットのような髪型がビートルズのマッシュルームカットのように見えたようでそんなこと言われたんだと思うんだけど、あれは単に坊っちゃん刈りが伸びたというだけだったのだ。なんだかいろいろ思い出してきたけど、当時はビートルズってのはちょっとダサいイメージがあった。

ジョン・レノンが死んだのは僕が中学1年のときで、そのときはちょうど近所の床屋にいて、床屋ではラジオ番組「高島忠夫の気ままなジャンボ」が流れていた。僕が坊っちゃん刈りにされている最中、ラジオでジョン・レノン暗殺の速報が入り、パーソナリティーの女の人(たぶん小俣雅子)がその速報を読んでる途中に泣き出してしまうということがあった(途中からその原稿を高島忠夫が読んだんじゃなかったかな)。これが何だか強烈なインパクトがあって今でもよく覚えてるわけだが、僕はジョン・レノンとかまるで興味無かったし、その後もジョン・レノンには特に興味が無い。でもこの後ちょっとしたジョン・レノンのブームみたいなのがあって、ラジオではしょっちゅうジョン・レノンが流れてたし、ジョン・レノン&エルトン・ジョンのライブアルバムなんてのも発売して結構ヒットしていた(このアルバムはラジオからダビングした)ので、それなりにジョン・レノンの曲はいろいろと耳にしていた。で、人気のあるものっていうのは、中学生くらいの年代の者にとっては何だか妙にダサく感じるもんで(笑)、ジョン・レノンってのはビリー・ジョエルなんかと同じように、人気があるってだけで何だかダサく思えたわけだ。なんなんだろうね、こういうのは(笑)。だもんで、ビートルズみたいだねって言われるのはなんとも不本意だったんだろう。

さて、ビートルズ関係でいろいろ思い出してみると、ポール・マッカートニーの「カミング・アップ」というシングルが出たのは僕が小6か中学1年のときで、僕はこれが好きだった。当時ラジオの電話リクエスト番組で流れてたのをたまたまラジカセでダビングしてて、この「カミング・アップ」という曲だけやたらとカッコイイのですっかり気に入ってしまったんだが、そのカセットテープにビートルズの「イエロー・サブマリン」も入っていた(こちらはニッポン放送「まだ宵の口」からダビング。1980年)。この「イエロー・サブマリン」がまたお気に入りで、結構何度も聴いてたりしてたのだ。だからアビー・ロードに入ってる「オクトパス・ガーデン」が「イエロー・サブマリン」と同じリンゴ・スターの曲だと知ったときにはちょっとうれしかったもんだ。ちなみに中学2年のときに公開されたリンゴ・スター主演の映画「おかしなおかしな石器人」は見に行った記憶があるんだが、一体どこの映画館で誰と見たのかが全く記憶にない・・・。その映画を見た頃にはたしかジョージ・ハリスンの「過ぎ去りし日々」って曲がヒットしてた気がする。この曲も結構好きだった。そういえば「アビーロード」を買う前に、中1のときにビートルズの「Rock'n Roll Music Vol.1.」ってアルバムを買ったな(このHPでも紹介済み)。

そんなわけで、ビートルズに興味が無いとか言ってるわりには昔からビートルズは身近にあったわけで、それなりに聴いてるのかもしれない。で、オリジナル・アルバムではやはり「アビーロード」が一番かなあ、個人的に。A面だけだけど。


THE FOOLS / PSYCHO CHICKEN(1980)

フールズの「サイコ・チキン」です。アルバムは知らないので、今回はシングル。トーキングヘッズの名曲「サイコ・キラー」の替え歌で、ファファファファーの部分がコッコッコッコーになってます。この「サイコ・チキン」、何故かかなり好きだった。記憶では小6の頃なんだけど、1980年の曲ってことは中1の頃の曲だったのかな。

当時うちでは朝方はNHKをつけてて、6時半頃から「明るい農村」って番組をやってたのだ(今思えばすごいタイトルだな)。で、僕はご飯を食べながらなんとなく見てたら、にわとり小屋でにわとりが暴れてる場面でのBGMがこのフールズ「サイコ・チキン」!なんだか分かんないけどそれがおかしくてしょうがなくて、ひとり受けまくってたわけなんだが、後にラジオでもこの曲が流れることがあったりして、当時それなりにヒットしてたようだ。

ところで、この原曲トーキング・ヘッズの「サイコ・キラー」は、だいぶ後になって知った。たぶん高校生の頃だったろうか。そもそも「サイコ・チキン」がトーキング・ヘッズの「サイコ・キラー」の替え歌だということを知らなかったもんだから、最初にトーキング・ヘッズのファーストアルバム聴いて「サイコ・キラー」が出てきたときにはちょっとのけぞった。

だいたい、トーキングヘッズというのは渋谷陽一がさんざんけなしてたせいであまりいい印象が無かったのだ。「リメイン・イン・ライト」とか持ってて結構好きだったんだけど、渋谷陽一の本を読むと散々な書かれよう。渋谷陽一曰く、リズムが借り物である、ってことだそうなのだが、僕なんぞは借り物で何か悪いのか?と不思議だった。渋谷陽一はクリムゾンやツェッペリンのように、白人は白人なりの工夫の仕方で黒人音楽のリズムを吸収して新しく創造するのをヨシとするようで、トーキング・ヘッズのようにリズムセクションにそのまま黒人音楽であるファンクを持ってきてしまうのが許せなかったらしい。でもあれは単に渋谷陽一が今野雄二を嫌ってたというだけなんじゃなかろうかとも思うのだが・・・(今野雄二はトーキング・ヘッズを絶賛していた)。

そういえばトーキングヘッズのラスト作の「Naked」(1988年)も僕は当時リアルタイムで買っている。たぶん一番熱心に聴いたトーキングヘッズのアルバムはその「Naked」だと思う。この当時は何故かファンカ・ラティーナにハマってて(ブルー・ロンド・ア・ラ・タークとかモダンロマンスとかヘアカット100とか)、その流れで気に入ったんだと思うんだけど(このアルバムはかなりラテン調)、要するにパーカッションがチャカポコ鳴ってて適度にラテン調でバカっぽかったら何だって良かったんじゃないかな(笑)。なんか昔からバカっぽい曲を好む傾向があるようだ。

それはそうと、フールズってのは「サイコ・チキン」しか知らない。コミックソング以外にもちゃんとした曲があるんだろうか?と思って調べてみたらなんと15枚もアルバムを出してるらしい・・・。でも何故か「サイコ・チキン」はアルバム未収録とか。やっぱこれは冗談で作っただけなのかな?

