フリージャズ(その2)


JOHN STEVENS / One Time (INCUS/1992)

ジョン・スティーヴンス(ds,tp) デレク・ベイリー(g)ケント・カーター(b)

名盤中の名盤。ジョン・スティーヴンスのドラムは本当に素晴らしい。静かに進行していく即興の美しさ…。Spontaneous Music Ensembleの諸作とともにマストです。

DEREK BAILEY & SUSIE IBARRA /Daedal (INCUS/1999)

デレク・ベイリー(g)スージー・イバラ(ds,per)

最初にスージー・イバラを聴いたのはたしかデヴィッド・S・ウェアの「ゴスペライズド」(DIW/1996年)。そこでのスージー・イバラのあまりに素晴らしいドラムに驚いて以来、ずっとファンなわけです。んで、本作はインプロ界の極北デレク・ベイリーとのデュオ。これはもう文句なし。この2年後にもこのふたりのデュオ作(Bids)があります。 

HAN BENNINK & EVAN PARKER / The Grass is Greener (psi/2000)

エヴァン・パーカー(ts)ハン・ベニンク(ds)

ハン・ベニンクのドラムを中心に聴く。特に意外な展開も無く、このふたりだったらこういう音だろうって感じの音がそのまま出てくる。期待どおりといえば期待どおり。ジャケがとってもいい感じ。

Derek Bailey/Gavin Bryars/Tony Oxley / Josef Holbrooke '98 (INCUS/1998)

デレク・ベイリー(g)ギャビン・ブライアーズ(b)トニー・オクスリー(ds)

Josef Holbrooke Trioの再会セッションなわけですが、翌年スタジオで録音された2枚組CD「THE MOAT RECORDINGS」(TZADIK)よりもやや地味。そしてそこが良いのです。淡々とした即興の面白さに満ちてます。 �

DAVID HOLLAND / Life Cycle (ECM/1982)

デイヴ・ホランド(cello)

デイヴ・ホランドのチェロによるソロ。この人のソロはコントラバスにしろチェロにしろ、ちゃんとメロディ展開がある。チェロによるソロは、コントラバスのアブストラクトなソロとはまた違った面白さがあります。また、ジャケの表記が「DAVID HOLLAND」になってます。 

EVAN PARKER / a grancing blow (cleanfeed/2006)

エヴァン・パーカー(ss,ts)ジョン・エドワーズ(b)クリス・コルサーノ(per)

昨年(2007年)発売されたエヴァン・パーカーの最新アルバム。クリス・コルサーノのパルス状のパーカッションが心地よい。そして、ジョン・エドワーズのベースが素晴らしすぎ。個人的に、エヴァン・パーカーはテナーよりソプラノの方が断然好きです。本作でもソプラノの部分は悶絶ものの素晴らしさ。 �

NEW YORK ART QUARTET (ESP/1964)

ジョン・チカイ(as)ラズウェル・ラッド(tb)ルイス・ウォーレル(b)ミルフォード・グレイヴス(per, ds)ルロイ・ジョーンズ(recitation)

Jazz Composers Guild ~JCOA の中でも時代の主役になりそこねた方々が名を連ねるわけですが(笑)…、内容は素晴らしい。オーネットの流れの上にあるのが興味深いところ。あと、ミルフォード・グレイヴスの個性的なドラムが聴けるのも貴重。



STEVE LACY / Evidence (prestige/1961)

スティーヴ・レイシー(ss)ドン・チェリー(tp)カール・ブラウン(b)ビリー・ヒギンズ(ds)

セシル・テイラー・グループを抜けた直後のレイシーです。そもそもレイシーはセシルの最初の2枚と61年のキャンディドに名前が出てくるだけなので、ずっとセシルのグループに居たという印象が薄いけれども、スティーヴ・レイシー公認のレイシー研究本には1955年から61年までの6年間セシルのグループに居たという記述があるので、録音されなかったツアー・ライブなんかもあったのでしょう(もったいない!)。で、このアルバムです。端整なたたずまいの名盤です。ドン・チェリーとビリー・ヒギンズというオーネット系列のメンバーとの合流なわけですが、コルトレーン&ドン・チェリーの「アヴァンギャルド」(こちらもオーネット組とコルトレーンが合流したアルバム)と同様、どこか堅苦しさを感じることも事実。しかしながら、その堅苦しさゆえレイシーのソロパートの自由さが際立つわけで、これはこれで成功というわけです。このアルバム、ジャケのデザインが特に秀逸なのでLP盤ジャケはインテリアとしても使えます(笑)。 

