フリージャズ(その4)


MATTHEW SHIPP / Pastoral Composure (Thirsty Ear/2000)

マシュー・シップ(p)ロイ・キャンベル(tp, flugel horn) ウィリアム・パーカー(b)ジェラルド・クリーヴァー(ds)

名作。ワンホーン・カルテットです。マシュー・シップのThirsty Ear盤にはFLAMの打ち込みが入ってることが多いけど、これはすべてアコースティック。しかも4ビートもあってかっこいい。マシュー・シップの独特のハーモニーを奏でるピアノがとにかく最高。いや、なにもかもが最高。 

MATTHEW SHIPP / Matthew Shipp's New Orbit (Thirsty Ear/2001)

マシュー・シップ(p)ワダダ・レオ・スミス(tp)ウィリアム・パーカー(b)ジェラルド・クリーヴァー(ds)

名作Pastral Composureの翌年のアルバムで、メンバーはロイ・キャンベルがワダダ・レオ・スミスと入れ替わった形。Pastral
Composureと比べると抽象度が高くなっており、非常に静か。カルテットでの演奏は4曲のみ(1,4,7,8)で、他はデュオやソロ、トリオでの演奏。全部で39分しかないんだけど、39分で1曲、というふうに捉えたほうがいいのかも。

MYRA MELFORD / Above Blue ・The Same River, Twice (ARABESQUE JAZZ/1998)

マイラ・メルフォード(p)デイヴ・ダグラス(tp)クリス・スピード(ts,cl)エリック・フリードランダー(cello)マイケル・サリン(ds)

クリス・スピードとデイヴ・ダグラスの2管に注目。マイラ・メルフォードの曲はきちんと作曲されている。2管はそれぞれ特に強い主張をするわけでもなくいい感じで曲の中を泳いでいる感じ。クリス・スピードのクラリネットがとてもいい。

Paul Murphy / Red Snapper(Cadence Jazz/1982)

ジミー・ライオンズ(as) ポール・マーフィー(ds)カレン・ボルカ(basoon)デューイ・ジョンソン(tp)メリー・アン・ドリスコール(p)

ジミー・ライオンズのレア音源が堪能出来る素晴らしいアルバム。アルバムの後半などは全部ジミー・ライオンズとポール・マーフィーのドラムとのデュオです。すごいです。1曲1曲がそれぞれ比較的短いのでダレること無く聴けます。ジャケのライナーにこの録音の経緯が書いてあります。

GERRY HEMINGWAY/ Double Blues Crossing (Between-The-Lines /2002)

ジェリー・ヘミングウェイ(ds,marimba,sampler) Frank Gratkowski (cl, b-cl, as) Wolter
Wierbos (tb)Amit Sen (cello); Kermit Driscoll (b, el-b)

ジェリー・ヘミングウェイの一大傑作。クインテットとしては第5期にあたります。これまでのクインテット作品とはやや異なり、ここではジェリー・ヘミングウェイ自身のエレクトロニクスが少し入ります。これが意外にイイ。エレクトロがあまり好きではない僕でもぜんぜんOK。アコースティックにすっかり溶け込んでいます。また、ベースがエレベのときもありますが、これもまたイイ。ジェリー・ヘミングウェイの曲も素晴らしく、全体的に非常にクールで落ち着いてます。作曲家としてのジェリー・ヘミングウェイにスポットライトを当てた「Chamber Works」(TZADIK/1999)に、これまでのフリージャズ的要素を融合させたような感じ。名作です。 

CHRIS SPEED / Yeah No (Songlines/1997)

クリス・スピード(cl,ts)クオン・ヴー(tp)スクリ・スヴェリソン(el-b)ジム・ブラック(ds)

クリス・スピードのファースト。名盤。とにかくカッコイイ。やたらと動き回るエレベも凄い。1曲目のようなアッパー系のものだけでなく、静かなテイクもこれまた美しい。NYの音。

GERRY HEMINGWAY / The Whimbler (clean feed/2005)

ジェリー・ヘミングウェイ(ds)ハーブ・ロバ-トソン(tp)エラリー・エスケリン(ts)マーク・ヘリアス(b)

カルテットとしては1999年の「Devil's Paradise」以来となります。「Devil's Paradise」よりも輪郭がくっきりとした感じのアルバムに仕上がってます。相変わらずレベルの非常に高い作品。4ビートものがあったりして、これまたカッコよかったりします。

EMPTY CAGE QUARTET /Stratostrophic (Clean Feed / 2008)