コミックソングってば昔クレイジーキャッツやドリフターズに凝ったことがあった。80年代後半あたりに植木等の再評価ブームってのがあって、浅草の映画館でオールナイトで無責任シリーズの連続放映を見に行ったこともある(クレイジーキャッツとドリフの両方が出てくる「メキシコ大作戦」とかかなり凄かった記憶が・・・)。さらに遡ってフランキー堺&シティー・スリッカーズや、それらの大本のスパイク・ジョーンズなども聴いてみたりしたけど、クレイジーキャッツとドリフの方がなんか肌に合った。ちなみに植木等の再評価ブームは肝心の植木等のアドリブのしゃべりが全然駄目だったせいですぐに終了した・・・。

で、フールズの「サイコ・チキン」に戻るけど、これのPVが馬鹿馬鹿しくて、かなりいい(Youtubeで見れる)。実を言えば歌詞が全く分からないんだが、洋楽なんて歌詞はどうでもいいのだ。PVににわとりが出てくるだけで、なんか満足(笑)。この曲は当時ディスコで流行っていたということらしいが、たしかに深刻に聴くようなものではないことはPVからだけでもじゅうぶん分かる(笑)。 


RAINBOW / The Best Of Rainbow(チェイス・ザ・レインボー/ザ・ベスト・オブ・レインボー)

3年くらい前、ロニー・ジェームス・ディオが死んだというニュースを見て、なんとなく「ア・ライト・イン・ザ・ブラック」を聴いた。この曲、中学生のときの目覚まし時計代わりだったのだ。寝る前にステレオをタイマーにセットし、朝になるとカセットデッキが作動して「ア・ライト・イン・ザ・ブラック」が大音量で鳴るという・・・。これなら一発で飛び起きる。この記憶のせいで、3年前にひさびさに聴いたこの曲はなんだか早朝っぽくて、気持ちよかった。

このベスト盤(2枚組LP)は79年の「ダウン・トゥ・アース」までのベストなわけだけど、何故かよく聴いた。「ア・ライト・イン・ザ・ブラック」も「スターゲイザー」も「銀嶺の覇者」も「キル・ザ・キング」も、そしてグラハム・ボネットの「オールナイト・ロング」も「ロスト・イン・ハリウッド」も、本当によく聴いたもんだ。おかげでレインボーの最初の2枚と「ダウン・トゥ・アース」は結局買わなかった(「オン・ステージ」と「バビロンの城門」は買った)。だいたい、ロニー時代とグラハム・ボネット時代はこのベスト盤で十分ではないのかな(そんなこと言うと熱心なファンに怒られそうだが・・・)。結構よくまとまってるレコードだと思う。

ところで、中学生の僕が最終的に下した判断によると、レインボーの最大の名曲は「ア・ライト・イン・ザ・ブラック」ということになる(笑)。「キル・ザ・キング」も相当好きだったが「ア・ライト・イン・ザ・ブラック」は別格だった。ギターのリフも最高だったし、ドカドカいうだけのドラムも最高だったし、何よりもロニーのボーカルが最高だった。ちなみに僕が中学生のとき、ロニーはブラックサバスにいた。ロニー時代のサバスは最高だったなあ・・・(笑)。

レインボーは、ある日突然聴かなくなったんじゃないかな。レインボーだけじゃなくて、ホワイトスネイクとかブラックサバスとかスコーピオンズとか、それまで熱心に聴いてたものは、高校時代のあるとき突然聴かなくなってしまった。理由はよく覚えてないけど、他に面白い音楽を見つけたのか、ハードロックが肌に合わなくなったのか、飽きちゃったのか、なんだったんだろうな。ネットなんかを見ると大人になってもずっとハードロックを中心に聴きつづけている猛者もいるけど、単純にスゴイなと思う(笑)。最近たまにハードロックを懐かしく聴いたりするんだけど、昔いいなと感じたものは今聴いても同じようにいいなと感じることが多い。でも、昔は音楽そのものにいいなあと感じてたものが、今はそこに懐かしい風景が加わっているんだから、なんだか嫌になる(笑)。この風景は何度聴いても消えることが無いようだ。音楽に風景がくっついてるってのは、つまりナツメロ的なものへと変化してるんだろうか。「ア・ライト・イン・ザ・ブラック」を聴いて朝の気持ちよさを感じるとか、よく考えたらやっぱ変だよな。

レインボーのベスト盤はこのあとも何枚か出てるようだが、僕は全く知らない。だいたいレインボーは「闇からの一撃」(1982年)までしか知らないのだ。調べてみたら、「闇からの一撃」の次の年(1983年)にもアルバムが出てるんだな・・・。ひょっとしてこれも聴いてるんだろうか?全く記憶にないんだが。


Michael Franks / Sleeping Gypsy (1977)

このアルバムはバックがクルセイダーズ&ブレッカー&サンボーン。この強力なバックのおかげでフュージョン色が強くなり、あまりロックの気配が無い。だいたいマイケル・フランクスのへなちょこヴォーカルにしても、どこかチェット・ベイカー的でロック色が薄い。バックに薄く流れるストリングスなんか完全にイージーリスニングの世界。「アントニオの歌」に至ってはボサノバだし、ラストの曲もボサノバ。でも通して聴くと、自分にはAORに聴こえるわけで、やっぱりロックの感触だったりする。などというようなジャンルの問題なんて実はどうでもいいんだけど、このアルバムが凄いと思うのは、その雰囲気。何度聴いても何やらハイソサエティな(?)空間演出というか(笑)、しょーもない程の「ここではないどこか」感というか。それがイイとか悪いとかって話ではなく、そういう部分が最高なのだ。この感覚は極めて70年代的だと思うんだけど、70年代のラブ・アンリミテッド・オーケストラやボブ・ジェームス、パーシー・フェイス、フランク・ミルズ、などに共通するあのベタな感触がある。で、この感触って何だろうかと考えてみるに、ジェットストリームがまず思い浮かぶ。僕はジェットストリームでこれらに接してたのだ。