SUN RA / Space Is The Place (impulse/1972)

サン・ラ(p, org)&アーケストラのメンバー

地獄大使のアルバム。…ではない。ジャケに惑わされてはいけない。よく見りゃサン・ラなのだ。というか、サン・ラのアルバムの中でも比較的有名な作品ですね。サン・ラっていうのは早すぎたリー・ペリーというか商才の無かったジョージ・クリントンというか(笑)、そんなイメージばかりが先行してしまってまともに聴く気にならんというのが本音なわけですが…(笑)。それでもESPレーベルの諸作や本作などを聴けば意外にまともに音楽やってるわけで(そりゃそーだ)、単に土星から遊びにやってきたというだけでは無さそうです。とはいえ、1曲目の冒頭の「ヒュンヒュンヒュン…」ってスペース音を聴いただけで、もういいか…、なんて思ってしまうんだから頭が痛いというか何と言うか…。いっそのことP-FUNKと合体してプラシボシンドローム vs Dr.ファンケンシュタイン vs サン・ラ軍団なんて展開してたらもっと面白かったかも?…あ、そうそう、本作と同じSpace Is The Placeというタイトルのサン・ラ主演の映画(1974年)がDVD化してますが、恐くてまだ見てません(話によれば、土星からやってきたサン・ラ御一行がピラミッドの前で踊り狂うとかいうものらしい…)。 

BURTON GREENE / BURTON GREENE QUARTET (ESP/1965)

バートン・グリーン(p, piano harp, per)マリオン・ブラウン(as)ヘンリー・グライムス(b)デイヴ・グラント(per)フランク・スミス(ts)トム・プライス(per)

バートン・グリーンのファーストアルバム。最近、このアルバムにボーナストラックとインタビューをつけてタイトルとジャケを変えたものがESPからリリースされました。バートン・グリーンは1963年にはアラン・シルヴァとともにThe Free Form Improvisation Ensembleなるグループを結成してますが、そちらの音源は未聴。本作はマリオン・ブラウンの好演もあって、なかなか充実しております。とりとめのない感じのバートン・グリーンもまたヨシ。

MASAHIKO TOGASHI / Passing In The Silence (transheat/1993)

富樫雅彦(per)

日本を代表するパーカッション奏者、富樫雅彦のパーカッション・ソロ。とても静か。ライナーに「夜中に友達と話しながらとか、コーヒーを飲みながらとか、なんとなくB.G.M.的にそれも小さい音で聴いてもらいたいね」という富樫雅彦の言葉が書いてある。僕は何故かこのアルバムが好きで、よく夜中などに聴いております。

MICHEL DONEDA / Koh-Kan (Ohrai Records/1999)

ミッシェル・ドネダ(ss, spranino sax) 齋藤徹(b,per,etc)

3曲目の、ドネダのアラビックなサックスがとてもいい感じ。この感じでアルバム全部通してくれたらなあ、なんて思ってしまった。

Kenny Clarke / Andrew Cyrille / Milford Graves / Famoudou Don Moye / Pieces Of Time (soulnote / 1983)

ケニー・クラーク(ds,per)アンドリュー・シリル(ds, per)ミルフォード・グレイヴス(ds, per)ドン・モイエ(ds,per)

ドラマー四人の共演。シリル、ミルフォード、モイエ、ってのは分かるが、ここにケニー・クラークがいるというのがなんとなく不思議。とはいえ僕はケニー・クラーク大好きなので大歓迎なのですが…。本作はジャズに於けるアフリカ的なるものの影響ということを一寸考えたくなるようなアルバムです。 

ORNETTE COLEMAN / Sound Museum (Hidden Man) (verve/1996)

オーネット・コールマン(as,tp)ジェリ・アレン(p)チャーネット・モフェット(b)デナード・コールマン(ds)