Jason Mears (as, cl) Kris Tiner(tp, flugelhorn) Paul Kikuchi(ds, per, electronics)��Ivan Johnson(b)

California Institute of the Arts 出身の四人組。ワダダ・レオ・スミスなどに習ったらしい。ドラムのPaul Kikuchiはミルフォード・グレイヴスにも習っている。このアルバムはEMPTY CAGE QUARTETとしては2枚目に当たります。またこの同じメンバーでEMPTY CAGE QUARTETの前にMTKJ Quartetとして活動しており(2003年~2005年)アルバムを4枚ほど残しています。で、このアルバムはEMPTY CAGE QUARTETの最新作。これがなかなかイイんです。個々のプレイがどうのというより、全体的に質感が気に入りました。 

GOLD SPARKLE TRIO /Thunder Reminded Me (clean feed / 2003)

Andrew Barker(ds)Charles Waters(cl,as)Adam Roberts(b)

GOLD SPARKLEというのはデュオやバンド形式などでも活動してるようだけど本作ではトリオ形式。ニッティングファクトリーでのライブ音源です。ワンホーンのピアノレストリオで、こういうのはclean feedに多い気がする…。そして僕はこの手のものが好きなのだ。Charles Watersのサックスは張りがあってなかなか力強い。定形リズムもとても良い。

Roy Campbell Quartet/ It's Krunch Time(Thirsty Ear/2001)

ロイ・キャンベル(tp)Khan Jamal/(vib) Wilber Morris(b) Guillermo Brown(ds)

ロイ・キャンベルのリーダー作としては7枚目に当たる作品(Pyramid Trioの3枚を含む)。ヴァイブ入りなのでどこか清涼感があります。定形リズムのもいいんだけど、アブストラクトな1曲目が好き。

MICHAEL BLAKE / Right Before Your Very Ears (claen feed/2005)

マイケル・ブレイク(sax) Ben Allison (b) Jeff Ballard (ds)

マイケル・ブレイク通算5枚目のソロアルバムで、初のピアノレス・トリオ作品。これは本当に最高。ラウンジリザーズ時代にはまさかここまで凄いサックス奏者だとは思ってませんでした(いつもジョン・ルーリーの影のような存在だったので)。たまにサックス2本同時吹きなどもやってます。clean feed というレーベルの典型のような作品。名作です。

THE DIPLOMATS (Rob Brown, Steve Swell, Harris Eisenstadt) / We Are Not Obstinate Islands (claen feed/2006)

Rob Brown(as), Steve Swell(tb), Harris Eisenstadt(ds)

最初聴いたときには、あまりの素晴らしさにのけぞりました。まさにクリエイティブ・ミュージックというに相応しい作品。ロブ・ブラウンがいつもより控えめに吹いてるのがとても良い。自身のリーダー作では元気よすぎなフリークトーンがうるさいと思っていたけど、このアルバムでは三者が対等に渡り合ってる感じで、ロブ・ブラウンの一歩引いた感じが凄く良いのです。 

GERRY HEMINGWAY QUARTET / Devils Paradise (claen feed/2003)

ジェリー・ヘミングウェイ(ds)Ray Anderson(tb) Ellery Eskelin(ts)��Mark Dresser(b)

全員がリーダー・クラスという豪華メンバーによる作品。どれも結構しっかりと作曲されているせいか、音がかっちりと枠内に収まっている感じ。エレリー・エスケリンがとても良いです。ジャケのデザインも秀逸。

BUFFALO AGE (Chris Speed, Kasper Tranberg, Nils Davidsen,��Peter Bruun)(ILK/2007)

Chris Speed(cl, sax) Kasper Tranberg(tp) Nils Davidsen(b) Peter Bruun(ds)

クリス・スピードの名前で買ったアルバム。これまた最高。BUFFALO AGEというのはPeter Bruunをリーダーとするグループだそうな。で、とにかくこのドラムがカッコイイ。小気味よく、タイト。全曲 Peter Bruunによる作曲。 

JAMES FINN TRIO /Plaza de Toros (clean feed/2005)

James Finn(ts) Dominic Duval(b) Warren Smith(ds)

前半はスパニッシュなメロディラインがたくさん出て来て、おもしろい。中盤あたりからはジェームス・フィンは後期コルトレーンのような演奏形態に。そこらへんはWarren Smithのしなやかなドラムが効いてます。ちなみにベースの Dominic Duvalは90年代の一時期セシル・テイラーのグループに居ました。 