FM東京のジェットストリームをカセットテープでエアチェックして何度も聞くようになったのは中学1年の頃。当時のジェットストリームはイージーリスニングや映画音楽、ライトなモダンジャズ、フュージョン、などをよく流してたんだけど、僕には全部ムードミュージックに聞こえたわけで、ジャズってのはムードミュージックの一部だと思ってたほど。

で、中学年の頃にジェットストリームの「私のレコードアルバム」のコーナーでマイケル・フランクスを特集したことがあった。これ、たまたまSONYのカセットテープに録音してたので今でも残ってるんだが、このテープがとても気に入ってしまい当時何度も聴いたりしてた。なんといっても「アントニオの歌」。これがやたらとかっこよく聞こえたものだ。で、しばらくしてLPを買うことになる。それが高校の頃だったかな・・・?

当時カセットテープにエアチェックしたジェットストリームで他に今でも残ってるのは、ワルター・ワンダレイ特集、グレイト・ジャズ・トリオ特集、ジョージ・ベンソン特集、ティム・ワイズバーグ特集、パーシー・フェイス特集、オットー・ユルゲンス特集など。毎回この手のライトなものを流していた。たぶん僕がジャズを聴くきっかけはこのジェット・ストリームだったんだけど、そもそも最初はこれらをムードミュージックとして聴いてたのだ。だからジャズもフュージョンもムード音楽扱い。中学生のときに最初に買ったジャズのLPはロリンズのサキコロだっだけど僕にはムード音楽だったわけで、ジャズなんて正直なんだかよく分からなかったのだ。音楽のムードや雰囲気がすべてだった。サキコロはなんてつまらぬムード音楽なんだろうとか思ってた(笑)。マイケル・フランクスだって当時の僕にはほぼムードミュージック。ポール・モーリアとかパーシー・フェイスなどと同列なのであった。

で、今でもこのアルバムはやっぱりそんな印象がつきまとい、聴くたびになんだかチープな感触とともに妙な心地良さみたいなものがあって、ちょっと特別です。70年代AORの中でも名盤中の名盤ではなかろうかと。


Spooky Tooth / You Broke My Heart So I Busted Your Jaw (1973)

その昔、ステレオのブームってのがあって、ソニー、パオイニア、ヤマハ、ダイアトーン、サンスイ、等等、いろんなメーカーから新しいシステムコンポのステレオがどんどん出てきて、テレビやラジオでもステレオのCMが随分あったものだ。ソニーから出たサウンドセンサーDo!というコンポは結構話題になった。僕なんぞは近所の正能電器という店でステレオのカタログをいろいろもらってきてはそれらを眺めてたりしたわけだが、そのうちに雑誌なんかも買うようになる。その頃はオーディオ雑誌も全盛期で、「サウンドレコパル」や「FMレコパル」を筆頭に、これまた随分沢山あった。

で、中学時代にたまたま買った「サウンドレコパル」に「私の好きなレコード100選」というコーナーがあった。当時はこういう所からしか情報を得られないということもあって、それこそ全部暗記しちゃう勢いで読んでたもんだが、その中にスプーキー・トゥースをやたらと沢山選んでた人がいたのだ(クリエイションのメンバー達。ちなみにクリエイションってばドリー&テリーのザ・ファンクスのテーマ曲「スピニング・トー・ホールド」。笑)。その頃スプーキー・トゥースなんて全く知らなかったので、なんだか気になってしょうがない。でも駅前のレコード屋マスヤにはスプーキー・トゥースのコーナーすら無いし、そもそもスプーキー・トゥースなんて全部廃盤だったので普通のレコード屋には置いてない。そうなるともう余計に気になってくる。というわけで、遠くの輸入盤屋まで行ってみたらスプーキー・トゥースはたまたまこれ1枚だけあったので即入手。こういうものに出会うきっかけは全部たまたまなのだ。

そんなわけで、このアルバムを買ったのはいいんだけど、当時は何度聴いても、ん~?なんだこれは?みたいな感じ。それまで聴いてきた音楽とは何かが微妙に違う気がするし、なにやら新しい世界を覗き込んだような気にもなってくるんだが、具体的にどこがどうなのかってのがよく分からない。よく分からないと、なんだか自分の感性が未熟な気がしてあせってくるのか、分かるまで聴きたくなるもので、それこそ時間があったら何度も聴くようになる。すると不思議なもんで、なんだかこれは凄いんじゃないか?的な気分になってきて、曲を覚えちゃう頃になるとすっかり自分の中で名盤化してたりするわけだ。実際にこれが名盤扱いされてるかどうかは全く知らないしそういうことにはまるで興味が無いのだが、とりあえず自分の中ではいいアルバム。


The Boomtown Rats / The Fine Art of Surfacing (1979)

昔NHKヤングミュージック・ショーという番組の総集編「Young Music Show / Rock '71-'81」というのがあって(1981年頃)、ビデオに撮って中学生のときに何度も何度も見てたのだ。それまで番組でやったアーチストの映像や、他にも代表的なアーチストの映像などがいろいろ流れて、かなり面白かった。そのビデオテープはまだ残ってるんだけどベータマックスなので見れなくなってしまったのがちょっと残念(ベータのデッキが壊れたままだから)。

で、その総集編番組で流れたアーチストで覚えているのを上げていくと、CCR「ダウン・オン・ザ・コーナー」、ドゥービーブラザース「ジーザス・イズ・ジャスト・オーライト」、アリス・クーパー「スクールズ・アウト」、ベイシティー・ローラーズ「イエスタデイズ・ヒーロー」、デヴィッド・ボウイ「サフラジェット・シティ」、ディープ・パープル「チャイルド・イン・タイム」、キッス「ファイヤー・ハウス」、ボブ・マーレー「ノー・ウーマン・ノー・クライ」、セックスピストルズ「アナーキー・イン・ザ・UK」、ミック・ジャガーのインタビュー、などなど(他にもあった気がするけど)。そしてラストがブームタウン・ラッツの「ダイヤモンド・スマイルズ」だった。