数あるオーネットのアルバムの中でもこれが特に気に入ってるというわけではないけれど、数あるオーネットの曲の中でこの1曲目(Sound Museum)は特に気に入ってるわけです。とにかくオーネットの曲の中でこれほど好きな曲も無い。それぞれのプレイがどうのっていうことではなく、この曲全体の雰囲気が好きなのです。Sound Museumというアルバムには、このHidden ManともうひとつThree Womenの2種類あって、どちらも曲目は一緒だけど演奏内容(編成も)が違う。んで、Three Womenの方の1曲目(Sound Museum)はどうかというと、実はそれほどでも無かったりするわけで…。やはりこちらのバージョンでなければならぬ。この至福の6分17秒のためだけにこのアルバムを名作と認定したい(笑)。

Josef Holbrooke Trio/The Moat Recordings (TZADIK/1998)

デレク・ベイリー(g)ギャビン・ブライアーズ(b)トニー・オクスレー(per)

再会セッションのスタジオ編。CD2枚組。もはやトニー・オクスレーのパーカッションは工事現場の騒音のようになってますが…(笑)、それはそれでアリかと。にしてもデレク・ベイリーの素晴らしさが光ります。

Jimmy Lyons, Andrew Cyrille/Something in Return(Black Saint/1981)

ジミー・ライオンズ(as)アンドリュー・シリル(ds)

セシル・テイラー・ユニットの中枢二人によるデュオ。セシル・テイラー・ユニットでのような厳格さは無く、比較的ラフな雰囲気です。チャーリー・パーカーのビバップ・フレーズを元にフリーへと展開していくジミー・ライオンズ独特の音の紡ぎ方は60年代初頭から一貫していて、スジが通ってます。アンドリュー・シリルがいろいろと工夫しているのがやや裏目に出ているような気もしますが、それでも貴重なジミー・ライオンズのソロ作ということでぜんぜん許せます(笑)。 

Derek Bailey, John Stevens,Trevor Watts / Dynamics of the Impromptu (Entropy/1973)

デレク・ベイリー(g)ジョン・スティーヴンス(ds,cornet)トレヴァー・ワッツ(ss)

Spontaneous Music Ensembleの番外編。あまりの素晴らしさにエンドレスで聴いていたくなるほど。

The Jazz Composer's Orchestra/ COMMUNICATION(fontana/1964-1965)

マイク・マントラー(tp)スティーヴ・レイシー(ss)ジミー・ライオンズ(as)他

ミルフォード・グレイヴスのモコモコした(?)ドラムが非常に印象的なA面。管のばらつき加減が心地よいB面。フリージャズ史の中で特別目立つといったものではないが(その点、セシル・テイラーが参加した68年のJCOAのアルバムは逆に目立つ作品ですね)、このメンバーを見ればフリージャズ史上の重要作であることは明らか。聴けば聴くほど妙な魅力を感じるアルバム。 

ANOUAR BRAHEM / Barzakh (ECM/1990)

アヌアル・ブラヒム(oud)Bechir Selmi(vln) Lassad Hosni(per)

超お気に入りのアーチスト、アヌアル・ブラヒムのECMデビュー作。ウードのソロで、たまにアラブのパーカッションとヴァイオリンが入ります。時折出てくる微分音にアラブ圏の音楽の深さを感じます。名作。

SUSIE IBARRA / Flower After Flower (TZADIK/2000)

スージー・イバラ(ds,per)レオ・スミス(tp)Chris Speed(cl) Assif Tsahar(b-cl) Cooper Moore(p) John Lindberg(b) Charles Burnham(vln) Pauline Oliveros (Accordion)

スージー・イバラの初リーダー作。とても静かな印象のアルバムです。いつものフリーセッション等での大騒ぎ感はありません。軽やか且つ自然体のドラムが心地よい。

SUSIE IBARRA TRIO / Songbird Suite (ZADIK/2002)

スージー・イバラ(ds)ジェニファー・チョイ(vln)クレイグ・タボーン(p, samples, electronics) guest:IKUE MORI (laptop computer/ tracks 5, 6, 7)

裏ジャケに『Only birds sings the music of heaven in the world.��KOBAYASHI ISSA』なんて書いてあります…。明るく始まる1曲目以外は「Flower After Flower」同様に比較的地味ですが、エレクトロニクス導入により音響系の音空間も出現。 �

The Music Improvisation Company 1968-1971 (INCUS)

デレク・ベイリー(g)エヴァン・パーカー(ss,etc)ジェイミー・ミューア(per)ヒュー・デイビス(org, electronics)