DENNIS GONZALEZ Boston Project / No Photograph Available (clean feed/2006)

Dennis Gonzalez (tp)Charles Kohlhase (as,ts,bs) Croix Galipault (ds) Joe Morris (b) Nate McBride (b)

なかなか端整なトランペットです。だもんで、サックスのCharles Kohlhaseとの絡みもきっちりとまとまっている感じ。ベースが2人いるので、リズム的にはなにやら重戦車的な突進感があります。というか、このベース2人、すごく目立ちます。 何故か「小粋な」という言葉が似合うアルバム。

Shoup / Burns / Radding / Campbell / The Levitation Shuffle (clean feed/2007)

Wally Shoup (as)��Gust Burns (p)��Reuben Radding (b) Greg Campbell (ds)

ドラムのGreg Campbell の技が光ります。リトルインストゥルメンツの使い方も面白く、聴くほどに味があります。無機質な音を散りばめるピアノのGust Burnsもとてもいい感じ。どの瞬間も非常に密度が濃いです。EMPTY CAGE QUARTETなんかにしてもそうですが、clean feedにはこの手の名品がたくさんあるので目が離せません。

JASON STEIN'S Locksmith Isidore / A Calculus of Loss (clean feed/2008)

Jason Stein (bass-clarinet)Kevin Davis (cello) Mike Pride (per)

バスクラ、チェロ、パーカッションのトリオ。バスクラのジェイソン・スタインは非常に柔らかい吹き方で、ドルフィー的なマッチョさとは対極の表情を見せてくれます。チェロはピチカートが多いです。全体的にとても静かな印象。素晴らしいアルバムです。ちなみに本作はジェイソン・スタインの初リーダー作。また、ジェイソン・スタインのHP(http://jasonsteinmusic.com/home.cfm)ではバスクラのソロを3テイクほど聴くことが出来ます。

BassDrumBone / The Line Up (clean feed/2008)

ジェリー・ヘミングウェイ(ds)マーク・ヘリアス(b)レイ・アンダーソン(tb)

レイ・アンダーソンのトロンボーンのワンホーントリオ。曲は3人それぞれが3曲づつ書いており、誰がリーダーというわけでも無いようです。全体的に力の抜け加減がとても心地よく、何やらのほほんとした感じのアルバムです。日だまりで聴く音楽、といった感じか。

ROB BROWN Ensenble / Crown Trunk Root Funk (AUM/2008)

ロブ・ブラウン(as)クレイグ・タボーン(p)ウィリアム・パーカー(b)ジェラルド・クリーヴァー(ds)

ウィリアム・パーカーのグループでお馴染みのロブ・ブラウンのリーダー作。いつものような怒濤のブロウは鳴りをひそめ、グループとしてのまとまりを意識したような吹き方。しかしこれはこれでとても良い。というか、ロブ・ブラウンはこの方が好き。

DENNIS GONZALEZ / At Tonic (clean feed/2007)

デニス・ゴンザレス(tp)エレリー・エスケリン(ts)マーク・ヘリアス(b)マイケル・T.A.トンプソン(ds)

N.Y.のトニックでのライブ盤。エレリー・エスケリンがとてもイイ。とはいえエレリー・エスケリンの出番が少ないような気もする…。主役のデニス・ゴンザレスは地味ながらも味わいのあるプレイ。ドラムのマイケル・T.A.トンプソンのソロはなにげにカッコイイです。 全体的に、盛り上がりそうで盛り上がらない…といった雰囲気。

CHARLES GAYLE / Shout ! (claen feed/2004)

CHARLES GAYLE(ts) SIRONE(b) GERALD CLEAVER(ds)

元々はNYの路上ミュージシャンだったというチャールズ・ゲイルです。70年代から80年代にかけてNYの路上やプラットフォームなどで吹いてたそうですが、こんな凄い人が路上で吹いてるとは、NYがうらやましい。そんなチャールズ・ゲイル、今やあちこちのレーベルからアルバム出してて、すっかり大御所の風格すら漂います。で、何故かチャールズ・ゲイルにはピアノレストリオが似合います。本作はドラムにジェラルド・クリーヴァーが入ってるのが嬉しい。

GERRY HEMINGWAY / Special Detail (HAT HUT/1991)

ドン・バイロン(cl, bs)ジェリー・ヘミングウェイ(ds)Wolter Wierbos(tb) Ernst Reijseger(cello)Ed Schuller(b)