ショックロックとして紹介されたアリス・クーパーのギロチン場面の異様さにはかなり驚いたし、ベイシティー・ローラーズもある意味異様な感じがして最高だった。デヴィッド・ボウイは滅茶苦茶かっこよかったし(ギターはエイドリアン・ブリューだった)、ピストルズの映像はひたすら気持ち悪かった(笑)。また、キッスの「ファイヤー・ハウス」は、実は小学4年のときにテレビで見たものだった。当時、近所の友達のS下君の家に遊びに行ってたら、友達の兄貴(4つ位年上だったかな)がテレビでキッスのライブを見てて、一緒に見てたのだ。「エレキギターを弾きながら感電するんだぞ」とか「口から火を吐くんだぞ」とか、さんざん脅かされながら見てたんだが、「ファイヤー・ハウス」で本当に口から火を吐いて、かなり驚いたもんだ(笑)。たしか日曜の昼間だった気がする。

それはそうと、ラストに流れたブームタウン・ラッツの「ダイヤモンド・スマイルズ」(日本でのライブ)は、ボブ・ゲルドフが何故か学生服を着て学生帽を被ってるというよく分からないスタイル。でもこのライブがとにかく格好よかった。「ダイヤモンド・スマイルズ」という曲はこの番組で初めて知ったんだけど、すっかり気に入ってしまった。ラストに流れるということで、おそらくロックの未来はこのバンドが牽引していくのだろう的な意味合いがあったんだと思うんだが、実際にはブームタウン・ラッツはこの後消えることになるし、ボブ・ゲルドフはチャリティー・コンサートなどで評判を落とすことになる。この番組の構成はたしか渋谷陽一だった気がするが・・・(笑)。

で、この「ダイヤモンド・スマイルズ」が流れる途中、テロップで「ロックが必要とされる限り、この番組をつづけてゆきたい」というのが流れる。結局このNHKヤングミュージック・ショーは1986年に終わったのだが、ロックが必要とされなくなったのがちょうどその頃だったのかもしれない。実際僕も80年代後半頃からロックから徐々に離れていってしまった。

さて、この「The Fine Art of Surfacing」というアルバム、シングル曲の「哀愁のマンデイ」が有名だけど、僕は冒頭の2曲「サムワンズ・ルッキング・アット・ユー」と「ダイヤモンド・スマイルズ」が好きだ。特に「ダイヤモンド・スマイルズ」はヤングミュージック・ショーでの勇姿が焼きついている為か、なんだか盛り上がるな。


Brian Ferry / Let's Stick Together (1976)

2012年に「JAZZ AGE」というブライアン・フェリーのソロアルバムが出たけど、何故か全編古いジャズ(スウィング以前のハーレムジャズやニューオーリンズっぽいもの)でのセルフカバー。しかもあの「Re-Make/Re-Model」が入ってた。これ、ぼーっとしてると気がつかないけどよく聴けば「Re-Make/Re-Model」じゃないかって感じで結構面白かったのだが、「Re-Make/Re-Model」のセルフカバーってばこの1976年のソロアルバムにも入っている。こちらはオリジナルの実験臭が抜けてポップでややファンキーな感じ。

このアルバムをよく聴いてたのは高校生の頃で、当時はロキシーが大好きだった。「Siren」(1975年)なんて同じの2枚も持ってたほどだ(笑)。なんで2枚も持ってたのかってば、1枚を毎日何度も聴いてたので(そんなことばかりしてたおかげで高校の頃は勉強なんか全くしなかったが)音が悪くなっているかもしれないと思い、とりあえずまた新しいのを買ってみたのだ(たいして音は変わらなかった笑)。で、それと平行してブライアン・フェリーのソロも聴いてたんだけど、中でもこのアルバムは印象深い。ロキシーでいえば「Siren」をポップにしてちょっと黒くしたような感じか。ロキシーそのままってのもある(「2HB」とか)。ひさしぶりに聴いたら盛り上がってしまった。ちなみにロキシーもブライアン・フェリーのソロも70年代までしか興味が無い。中学生の頃に「Avalon」(1982年)とか流行ってたけど、何故かいまいちピンと来なかった。


J.D.Souther / You're Only Lonely (1979)

ここ数年で僕がウォークマンで最もよく聴いたロックのアルバムはたぶんジェームス・テイラーの「Dad Loves His Work」(1981年)だと思う。普段ジャズばかり聴く中で、たまにロックも選んだりするのだが、そのときにチョイスする機会が多いのが「Dad Loves His Work」なのだ。なんだか分かんないけど、よく聴きたくなる。今だって2週に一度くらいはウォークマンに入れてるんじゃないかな。とにかく気持ちいいのだ。2曲目の「Her Town Too」でその気持ちよさがマックスに至り(笑)、そのままその後の曲なども気分よくズルズルと聴き流す。で、その「Her Town Too」って曲はジェームス・テイラーとJ.D.サウザーのデュエット曲なのだ。僕が中学生のときによくラジオから流れて来た。

気分がいいといえば、僕は何故かイーグルスが流れてくると気分よくなる傾向にある。イーグルスのカントリーロックはどういうわけだか全く飽きることなく、どの曲も聴くたびに気分いい。で、よく知られるようにJ.D.サウザーはイーグルスのどのアルバムにも参加してたりする。「もうひとりのイーグルス」なんて呼ばれてたとか。

イーグルスってば、元はリンダ・ロンシュタットのバックバンドだったわけだが、そもそも僕がウエストコースト系やカントリーなどを聴くきっかけとなったのは、リンダ・ロンシュタットのアルバム「Heart Like A Wheel」(1974年)なのだ。大好きなハンク・ウィリアムスだってこのアルバムがなけりゃ聴くこともなかったかもしれない(ハンク・ウィリアムスのカバーとかも入ってる)。それほど自分にとって重要なアルバムなんだが(大袈裟だな)、なんとここにもJ.D.サウザーが参加している。ついでにJ.D.サウザーが作った曲「Faithless Love」も入っている(これがまた最高の曲)。

そんなわけで、気持ちよさげなところにはJ.D.サウザーの名前をよく見かけるんだが、J.D.サウザーのアルバムといえば、やはりこの「You're Only Lonely」。J.D.サウザーのアルバムでは一番好きだな(イーグルス的な72年のファーストアルバム「John David Souther」も好きだけど)。音的にはAORってことになるんだろうか。オールディーズやカントリーをベースとしたウエストコースト系のAOR。なんとも気持ちいい。