即興演奏を聴き出す人たちがまず初めに手を出すのがこのへんではないでしょうか。INCUSの名盤のうちのひとつ。4人がいい感じで溶け合い、衝突し合い、すれ違い、しながら流れていく音楽。デレク・ベイリーやエヴァン・パーカーのセンスが最も豊かで自然だったのはこの頃ではなかろうかなんて気になってきます。 

GUNTER HAMPEL GROUP / Music from Europe (ESP/1966)

ギュンター・ハンペル(vib, b-cl, flute)ピエト・ヴェーリング(b)ピエール・クールボワ(per)ウィレム・ブロイカー(ss,b-cl,ts,as,bs,cl)

1曲目(A面)の最初と最後がもろにオーネット色なんだけど、66年になってもまだオーネットの神通力というか怨念というかそんなもんがヨーロッパでは残ってたのでしょうか。マルチ奏者ギュンター・ハンペル渾身のESP作品。ドラムのピエール・クールボワは65年のギュンター・ハンペルのデビュー作「HEART PLANET」(MPS)にも参加してました。マルチ・リード奏者のウィレム・ブロイカーはあの時代の典型のような咆哮…。 手形のついたジャケが印象的です。

Jimmy Lyons & Sunny Murray Trio / Jump Up (Hat Art/1980)

ジミー・ライオンズ(as) サニー・マレイ(ds)ジョン・リンドバーグ(b)

ジミー・ライオンズ、1969年以来のソロ作(というか、双頭扱いだが…)。ジミー・ライオンズとサニー・マレイといえば、あのセシルの「カフェ・モンマルトル」コンビです(1961年の「イントゥ・ザ・ホット」から1965年までセシル・テイラー・ユニットで一緒に活動し、その後も何度も共演している)。「カフェ・モンマルトル」の頃との違いはジミー・ライオンズのスピード感。この時代のジミー・ライオンズは60年代前半の頃よりもアドリブのスピードが早くなってます。僕は「カフェ・モンマルトル」の頃のジミー・ライオンズが大好きなので、この時代はちょっと速すぎって感じなんだけど、パーカーの最速スピードを考えれば(もともとジミー・ライオンズのソロはパーカーのバップフレーズが原点)、このスピード感もアリかも。というか、ジミー・ライオンズのソロをずーっと聴けるってだけでも非常に嬉しい一枚なのだ。 

PHIL MINTON & ROGER TURNER/ Da da da (LEO/1992)

フィル・ミントン(per) ロジャー・ターナー(per)

ジャケットを見ながら聴いてると楽しい(笑)。つくづく、アルバムというのはジャケットを含めたアートワークだ、というのを実感します。このアホらしくもデザインセンス抜群なジャケというフィルターを通した形で音楽内容が頭に入ってくるので、全部が許せる気分になってくる(笑)。というわけで、本作はフィル・ミントンの奇妙なヴォイスが素晴らしいアルバム。僕は即興系のヴォーカル(ヴォイス)がどうにも苦手なんだけど、このアルバムにおけるフィル・ミントンはぜんぜんOK。というか、むしろ好き。「歌わない」ところがイイんです。ロジャー・ターナーのパーカッションもこれまた最高。このパーカッションの存在はあまりにも大きい。 �

JAH WOBBLE & EVAN PARKER / Passage To Hades (2000)

エヴァン・パーカー(ts,ss)Jah Wobble(b) Jean-Pierre Rasle(bagpipes) Mark Sanders(ds)他

ダブ・ミュージックにエヴァン・パーカーのサックスが絡むという珍しい作品。P.I.L.のJah Wobbleなんてどうでもいいんだが、ダブにのせたエヴァン・パーカーは意外にカッコイイ。マッド・プロフェッサーやジャー・シャカなどとも共演したら面白いものが出来そうかも。 

STEVE LACY / Revenue (soulnote/1993)

スティーヴ・レイシー(ss)スティーヴ・ポッツ(as,ss)ジャン・ジャック・アヴニール(b)ジョン・ベッチ(ds)

4ビートでありながらバップフレーズが出て来ないのはレイシーお馴染みのパターン。ここではスティーヴ・ポッツがとても良く、たまにホーン2本くわえて吹いたりしてます。 

ANTHONY BRAXTON & GINO ROBAIR / Duets 1987 (music&arts/1987)

アンソニー・ブラクストン(saxophones)GINO ROBAIR(per)