ジェリー・ヘミングウェイ・クインテットの第2期です。ジェリー・ヘミングウェイ・クインテットはいつでも素晴らしいけど、このアルバムは本当に素晴らしい。かなりのお気に入り。クラリネットとバリトンサックスのドン・バイロンが物凄いです。全部で約70分、もう目一杯入ってます。

KIRK KNUFFKE / Bigwig (clean feed/2007)

Kirk Knuffke (tp) Brian Drye (tb) Reuben Radding (b) Jeff Davis (ds)

トランペットとトロンボーンの2管で、ピアノレス。全体的にあっさり風味です。フリージャズにありがちなドロドロ感やとりとめの無さみたいなものは無く、どの曲もきっちりとそつなくまとめ上げてます。だもんでBGM的にも軽く聞き流せる感じ。その軽さが意外に心地よいのです。

ELLIOTT SHARP, SCOTT FIELDS / Scharfefelder (clean feed/ 2008)

エリオット・シャープ(g)スコット・フィールズ(g)

アコギによるギター・デュオ。これがとてもヨイ。この乾ききったギターの音は快感。ソロだったらこうはならないだろうな、という展開が素晴らしい。うちではヘヴィーローテーション。エリオット・シャープもスコット・フィールズもclean feedではお馴染みの顔です。

CHRIS SPEED / Emit (songlines/2000)

クリス・スピード(cl,ts)クオン・ヴー(tp)スクリ・スヴェリソン(b)ジム・ブラック(ds)

それぞれの曲がかっちりと作曲されており、ポップな印象すらあります。97年の「Yeah No」のようなスリルは無いけれど、どの曲も安定感があり、完成されているという印象。クラリネットの音がとてもイイ。

TETTERAPADEQU / And The Missing 'R' (clean feed/2008)

Daniele Martini (ts) Giovanni di Domenico (p) Goncalo Almeida (b) Joao Lobo (d)

なんともとりとめのないアルバムだけど、ドラムに注目して聴くと結構面白いかも。ドラムがいろんな工夫をしてて面白いです。このグループ、誰に主導権があるというわけでもなく、それぞれの音がそれぞれ対等に主張します。静けさとせわしなさとが交互にやってきて全体像がちょっとつかみづらいです。

Alipio C Neto Quartet / The Perfume Comes Before the Flower (clean feed/2007)

Alipio C. Neto (ts) Ben Stapp (tba) Herb Robertson (tp,fl) Ken Filiano (b) Michael T. A. Thompson (ds)

Alipio C. Neto自身が描いたライナーに「西田幾多郎」の名前出てきます。で、その純粋経験がどうのとか書いてありますが、この人は日本びいきなのか、はたまた禅にでも関心があるのか…。なんてことは音を聴いても分からないわけでして、やっぱり音楽は音楽として独立して聴きたいものです。そんなわけで本作ですが、Alipio C. Netoのサックスはどこかシェップっぽさがあります。とはいえワンマン的な演奏ではなく、全体的にグループ表現となってます。何故だか音に新鮮味があり、どの瞬間も音が生きてます。clean feedらしいとてもいい作品。

SCOTT FIELDS / BECKETT (clean feed/2006)

SCOTT FIELDS(g) JOHN HOLLENBECK(per) SCOTT ROLLER(cello) MATTHIAS SCHUBERT(ts)

これは最高。4人による緻密なインタープレイとでも言ったらいいんでしょうか。ギターをギュイ~ンとやったりサックスでフリークトーンを吹き続けたりということ(僕はこれらが好きでは無い)をぜんぜんやってないのが素晴らしい。それぞれの音がそれぞれ他の音に反応し、とても面白い音空間が出来上がっています。

ELLIOTT SHARP / SHARP? MONK? SHARP! MONK! ~ELLIOTT SHARP plays the music of thelonious monk (clean feed/2006)

エリオット・シャープ(g)

エリオット・シャープのアコギによるモンク曲集。clean feedレーベルのGUITAR SERIES VLO.1 として出たもの。タッピング奏法も多く、結構パーカッシブです。モンクのスタイルとの関連性を考えてしまいます。このGUITAR SERIES の第2弾もエリオット・シャープ。これからのclean feedの中心のひとりとなるでしょうか。

Conference Call /Poetry In Motion (clean feed/2008)

Gebhard Ullmann (reeds) George Schuller (ds) Joe Fonda (b) Michael Jefry Stevens (p)