Peter Gabriel / Peter Gabriel (1977)

ピーター・ガブリエルのファースト。これ聴いてたのは高校の頃だったか、中学だったか。今聴いても1曲目が凄い。いや、A面が凄い。いや、B面も凄いな。「ダン・ザ・ドルチェ・ヴィタ」とか大袈裟だけど面白い。この妙な音の質感はいかにもプログレ出身って感じだけど、ロバート・フリップやトニー・レヴィンという参加メンバーのせいもあるのかな。

たぶん最初にピーター・ガブリエルを聴いたのはラジオ(渋谷陽一のサウンドストリート)で流れた「ゲームス・ウィズアウト・フロンティアーズ」(サードに収録)。このときにスティービー・ワンダーの「パスタイム・パラダイス」も流れたのを覚えている。この2曲の異様なインパクトは結構なもんだった。なんてことはどうでもいいんだが、ピーター・ガブリエルをアルバム単位で聴いたのはこのファーストが最初だったんじゃないかな。自分で買ったんじゃなくて、たぶん友人にもらったものだった気がする。そういえば当時は「ショック・ザ・モンキー」(4枚目からのシングルカット)のミュージックビデオがテレビで流れてたこともなんとなく覚えている(サルが温泉につかってるようなビデオだった気がするんだが、さっきYoutubeで見たらぜんぜん記憶違いだった。一体どこですり替わったのか。笑)。ピーター・ガブリエルは最初の3枚が好きだった。

大学に入ったばかりの頃、学内ではクラブの勧誘なんてのがあって、いろんなクラブの人達が新入生に声をかけては勧誘してたりするんだが、僕は何故かフェンシング部の人に声をかけられた。フェンシング部に入る気はさらさら無いんだけど昼ごはんを奢ってくれるっていうんで学校の近くのカフェへとついていってんだが、そのカフェでたまたま流れてたのがこのピーター・ガブリエルのファーストだった。で、その先輩に「あ、このレコード昔好きだったんですよ」と言ってみたら「ふーん」という素っ気ない返事(そりゃそうだ。笑)。あのときにこのアルバムの話で盛り上がってたら、ひょっとしてフェンシング部に入ってたかもしれない・・・(なわけないか)。このときの光景はどういうわけか今でも鮮明に覚えているんだけど(パスタを食べたことから会話の内容まで)、それもたぶんピーター・ガブリエルのこのアルバムがBGMだったからだと思うのだ。だいたいこんな妙な音楽をBGMにすれば空間自体も妙なインパクトが出てくるというもの。これシャカタクやシャーデーだったりしたらこんな話はサッパリ忘れてたんじゃないかな。


Rick Springfield / Working Class Dog��(1981)

ジェシーズ・ガールって曲には特別な思い入れとかは無いんだけど、でも当時の空気の代表みたいな感じというか、僕の中ではあの頃にごちゃごちゃと沢山あった洋楽ポップスをひとことでまとめてくれてるみたいなところがある。

80年代ってのはMTVの時代とか言われるけどそれはアメリカでの話で、日本ではその代わりにベストヒットUSAってのがあった。小林克也のDJに乗ってアメリカのヒットチャートのミュージックビデオ(昔はPVって言わなかった)を毎週流してて、とにかく洋楽を本格的に聴き始めた中学生にとってはなんとも最高の番組だったのだ。当時、日本のヒットチャート音楽はあまり知らなかったけどアメリカのヒットチャートはだいたい知ってたのはこの番組のおかげかもしれない。また、タイムマシーンというコーナーでは古いロックの映像なんかも流してくれて、これもかなり面白かったし、毎回楽しみだった(というかむしろこれが一番の楽しみだったくらい)。今調べたらベストヒットUSAは1981年に始まった番組らしい。たぶん僕は最初から見ている。

リック・スプリングフィールドってのはいかにもベストヒットUSA的な存在で、たぶん他の番組でも流れてたんだろうけど、記憶の中ではベストヒットUSAでしか見かけなかったことになっている。そして、レコードは買わないけどこの曲が流れてくると嬉しいみたいな、そんな感じだった。こういうアーチストは他にもシーナ・イーストンとか、J・ガイルズ・バンドとか、キム・カーンズとか、ジョーン・ジェット&ブラックハーツとか、ジョン・クーガーとか、ユーリズミックスとか(みんな一発屋っぽいな)、いろいろいたけど、ここらへんはベストヒットUSA系みたいな感じで頭の中で整理されちゃってるくらいだ。

リック・スプリングフィールドのジェシーズ・ガールはたしか1位を取ったんじゃないかと思うんだけど、僕の記憶ではこの人、当時オーストラリアで俳優だかアイドルだかをやってて、どういうわけかこの曲が全米1位になってしまった的な感じだったような気がするんだが、違ったかな。だいたい、ルックスが良かったから売れたというよりもこれは曲そのものがずば抜けて良かったのだ。ちなみにすぐつぎくらいのシングル「ドント・トーク・トゥ・ストレンジャー」ってのもよく覚えている。これも滅茶苦茶ヒットした。

で、このアルバムの方、実は最近初めて全部通して聴いたんだけど、1曲目とかほぼチープトリックな感じで最高。当時アルバムで買ってたとしても(シングルすら買わなかったが)それなりに聴けたんだろうな。


Gary Moore / G-Force(1980)

僕が中学生の頃、ミュージックライフのラジオCMのバックに使われてたギターの曲がなんだか凄くて、調べてみたらこのG-Forceの1曲目(You)だったのだ。で、早速買おうと思ったら当時凄いレア盤だったらしく、どこにも売ってない。こりゃキャプテンビヨンドのファーストみたいにまず絶対に手に入らないレベルの激レア盤なのかなと思いはじめた頃、ミュージックライフのうしろのほうのページの情報欄に「新星堂大宮店、ゲイリー・ムーア&Gフォースの輸入盤200枚入荷!」の文字が。速攻で大宮の新星堂までノコノコと出かけてみたら、すでに売り切れ。どうやら定期的にどこかに入荷してはすぐに売り切れるという裏の人気盤だったようだ。で、ほとんどあきらめかけていた頃、友人がどこかのレコード屋(石丸電機だったかな)で見つけてきて、ようやく聴けたのであった。