とりとめのない即興演奏。ブラクストンは相手次第でいくらでも姿を変えるアーチストなので、このパーカッション相手ではこういう演奏になる、ということ。ところでアンソニー・ブラクストンは昨年(2007年)の夏にセシル・テイラーと共演(メンバーはセシル、ブラクストン、ウィリアム・パーカー、トニー・オクスレー)してます。この音源、是非ともCD化して欲しいんだが…。 

STEVE LACY / The Window (soul note /1988)

スティーヴ・レイシー(ss)ジャン・ジャック・アヴニール(b)オリヴァー・ジョンソン(ds)

レイシーの曲作りの特徴がよく出ている作品。モンク的でありながらもどこか素朴で田舎臭いというか…。僕はこの作曲部分よりもアドリブのパートの方が断然好き。ジャン・ジャック・アヴニールの素晴らしさも目立ちます。 

EVAN LURIE /Pieces For Bandoneon (les disques du crepuscule/1987)

エヴァン・ルーリー(p) マーク・リボー(g)Alfredo Pedernera(bandoneon) Jill Jaffe(vln) Tony Garnier(b)

ラウンジリザーズ時代のエヴァン・ルーリーが出したソロ作。ラウンジリザーズの名盤「No Pain For Cakes」(1986年)に収録されてる曲も入ってます(もちろんアレンジ違い)。映画音楽がメインのエヴァン・ルーリーですが、それとは関係ないソロ作もなかなかいけます(たぶんこれがソロ第1作目)。本作はほとんどタンゴのアルバムといった感じで趣味丸出しなわけですが、この時代のラウンジリザーズは大好きなので、これはこれでぜんぜんOK。 

MICHAEL BLAKE / Drift (intuition/2000)

マイケル・ブレイク(ts,ss)スティーブ・バーンスタイン(tp)Mauro Refosco(per) Ron Horton(tp) Matt Wilson(ds) Briggan Krauss(as,bs) Ben Allison(b) Frank Kimbrough(p) Marcus Rojas (tuba)

元ラウンジリザーズのサックス奏者マイケル・ブレイクのソロ作。ジョン・ルーリー奏法を受け継ぎ、ついでに作曲までをも受け継いだかのように、まるでラウンジリザーズのアルバムのようになってます。とはいえ、ジョン・ルーリーとは違ってモダンジャズ的(バップ)語法も混ざります。 発売当時、非常に評価の高かったアルバムです。

WILDFLOWERS 3 .THE NEW YORK LOFT JAZZ SESSIONS(1976)

ジミー・ライオンズ(as)カレン・ボルカ(bassoon) ヘイズ・バーネット(b)ヘンリー・マクスウェル・レッチャー(ds)他

ジミー・ライオンズ、オリバー・レイク、デヴィッド・マレイ、サニー・マレイ、ロスコー・ミッチェルらのグループによる演奏がそれぞれ1曲ずつ入ってます。1976年にサム・リバースのスタジオ・リブビーにて行われたセッション・ライブ。んで、なんといっても冒頭のジミー・ライオンズ・カルテットです。比較的静かな演奏で、非常に密度が濃い。質の高い演奏です。また、他のグループの演奏も静かな感じで、アルバムとしての統一感があります。 

ERIC DOLPHY / Other Aspects (bluenote/1960-1962)

エリック・ドルフィー 他

ドルフィーのフルートのスタイルを継承したジェームス・ニュートンによって編まれた未発表音源集で、ドルフィーの最もとんがってる部分を集めたような作品。60年の時点でここまで変なことをやってるんだから、もし65年以降も生きてたらどんな妙なことをやってたことか、なんてことをつい思ってしまうアルバムです。ちなみにドルフィーはセシル・テイラーのグループに入りたがっていたとか…。ドルフィー・ファンにはマスト。 �

EVAN LURIE / Happy? Here? Now? (crepuscule/1985)

エヴァン・ルーリー(p)

全編ピアノ・ソロで、エヴァンのソロ作としては最初のもの(映画音楽をのぞく)。ラウンジ・リザースでいえばちょうど「Big Heart: Live Tokyo」(1986年)の直前にあたります。ラウンジ・リザーズでのエヴァンよりもさらに一層クラシック寄りのピアノが興味深いところです。エヴァンの才能が生々しい形で記録されてます。ちょっとジャンル分けに困るような不思議な作品。このアルバムは結構気に入ってるのだ。