サックスのGebhard Ullmannがなかなかよくて、サックスばかり聴いてしまいます。「メロディ」の豊富なフリージャズ。音響系の音空間の理屈っぽさに嘘臭さを感じてしまうときにはこういうのを聴くととても新鮮に感じるのだ。4人のバランスが非常によく、聴いてて心地よさすら覚えます。

Ravish Momin's Trio Tarana / Miren (A Longing) (clean feed/2007)

Brandon Terzic (oud),Ravish Momin (perc),Sam Bardfeld (vn)

エキゾチックな雰囲気満載のアラブ系フリーミュージック。ウードのなんとも言えない音色がとてもいい感じだけど、いいのは音色だけじゃない。内容もこれまた魅力的。ちょっと変なのを聴きたいなんてときには最適かも。 

Adam Lane / Lou Grassi / Mark Whitecage / Drunk Butterfly(clean feed/2008)

Adam Lane(b)Lou Grassi (ds) Mark Whitecage(as, cl)

これはまた強力なサックス・トリオです。こういうスタイルのフリージャズはとにかく大好き。バップ経由のMark Whiteのサックスもいいけど、Adam Laneの強烈なベースがとにかくすごい。このベースが音の流れを支配します。

Jean Dubuffet / Musique Brut (Time Records /1971)

アンフォルメルの画家ジャン・デュビュッフェはこんな実験/即興音楽まで作っていたのでした。まさにArt Brutの音楽版。デュビュッフェの絵は大好きだけど、音楽もそれと同様気に入ってます。なんといっても本作はアイデアの豊富さに驚きます。この驚愕の音源の前ではほとんどのエクスペリメンタル・ミュージックなんぞ吹っ飛んでいってしまいます。何度聴いても素晴らしすぎる。

GERRY HEMINGWAY / The Marmalade King (HAT HUT /1994)

Michael Moore(as,cl,b-cl) Wolter Wierbos (tb) Ernst Reijseger(cello) Mark Dresser(b) Gerry Hemingway(ds)

第3期ジェリー・ヘミングウェイ・クインテットのアルバム。隅々まで曲構成がしっかりしており、各ソロは曲を逸脱することなくきっちりと収まっている印象。ドン・バイロンの後釜のMichael Mooreがなかなか素晴らしく、dsとbとのトリオで演奏される部分が抜群にいい。

KEVIN NORTON / Integrated Variables (CIMP/1996)

ケヴィン・ノートン(per,ds,marimba) マーク・ドレッサー(b)ジョージ・カートライト(ts, ss, as)

clean feedにもリーダー作のあるケヴィン・ノートンのトリオ作品。96年N.Y.録音。僕の好きなワンホーン・トリオという布陣。リズムパターンをつぎつぎに変えていく1曲目とか、とてもかっこいい。マーク・ドレッサーの例のボワンボワンいってるベースもいい感じで馴染んでます。

GERRY HEMINGWAY / Chamber Works (TZADIK/1999)

ジェリー・ヘミングウェイの室内楽作品集。これがまた素晴らしい。ジェリー・ヘミングウェイ自身が演奏で参加してるのは1曲だけ。まさに作曲に焦点を当てたものになってます。最初の2曲の弦楽四重奏曲に特に惹かれます。

JULIO RESENDE / Da Alma (clean feed/2007)

Alexandra Grimal (ts) Joao Custodio (b) Joao Lobo (d) Joao Rijo (ds), Julio Resende (p) Ze Pedro Coelho (ts)

どこかフュージョンっぽいポップさのあるアルバム。レーベルがclean feedなのとリズム展開の複雑さからフリーに分類してみた。Julio Resendeはポルトガルのピアニストで、他にどんな作品があるのかは知らないけどとりあえずこの作品はいい感じです。崩れた感じのフュージョンとして聴くとなかなかハマる。

ORNETTE COLEMAN / Free Jazz (atlantic/1960)

オーネット・コールマン(as) エリック・ドルフィー(b-cl) ドン・チェリー,フレディ・ハバード(tp)
スコット・ラファロ,チャーリー・ヘイデン(b) ビリー・ビギンズ,エド・ブラックウェル(ds)

非常にのどかなアルバム。オーネットの音楽の素朴さがよく表れています。このゆったりとした音楽を聴いているとなんだか心底ほっとします。オーネットのグループとドルフィのグループが一緒に演奏した、なんてことよりも、ただただこの長閑でほのぼのとした平和な空気を味わっていたい。


(文:信田照幸)


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