雑音の多いAMラジオから流れるミュージックライフのCMの記憶と、なんとかして聴きたいという飢餓感のせいで、このアルバムは聴く前から僕の頭の中ですっかり伝説化してしまい、最初に「You」を聴いたときには「うぉぉ~」とやたらと盛り上がったもんだ。歌があったのか!とか、あのギターソロにはつづきがあったのか!とか、結構ポップな曲だったんだなとか、いろんなことが頭の中をグルグル巡ったのをちょっとだけ覚えている。

そんなわけで、1曲目の「You」くらいしかまともに聴いていない。と思ってたんだけど、あらためて聴いてみたら結構他の曲も覚えてたんで、それなりに聴いてたようだ。で、今聴くとギターが多少やかましいが、良質なポップスって感じで結構いいアルバム。考えてみたらこの時代にはジャーニーとかREOスピードワゴンとか、ギターが少しやかましい感じのポップスグループがいろいろいたよなあ。そういうの狙って失敗したとか?


Friends Again / Trapped And Unwrapped (1984)

このLP買ったのは高校2年くらいのときだったか。全くヒットしないで人知れず消えたアルバムなので「フレンズアゲインいいよね」みたいな話は誰ともした記憶が無い(笑)。で、なんで買ったのかも覚えてないんだけど、たぶん普段聞かないようなものでも買ってみようってことで買ったんじゃないかな。ミュージックライフの点数見て買ったのか、あるいはロッキングオンのレビュー見てかったのか、はたまたラジオで聞いて気に入って買ったのか、たぶんそのどれか。

そもそも僕はこの手のギターポップに関してはまるで興味無かったんだけど、このアルバムはなんだか好きだった。特に1曲目の「ラッキー・スター」は本当に何度も聴いてた。当時はこういうの聴くのはカッコ悪く思えたのであまり人には言ってないと思う(アズテック・カメラが悪いのだ・・・笑)。フレンズアゲインってグループはこれしかアルバム出してないんじゃないかな。他にも似たような感じのグループのレコードを持ってた気がするけどもうすっかり忘れてしまった。なんか肌に合わなかったんだろう(笑)。また、当時はギターポップとかネオアコなんてジャンルは僕の頭の中には無くて、ニューウェイブの一種くらいにしか思ってなかったし、フレンズアゲインだってヘアカット100などのファンカラティーナなんかと近い位置に頭の中で分類していたもんだ。

自分がよく知らないジャンルの音楽を聴くとき、たまたま最初に手に取ったものが基準となってしまうことがある。たとえば自分でいえばジャズに関してはサキコロだし、ハードロックに関してはレインボーだし、クラシックに関してはマルガリットのショパン・ピアノ協奏曲1番だし、ブルースに関してはライトニン・ホプキンスだし、フリージャズに関してはアイラーだし、といった感じで、そのつぎに買ったものはそれら基準となるアルバムからどれだけ離れているか、あるいはどれだけ似ているか、みたいな感じで、内容を吟味してたりする。僕にとってのネオアコやギターポップはこのフレンズアゲインがたぶん最初なので、他と比べようがなく、何の先入観も偏見もなく聴いてたわけで、結局これが基準となってしまった。のちの渋谷系だってこれを基準として聴いたからか当時はどれもあまりぴんと来なかった(これ以上と思えるものが無かった)。

で、このアルバムをちょっと調べてみたらCD化もされたらしいけどもうとっくに廃盤で、プレミアまでついて入手困難らしい(笑)。なんでこんなもんがと思ったが(僕の中では100円盤くらいか)、まあ、オザケンのこと考えればなんとなく分かる気もする。


FOOLS GOLD / FOOLS GOLD (1976)

SILVERにしてもFOOLS GOLDにしても、いかにもな西海岸サウンドというかカントリーロックというか、要するにポスト・イーグルスなわけで、初期イーグルスが好きな僕なんかは当然これらも好きなわけだ。がしかし、SILVERもFOOLS GOLDも、なんというか、コクが無い。SILVERはポップすぎるし、FOOLS GOLDはほのぼのとしすぎる。とはいえ、それもイーグルスやリンダ・ロンシュタットと比べちゃうからで、これはこれでいいこともある。どのようにいいのかってば、BGMにちょうどいい(笑)。カリフォルニア気分のBGMとしてはかなりのものなんじゃないのか。特にFOOLS GOLDの方。この手のカントリー・ロックは僕にはだいたいBGMとして聴けてしまう。

ところで、それならばいっそのことカントリー聴いてりゃいいじゃないか、ってことなんだけど、そういうことでもないからややこしい。カントリーはカントリーで結構好きなのだ。でも、西海岸気分としてのBGMにはカントリー・ロックの方がしっくり来る。ロックの中にほのかに流れるブルース経由の黒さが重要なんじゃないかな(そういえばハンク・ウィリアムスには黒人ブルースからの影響もあってちょっと黒い要素もあるな)。あと、日曜の午後にやってるAFNのアメリカン・カントリー・カウントダウンはFENの頃から(80年代から)たまに聴いてるお気に入り番組なんだけど、西海岸気分としてストライクな感じなのは意外に少ない。むしろカントリー・ロックのほうがシックリきたりする。だいたいカントリーにウエストコースト的雰囲気を求める方が強引すぎて無理ってもんなんだけど(笑)。

そういえばAFNのアメリカン・カントリー・カウントダウンは本当に別物になってきたなあと感じることがある。僕が大学生の頃なんかはまだいかにもな感じの伝統的カントリーが多かったのに(あのガース・ブルックスが出てきた頃だったからなのかな)、今ではなんだかバランス悪いなあって思うことが多い。というか、これは僕の趣味が偏ってるからだろう(笑)。

FOOLS GOLDに話を戻すと、僕はこの中に、70年代西海岸を聴いてるわけで、つまりは雰囲気を聴いてるだけなのだ。で、しつこく出てくるこの西海岸気分だのウエストコースト的雰囲気だのはなんなのかってば、これは要するに僕の中の幻想なので、なかなか説明しづらいし説明できない(笑)。でも、この音から連想される風景って意外にみんな似たり寄ったりなんじゃないかな。安っぽいといえば安っぽいんだけど(笑)、これが何故か気分がいいわけで。