JIMMY LYONS / Wee Sneezawee (black saint/1983)

ジミー・ライオンズ(as)ラフェ・マリク(tp)ウィリアム・パーカー(b)カレン・ボルカ(bassoon)ポール・マーフィー(ds)

ドラムのポール・マーフィー意外は全員セシル・テイラー・ユニットのメンバー(カレン・ボルカ在籍時のセシル・テイラー・ユニットの音源はまだ出たことがない)。とはいえ、セシル・テイラー・ユニットとはだいぶ構造が違う。古典的ともいえるストレートなスタイルでスカッとしたフリージャズ。ジミー・ライオンズのフレーズにチャーリー・パーカーの影がちらほら見えるところが嬉しいのです。 

MAT MANERI / Trinity (ECM/1999)

マット・マネリ(violin,viola)

マット・マネリのヴァイオリンによるソロ。これはもう大好きで、なにかとよく聴いてます。微分音がどうのとかいう理屈なんぞ必要ないほどに、音の説得力があります。スティーヴ・レイクのプロデュースで、キングストンのGateway Studio録音。名盤。

CARLA BLEY /JAZZ REALITIES��(fontana/1966)

カーラ・ブレイ(p)マイク・マントラー(tp)スティーヴ・レイシー(ss)ケント・カーター(b)アルド・ロマノ(ds)

JCOAによる2作目。マルテ・ローリングによるイラスト・ジャケのシリーズの中ではこのジャケがいちばん好き。レイシー、ケント・カーター、アルド・ロマノというメンバーのチョイスにも注目。カーラ自身による「Closer」が入っていて、これがなかなかの聞き物。 

EKKEHARD EHLERS / FRANZ HAUTZINGER / JOSEPH SUCHY /Soundchambers(staubgold/2003)

エックハルト・イーラーズ(electronics)、フランツ・ホウツィンガー(tp)ジョゼフ・シューカイ(g, laptop)

いわゆる音響系。数年前に表参道のナディフで買った(表参道ナディフが無くなってしまったのは痛い…)。フリー系インプロのように音がタテ割り&ブツ切り(前後の脈絡が無い)というわけではなく、それなりに音の流れと脈絡があるのが面白いところ。

LOUIS SCLAVIS / dsnses et autres scenes (LABEL BLEU/1997)

ルイ・スクラヴィス(cl)マルク・デュクレ(g)リシャール・ガリアーノ(accordion)他

短い曲が29曲ほどつづく。ルイ・スクラヴィス独特のセンスでまとめあげたとても面白いアルバム。ミュゼット的な要素がちらほら見えるところなどはやっぱりフランス人だなあ、と…。

EVAN PARKER with Birds (Treader/2004)

エヴァン・パーカー(ss, ts)Spring Heel Jack(soundscape)

なにもかもが最高。聴いたことのあるエヴァン・パーカー作品の中でも最高にお気に入り。Spring Heel Jack(John Coxon とAshley Wales )のサウンドスケープ(鳥の声)をバックにエヴァン・パーカーがソロを演奏。音響系の一種だが、そんなことよりエヴァン・パーカーと小鳥の共演(?)が実にいい感じ。スティーヴ・レイシー「森と動物園」へのオマージュか。そういえば本作はスティーヴ・レイシーに捧げられてます。 

ARFI / MAISON FONDEE EN 1977 (ARFI)

フランスのARFIのオムニバス。CD1枚とCD-R1枚。ちなみにこのCD-Rには80タイトル(7時間分)ものmp3音源が入っている。ARFIの全貌を捉えるには最適なアルバム。ちなみにルイ・スクラヴィスもこのARFI出身。ARFIの豊かな創造性と妙に明るい肌触りのフリージャズ/アヴァンギャルドは極めて個性的。今も現在進行形の集団です。要注目。

FABIEN TEHERICSEN /Le Concerto Improvise (ENJA/2001)

ルイ・スクラヴィス(cl)FABIEN TEHERICSEN(direction)WRO Orchestra

ルイ・スクラヴィスが即興ソロを繰り広げる協奏曲。即興協奏曲とでもいうんだろうか。FABIEN TEHERICSENが作った曲で、自分で指揮もしてます。現代音楽としてよりも普通に即興音楽として聴けてしまうのはルイ・スクラヴィスの凄さゆえ。


(文:信田照幸)


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