ちなみにシングルカットされた「Rain, Oh, Rain」はグレン・フライのプロデュースで、そのまんまイーグルスだったりする。このアルバムにはイーグルスからグレン・フライ、ジョー・ウォルシュ、ドン・フェルダーが参加してる。


Black Sabbath / Black Sabbath Vol. 4 (1972)

オジーってばソロの最初の2枚は中学生のとき持ってたんだけど、どうにも軽すぎるギターが趣味に合わなかったのか、それほどハマることもなかった。てことで、ブラックサバス時代のオジーこそがオジーなのだ。実をいえば一番聴いたのは「Greatest Hits」という70年代のベスト盤なんだけど、オリジナルアルバムでいうとこの「Black Sabbath Vol. 4」をよく聴いた。しかもカセットテープで(笑)。これはなんと言ってもトニー・アイオミのセンスが凄すぎ。今聴くとミック・ロンソンあたりに近いような気もする。

このアルバム、1曲目のWheels Of Confusionと2曲目のTomorrow`s Dreamまでの流れがなんともイイ。B面はサバスの典型みたいなのが並んでて、これはこれでまた面白い。


Electric Light Orchestra / Time (1981)

アルバムはどうでもいいんだけど、問題はシングルカットされた「ホールド・オン・タイト」。これは今聴いても相当いい。この曲、ラジオのヒットチャート番組ではベスト10とかに入ってた気がする。古いロックンロール調でカッコイイ。どうも自分はこの手の古いロックンロール調のものが好きなようだ。ちなみに、この曲の少し前にELO&オリビア・ニュートン・ジョンの「ザナドゥ」って曲がヒットしてたわけなんだが、これまた凄くカッコイイ曲。

ところで、何度も同じこと書いてるような気がするけど、僕は1980年前後の音楽だったらどれもこれも好きなわけで、ラジオから流れてきても不快な気分になることはまずない(それがたとえジャーニーやスティックスやビリー・ジョエルだったとしても)。当時はそれなりに好き嫌いがあったんだが、「なつかしさ」フィルターによってどれもこれもアリになってしまった(単純だな)。

80年代初頭のラジオのヒットチャート番組から流れてくる曲は、どれもこれもなんか凄いもんに思えたし(中学生だったからだろうな)、今でも結構いい曲ばかりだったように思えてしまう。とにかくいろんな曲をエアチェックしてカセットテープで聴いていた。ELO「ホールド・オン・タイト」以外にも、アダム&ジ・アンツ「スタンド&デリバー」、ストレイキャッツ「ロックタウンは恋の街」、ポリス「ドゥ・ドゥ・ドゥ・デ・ダ・ダ・ダ」、マッドネス「シティ・イン・シティ」、TOTO「グッバイ・エリノア」、キム・カーンズ「ベティ・デイヴィスの瞳」、ブロンディ「夢見るNo.1」、とか、そんなのがカセットテープに入ってた。こういうのはもうあえて聴くことも無いんだけど、たまにどこかで耳にすると妙に懐かしくて少し嬉しい気分になる。


Alice Cooper / Goes to Hell (1976)

インターネットラジオをよく聞いてるんだけど、先日50'sや60'sのオールディーズのチャンネルを聞いてたら、何の間違いだったのかアリス・クーパーの「I Never Cry」が流れてきた。この曲はたしか75年ごろだった気がするけどどのアルバムに入ってたかなと思い、調べてみたらこのGoes to Hellに入ってた。

このアルバムもLPでずいぶん聴いた。高校の頃だったかなあ。輸入盤で買ったんだけど、ジャケの紙質がダンボールの濡れたあとみたいな感じでどうにも安っぽかった。輸入盤のジャケってのは日本盤と違ってたまに質的に難アリってのもあったのだ。中にはヒドイのもあって新品なのに盤面に難アリなんてのまであった。うちにあるチープトリックのAll Shook Up (1980)の輸入盤なんて新品で買ったのにA面にいきなりでっかいキズがあって、A面は3曲目からしか聴けないのだ(しょうがないのでもう1枚買った)。

で、このアルバムは名作Welcome to My Nightmare(1975年)のつぎの作品なんだけど、Welcome to My Nightmareが有名だったせいか存在感が薄かったような気もする。でも何故かこれが結構好きで、よく聴いてた。どの曲もクセがあって印象的。いい曲ばかりだ。アリス・クーパーのアルバムの中では「キラー」のつぎに好きかも。


Aerosmith / Rocks (1976)

中学生のときにカセットテープで聴いてたアルバム。なんでカセットで聴いてたのかよく覚えてないんだが(LP持ってたし)、ひょっとして最初友達にダビングしてもらって、そのあと自分でもLP買ったのかな。あるいはLPが擦り切れるのが嫌だったのでカセットにダビングして聴いてたのか、それとも「友&愛」(貸レコード屋)とかで借りてダビングしたのか、そのへん全く記憶に無い。当時は友達にダビングしてもらったカセットで死ぬほど聴いてたものもいくつかあって、たとえばサバスの4枚目とか、マノウォーの1枚目とか、スコーピオンズのラブ・ドライブとか、そのへんはカセットで聴いてた。

で、このアルバムなんだけど、なんといっても1曲目の「バック・イン・ザ・サドル」。当時はなんだか凄まじく聴こえたもんだ。今聴いてもベースラインとかかっこいいな。ひとつ前のアルバムの1曲目の「闇夜のヘヴィ・ロック」もなんだか凄かったけど、「バック・イン・ザ・サドル」はパカパカいってる馬の足音が入ってるぶんだけ凄いぞ(笑)。この馬のひづめの音もそうだけど、バイクの音とか(サクソンとかマノウォーとか)、消防車のサイレンとか(キッスとか)、カミナリの音とか(サバスとか)、そういうのが入ってると何だかちょっと凄く聴こえたものだ。なんなんだろうな、こういうのは。コドモダマシっていうのかな(笑)。

エアロは、いかにもな感じのアメリカンロック的なというか開放的なノリがあって、今でもAFNなどから流れてくるとちょっと気持ちいい。このアルバムなんて、全曲イイ感じ。8曲目「Lick and a Promise」とか、今聴くとすごくいいな。あと、実をいえば当時リアルタイムで聴いたアルバム「Rock in a Hard Place」(1982年。ジョー・ペリーがいなかった時期のアルバム)にも強い思い入れがあるんだけど(といってもラジオで流れた数曲だけだが)、これはまたいつか。


FREE / Free Live ! (1970)

テキトーなものの魅力ってのがあると思うのだ。で、このフリーのライブ。テキトーさがカッコよすぎる(笑)。特にドラム。工夫に工夫をこらすアンディ・フレイザーが可哀相になっちゃうくらにテキトー。ギターも結構テキトーっぽいな(笑)。でもずっと聴いてると、これはあえてこうやってるのだというのが分かってくる。中学生のときにこれ聴いて最初なんだこりゃ?って思ったわけだが、何度も聴くうちにだんだんとこのカッコよさが分かるようになった。

フリーってのはロックを聴かなくなってからでもたまに聴きたくなる不思議な魅力があって(実際フリーは今でもたまに聴く)、なんでだろうと考えてみたんだけど、やっぱこのテキトーさにあるのではないか。テキトーっていうと語弊があるかもしれないので言い換えてみると、荒削りな仕上がりというか、神経質な部分が無いというか、骨太というか、そんな感じだろうか。そんなところから、未完成っぽい雰囲気が出て来て、完成させていく途上のプロセスを見てるような感じにもなる。そこが面白いのかもしれない。

ちなみにこのアルバム、CDでは内容が倍に増えている(LPは8曲、CDはそこに7曲プラスして全15曲入り)。全体的なテキトー感はオリジナルの8曲の方が勝る。1曲目の「All right Now」と14曲目の「All right Now」(ボーナストラック)を比べてみるとぜんぜん違うんだから凄い。1曲目のドラムとか、酔っぱらってるんだろうか(笑)。ヨレヨレしすぎてかっこいいな。


TOM WAITS / Rain Dogs (1985)

大学1年のときによく聴いてたアルバム。当時はJockey Full Of Bourbon(4曲目)とHang Down Your Head(8曲目)がお気に入りだった。トム・ウェイツの芸風は今でもこの時とぜんぜん変わっていない。流れてくるとすぐにトム・ウェイツだと分かる。先日スターバックスでトム・ウェイツが流れてきてコーヒーを吹き出しそうになった。

このアルバム、キース・リチャーズが入ってる曲が3曲あって、それらは聴いてすぐキースだと分かるのがなんか凄いんだが、逆に言うと、キース・リチャーズのような王道ロックギターはこのサウンドの中では浮いてしまうってことでもある。それほど通常のポップスとしてのロックからサウンドがかけ離れているわけだけどそこがまた痛快だった。

1曲、カントリーの曲がある(Blind Love)。トム・ウェイツが好きなマール・ハガード的な典型的カントリーソングなんだが、トム・ウェイツのダミ声があまりにもカントリーからかけ離れてるので、これがカントリーであることに気付きづらい。おまけにバックボーカルのキース・リチャーズがこれまたカントリーからかけ離れてるわけで(笑)。

ラウンジリザーズのメンバーが何人か参加してるんだが、ジョン・ルーリーも1曲だけ参加している(Walking Spanish)。いつものジョン・ルーリーのパターンではなく、デル・ビザンティーンズ時代のような吹き方。なので、なんかあまりジョン・ルーリーがいるような気配がしない。

昔、仲のよかった友人がトム・ウェイツの音楽が好きで、このアルバムもその友人に教えてもらった。その友人は音楽をやってて、音楽の発想はRain Dogsそのもの。しかし、あの爽やかな時代(80年代後半)にわざわざRain Dogsってのも凄い(笑)。その後どんな音楽を作っていったんだろうと、今でもふと気になるときがある。

この「Rain Dogs」を聴いてたころは、ラウンジリザーズの「No Pain For Cakes」、ジョン・ルーリーの「Stranger Than Paradise」、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスの「I Put A Spell On You」、なども一緒に聴いていた。ジム・ジャームッシュの季節だったな。


Rainbow / Long Live Rock 'n' Roll (1978)

80年代初頭の頃のラジオ番組で「ロキュペーション」(文化放送)ってのがあって、洋楽ばかり流す番組なのだがハードロックもよく流れるので中学生のときによく聞いてたのだ。その番組のラストではDJの大森庸雄がいつも「それでは来週まで、ロックンロール!」と言って締めくくってたのだが、最終回では声を詰まらせながら「ロング・リブ、ロックンロール!」と言って締めくくった。なんて話は今じゃ5人くらいしか覚えてないだろうが、なんだか今でもそれをよーく覚えているので、とりあえずここに書いておく(笑)。

で、そんな話はどうでもいいんだけど、このアルバム、「Kill The King」ばかり聴きまくった。中学生のとき。ひょっとして中学のときに一番聴いた曲かもしれない。元気がないときの気付け薬というか、気合いを入れるための曲というか、そんな感じ。よっぽど元気が無かったんだろうな(笑)。当時はいちばん仲の良かった友人が二人たてつづけに引越していったりして、ほんとに元気無かった気がする。

このアルバムにはコージー・パウエルが入ってるんだけど、たしかコージー・パウエルはこの後のグラハム・ボネット時代までいて、そのあとはマイケル・シェンカー・グループへと行き、そのあとジャケが話題(笑)となった「オクトパス」とか出してたような記憶があるんだが。当時はコージー・パウエルは神様扱いで、雑誌「ミュージック・ライフ」の人気投票のドラム部門で毎年ぶっちぎりの一位だった気がする。このアルバムでのコージー・パウエルもやっぱ凄くて、1曲目「Long Live Rock 'n' Roll」なんて結構典型的なコージーのドラムなんじゃないかな。これをイアン・ペイスがやったらかなりポコポコポコって感じの軽いノリになるような気も(それはそれでいい感じだと思うが)。

そういえば、このアルバムのひとつ前にライブアルバムがあって、そこでの「Kill The King」は出だしがスタジオ・バージョンと違ってて、それもまた結構かっこよかったってのを今思い出した。にしてもこの時代のロニーは凄かったなあ。


(文:信田照幸)


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